アソム州
- アソム州 アソムしゅう (Assam) 暫定版
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「アソム州」(旧アッサム州)は、インド共和国北東部諸州の一つ。しばしば、「いわゆるセブン・シスターズ?の中心的な州」と、みなされる。
「アッサム」は植民地時代に遡る地域の英語名。州政府は、2006年に「植民地時代以前の地域名に戻す」として「アソム」の州名を採択した。
州名変更は、州内でも反対意見が少なくなかったようだ。例えば、ワールド・ワイドに知られている「アッサム茶」や観光地としてのブランド名が、そう簡単に変化するとも思えない。当面「アソム州の英語名がアッサム州」とみなしてもいいのではないだろうか。
(もちろん、現地で欧米人などが「アッサム州」と言ったら、どのような反応が返ってくるかは別問題だ)
アソム州は、現在のインド領が、ネパール領、ブータン領、バングラデシュ領に扼されている西ベンガル州?北東の東に隣接。アソム州自体も、北西部でブータン領と、南西部でバングラデシュ領と隣接している。
現在の州都ディスプル?は、州域北部の東西中ほどで、メーガーラヤ州?との州境から遠からぬ位置に存在。ディスプルは行政上の州都だが、地域の中心都市は、隣接しているグワハーティ?。
2007年現在、アッサム州では、分離独立を唱えるアッサム解放統一戦線(ULFA)などの活動が断続。武装勢力諸派の内、ボドランド民族民主戦線(NDFB)は、連邦政府との講和協議に応じ、2005年から停戦を実施している、とされる。
一方、2006年に起きた爆弾テロ事件や、軍施設襲撃事件などは、他の分離派武装勢力によるものと見られている。2005年以来、ULFAが指名した市民団体と連邦政府の協議は続いているが、この協議が停戦につながるかは不透明、と言われている。
2007年現在、アッサム州には、インド北東地方の幾つかの州のような外国人入域制限はなされていない(と、想定する)。しかし、対テロ警備や捜査は、U.K.(連合王国)やU,S,A,(合州国)?よりも厳しい(との想定を推奨)。
【参照地図】
やや詳しい情報
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「植民地時代以前の地域名」とされている「アソム」の州名だが、遡ると、12世紀頃地域で支配的だったタイ系シャン族の地域での呼び名「アホム」に由来する。
アソム州の州域面積は、78,438平方km。居住人口は、2001年の統計で 26,655,528 人。インドの2.5%弱の面積の州域に、2.6%ほどの人口が居住している見当になる。
州の平均人口密度は、1平方kmあたり339人ほど。
州域は、北を上にした大文字の“T”に似た輪郭線を持っている。横棒にあたる北部が東西に長く、縦棒にあたる南部がより短い“T”で、しかも南部は南南西方向に傾いて見える。
アソム州が「セブン・シスターズ?の中心的な州」と呼ばれるのは、もちろん、歴史背景を伴った、政治・経済での意味合いだが、地理的にも、北東地方7州の内6州に囲まれた位置関係にある。
州域北辺がヒマラヤ山脈?東部の山裾に縁取られ、北西縁ではブータン領と国境を接している。北から東にかけては、アルナーチャル・プラデーシュ州?と、南東では、北寄りでナガランド州と、南寄りでマニプル州?と州境を接している。南では、ミゾラム州と、南西の南寄りではトリプラ州?と、北寄りではメーガーラヤ州?と州境を接している。バングラデシュ領と接している国境は、メーガーラヤ州との州境との西と、南(トリプラ州との州境の北)になっている。
州域には、北東から州域に流入したブラマプトラ川?が、幾つかの支流にわかれ、一部で合流しつつ、網目状の水系を成しながら貫流。概ね西流しながらバングラディシュ領に流れていく。地域には、大小の湖沼も多い。
巨視的に見ると、アソム州州域の北部は、ほとんどがブラマプトラ川が流れる川谷のようになっている。北部のブラマプトラ川谷は、幅80km〜100km、長さ1000kmほど。川谷に堆積した小高い丘地の間を網のように流れるプラマプトラの水系は、幅の広い部分で16kmほどに及ぶ。地域の丘地の平均比高は、300m〜400mほど。
州域南部のバラク地方は、カルビ・アングロングの丘地(Karbi Anglong hills)と、カチャールの丘地(Cachar hills)とが北部との境界部で断続。南部州域の東西幅を平均すると、およそ40km〜50kmほど。東縁がナガランドからマニプール?にかけての山地山裾に縁取られている。
バラク地方の概ねが、緩やかな起伏を持つ丘陵の間を水系が縫う地形に占められている点は、北部のブラマプトラ川谷とあまり変わらない。東部から流出した大小の地方河川は、州域南部西縁で、ブラマプトラ川の支流が、メーガーラヤ州東部、及び、バングラデシュとの境界を成している流れに合流していく。
地域の環境は、典型的な熱帯モンスーン性気候に支配され、温暖で多湿、降水量も多い。(ただし、北部では高度に応じた気候差も見られる)
5月半ば頃から、夏季に入り、6月をピークにモンスーン季になる。モンスーン季には、しばしば午後に強い雷雨が起こる。夏季の最高気温は、35℃〜38℃ほどに及ぶ。秋は気温も下がり降雨も少なめになって、過ごし易いが、短い。
10月頃から、翌2月頃までが冬季。最低気温は6℃〜8℃ほど。夜間と早朝に霧がかかり易い。降雨もあるが、霧雨のようなものが主になる。春も、秋同様、気候が温和になり、過ごし易い。
近年、地域では、森林伐採の進行に、温暖化による暴風雨の規模拡大などが重なり、水害の被害が年々多きkなっている。また微震の多い地域でもある。大きな地震はマレだが、1950年に、マグニチュード8.6の地震に見舞われた。それ以前は、1869年、1897年に大地震に見舞われたことが記録されている。
アソム州は、生物多様性(バイオ・ダイヴァーシティ)が豊かな地域として知られる。熱帯雨林、河岸や湖沼、湿地の草地、竹林などが入り混じり、種々の動植物種が生息。
ユネスコ世界遺産の自然遺産に登録されているカジランガ国立公園?、マナス野生生物保護区?の他、幾つかの国立公園、自然保護区が設けられている。
野生動物種としては、トラ、ヒョウ、ブチシカ、キンビョウ、バッファロー、アナグマ、イノシシ、ノウサギ、テナガザル、などなどが生息。野鳥としては、ワシ、アヒルの類、キツツキ、他が生息。渡り鳥であるペリカンも訪れる。
地域では、大規模農園での茶葉の生産が盛ん。インド共和国で生産される茶葉の6割がアソム産。絹も特産品。
埋蔵資源としては、石油、天然ガス、石炭の他、非鉄金属も産す。州域西部の一部で、鉄鉱石も採掘されているが、産出量はあまり多くはない。
地域は、しばしば、北部と南部とに2大別、または、北西部、北東部、南部に3大別される。行政区としては、24の県、及び都市圏から構成されている。
アソム州には、多様な民族が混在し、しばしば「多民族国家インドの縮図」と呼ばれている。“The People of India project (POI) ”は、アソム州には115のエスニック・コミュニティーが営まれている、としている。
これらのエスニック・グループは、使用母語の言語系統の面からは、アウストララシック系の諸民族、チベット - ビルマ系の諸民族、印欧語系統の諸民族、他に大別できる。
地域で母語使用されている言語は、45言語と言われる。州の公用語としては、アソム語、カルビ語(Karbi)、ベンガル語、ボド語が定められている。連邦公用語に定められているヒンディー語、準公用語の扱いである英語のほか、ネパール語もかなり広く用いられている。一部に、シルへティ語が多用されている地域もある。識字率は、64.28%(2001年)。
宗教事情を見ると、ヒンドゥー教諸派の信徒が6割強で多数派、イスラム教徒は3割強で、スンナ派を自認することが多いが、聖者信仰などは根強く、インド的なイスラム神秘派の教義も入り混じっている、他には、精霊崇拝が色濃い民俗宗教各種の信奉者が多いが、キリスト教徒(4%)、仏教徒(1%)の他、シーク教徒もかなりいる。
アソム州の経済は、過去20年以上、毎年発展を続けてはいるが、1980年〜1990年の成長率と比較すると、1990年以降の成長率は、かなり鈍化。同時期に大きな成長を示したインド共和国全域の内では、やや立ち遅れている。
理由としては、伝統的な農業、鉱工業に依存した経済構造、近年、被害が増しつつある水害の影響、州内北東部、北西部、南部の格差などが考えられえいる。
【参照地図】
(アソム州の行政区分図,Wikimedia Commons)
さらに詳しい情報
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現在「インドの縮図」と呼ばれるアソム州で営まれているエスニック・コミュニティーは、POIの整理に拠れば115。
この内、22が地縁的なローカル・コミュニティーを自認、79が広く地域に分布しているエスニック・グループと自認、残りの3つのエスニック・グループは、近隣諸国を含めて、ワールド・ワイドに分布していると自認している、というのも、POIによる整理だ。
これらのエスニック・グループは、使用母語の言語系統の面からは、アウストララシック系大別5種の言語、チベット - ビルマ系24種の言語、印欧語系統12種の言語、他に大別されている。
現在も地域に居住するアウストララシック系のモン・クメール語派を母語使用している諸民族は、おそらく、最も古くから地域に居住していた人びとの後裔と推測されている。この系統の人々は、丘陵地の高い地域に独自の生活圏を設ける大勢が、植民地時代頃には伝統的になっていた。
チベット - ビルマ系の諸民族は、北方、北東方、南東方からの移入集団がルーツになった、と推定される。現在も居住するエスニック・グループとしては、モンパ族、シェルダクペン、ミシュイング族、ボド-カチャリ族、ナガ族、などがいる。現在、これらの人びとは、州域、及び隣接諸州、あるいは隣接諸国に広く分散している傾向が目立つ。
その後、インドアリアン系統のエスニック・グループが移入してきたのは、おそらくB.C.500年頃からのこと、と思われる。東方の北インド地方?より進出をはじめた部族集団が中核になった、と考えられている。
以上は、地域への民族流入の主要な画期にすぎない。例えば12世紀には、タイ系シャン族(アホム)が支配的になった。インド北部のイスラム教徒兵士が、交戦の結果、半ば奴隷化された捕囚のように定着化されたのもこの頃からのこと。
ヒンドゥー教の歴史面では、地域では、中世にシャーカタ派のタントラ・ヒンドゥーが発展した。この発展は、北インド地方で、イスラム教が支配的になったことと関係している。長期的にはシヴァ派ヒンドゥー教の伝統が根強く、地域のヒンドゥー教には、現在でも、多かれ少なかれシヴァ派的特徴が目立つ。他に、15世紀〜16世紀頃に活動した、バクティ主義者スリマンカ・サンカラディーワの影響も色濃く残っている。
地域のイスラム教徒人口は、初期には、捕囚化した兵士の強制入植からはじまった。後世、現在のバングラデシュ方面で営まれたイスラム教との繋がりが強まっている。キリスト教は、植民地時代に信徒を増やした。
地域の歴史的呼称(地域名)には、次のようなものがある。
- プラーグジョーティシュプラ(歴史伝承に伝わる、半ば伝説的地域名)
- カーマルーパ(4世紀頃?〜12世紀頃)
- アホム、アソム(12世紀頃から)
- アッサム(U.K.領の植民地時代頃)
GM向け参考情報
- GM向けの補足情報、マスタリング・チップス、アイディア・フックなど
基礎情報
- 目標値8〜10程度の簡単な判定で、PCが知ってることにして構わないでしょう。場合によってはプレイヤーに事前提示しても可。
- 面積
- 78,438平方km
- 面積対比
- インド共和国の、2.5%弱
(U.K.(連合王国)の32%ほど、日本国の2割強) - 人口
- 26,655,528人
- 人口対比
- インド共和国の、2.6%ほど
(U.K.(連合王国)の44%ほど、日本国の2割強) - 平均人口密度
- 1平方kmあたり339人ほど
- 平均人口密度の対比
- インド全域の103%ほど
(U.K.の138%弱、日本国の数値にほぼ等しい) - 政治体制
- アソム州の行政長は、インド共和国の他州同様、連邦政府に任命された州知事。「インド共和国大統領の代理人」と位置づけられている。
- 他州同様、州知事は、行政実権はもたないが、州の行政府の監督、あるいは助言をする。たに、州の主席大臣の助言を得て、州の主要な大臣たちを任命する。
- アソム州の場合、各県の自治権がかなり強めで、州の広域行政を担当する役人は、主に連邦行政局に属している。
- 地域
- 地域はしばしば、北東部、北西部、南部に3大別される。
- 2007年現在、行政区としては24の県、及び都市圏に区分されている。
- 民族事情
- 多様な民族が混在し、しばしば「多民族国家インドの縮図」と呼ばれている。広く知られた調査では、アソム州には115のエスニック・コミュニティーが営まれている、としている。
- これらのエスニック・グループは、使用母語の言語系統の面からは、アウストララシック系の諸民族、チベット - ビルマ系の諸民族、印欧語系統の諸民族、他に大別できる。
- 言語事情
- 公用語としては、アソム語、カルビ語(Karbi語)、ベンガル語、ボド語が定められている。連邦公用語に定められているヒンディー語、準公用語の扱いである英語のほか、ネパール語もかなり広く用いられている。一部に、シルへティ語も多用されている地域もある。
- 地域で母語使用されている言語は、45言語と言われる。内訳は、アウストララシック系大別5種、チベット - ビルマ系24種、印欧語系統12種、他に大別されている。
- 識字率は、64.28%(2001年)。
- 宗教事情
- ヒンドゥー教諸派の信徒が6割強で多数派、イスラム教徒は3割強。他には、精霊崇拝が色濃い民俗宗教の各種信奉者が多いが、キリスト教徒、仏教徒、シーク教徒もかなりいる。
- また、ユダヤ教徒と自己規定しているブネイ・メネシャ?の宗教コミュニティー(喪われた支族?を祖先にする、との宗教伝承を信仰している人びと、正統派ユダヤ教からはユダヤ教徒と認められないことが多い)もある。
- ヒンドゥー教では、シヴァ派ヒンドゥー教の伝統が根強く、その上に、15世紀〜16世紀頃からのバクティ主義の要素が重なっている。現在、地域のヒンドゥー教には、多かれ少なかれシヴァ派的特徴が目立つ。歴史的古層を探ると、シャーカタ派のタントリズムの痕跡も見られる。
- 地域のイスラム教徒は、スンナ派を自認することが多いが、聖者信仰などは根強く、インド的なイスラム神秘派の教義も入り混じっている。
- 州域経済総生産
- 2004年で、およそ130億U.S.ドル相当。
- 経済総生産の対比
- 対比する統計準拠年が異なるので目安として
- インド共和国の、0.7%強
(U.K.(連合王国)の0.04%弱、日本国の0.35%弱) - 州民1人あたりの平均生産額
- およそ488U.S.ドル相当。
- 州民1人あたり平均生産額の対比
- 対比する統計準拠年が異なるので目安として
- インド共和国平均の13%ほど
(U.K.の1.6%強、日本国の1.6%強) - 通貨単位
- ルピー(略号=Re,Rs)
- 州都
- ディスプル?
- 基礎データは、主に、Wikipedia英語版:Assamから参照しました。
主要都市
- ディスプル?(州都)
州域北部の東西中ほどで、メーガーラヤ州?との州境から遠からぬ位置に存在。
ディスプルは行政上の州都だが、隣接したグワハーティ?の郊外都市区が後に独立した。(オールド・デリー?とニュー・デリー?の関係に近い) - グワハーティ?(中心都市)
州域北部の東西中ほど、メーガーラヤ州?との州境から遠からぬ位置で、ディスプルに隣接。 - ディブルガル市?
州域北東部でヒマラヤ山脈に連なる斜面を占めるディブルガル県の、県都。 - ジョルハート市?
州域北東部南西を占めるジョルハート県の、県都。 - シブサガル市?
州域北東部南東を占めるシブサガル県の、県都。 - シルチャル市?
州域南部北辺に位置する、南部の中心的都市。
正規の出入国ゲート
- スカイ・ゲート
- グワハーティ近傍の「ロクプーリヤ・ゴピナス・ボトドリオ国際空港」。
- ディブルガル市近傍の「ディブルガル空港」には、一部国際便も就航。
- ブータン王国との出入国ゲート
- 「増補待ち」
- バングラデシュ人民共和国との出入国ゲート
- 「増補待ち」
主要国内交通路 「増補待ち」
活用や検討
活用
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