ベーシック世界の紛争地図
日本経済新聞社 編『ベーシック 世界の紛争地図 新版』(日経文庫)
どんな本か
『ベーシック 世界の紛争地図 新版』は、2000年5月、つまり、2001年9月の米国同時多発テロ事件?の1年ちょい前に、世界各地の紛争についての資料集として改訂新版が刊行された本です。
「シームレス・ワールドの今」についての情報は、他の資料をあたった方がいいでしょう。
その代わり、最新の報道だと省略されがちな、少し前までの経緯(つまりは現状の背景)は、わかり易くまとめられています。
一言で言えば、国際紛争の最新メディア報道や、参考資料にあたる前の下調べ用“アンチョコ”にいいと思います。
世界を「旧ソ連・ヨーロッパ」「中東」「東南アジア」「東アジア」「南北アメリカ」「アフリカ」の6地域に大別。
地域に影響力の大きな紛争40をピックアップして、背景と経緯がコンパクトに整理されています。本文152頁と数えて単純計算で、1テーマ4頁弱。世界中の紛争が網羅されているわけではありませんが、1書の頁数及び価格を考えると、妥当な方針と思えます。
同程度の価格帯でも、各国の紛争を扱う資料本は多く刊行されていますが。影響力の大きい40件に絞り、かつ、比較的冷静と思える整理がなされているところを推します。
とりあえず、この本にあたってから、必要に応じて、もっと高い資料本を捜しにいくなり、特定の紛争を主題にした資料をあたるなり、といった具合に使っていくといいと思います。
同じ日経文庫から刊行されてる『ベーシック 世界の民族・宗教地図』と併用すると、いざという時の下調べにはさらに重宝するはずです。
ちなみに、「日経文庫」は、文庫サイズではなく、新書判よりやや大きめのワイド・サイズ。書店では、経済書や国際関係のコーナーで扱ってることが多いと思います(文庫本コーナーでの陳列は、まずないでしょう)。
書誌情報
日本経済新聞社 編,『ベーシック 世界の紛争地図 新版』(日経文庫 689),日本経済新聞社,Tokyo,2000.
ISBN 4-532-10689-3
- 新書判ワイド・サイズ、168頁、950円+税。
ベーシック 世界の紛争地図 (日経文庫)
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感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか
- 紛争ネタはPCの国籍や背景、経歴などに応じて、反応が違ってた方がもっともらしいものですが。それでもセッション・メンバー間で共有基盤にできる情報があった方が、キャラの個性的な反応に説得力とおもしろみを演出し易くなります。そのための“アンチョコ本”としてお勧めです。
- プレイヤー専門で『ブルーローズ』を遊ぶ人には、紛争ネタが冒険に関ってくることがママあるキャンペーン環境の方に、お勧めしたいと思います。
ただし、この本から得られる情報のセッションでの採用・不採用は、原則GM裁量を優先、とすることを推奨します。 - GMにとっては、手もとにあると、シナリオ・メイクの下調べ資料として便利でしょう。
- 「紛争とかは扱わないシナリオ傾向だよ」ってGMさんでも、「紛争の影響が及んでない国を見極める」、あるいは「つい10年前までは紛争が繰り広げられていたけど復興した国」を見極めたり、「冒険に影響が出ない程度の紛争かを確認する」「冒険に地域の紛争が影響しないシナリオ料理法を検討する」用途にお勧めします。
- 逆に、充分詳しいから2000年当時の“アンチョコ本”なんていらない、ってGMさんもいるかもしれません。
紛争ネタは、プレイヤーさんによって、見方が大きく分かれることもありがちです。比較的冷静にまとめられた資料本として、購入を一考する価値あり、とはお勧めしておきます。
「ブルーローズ」を離れてみたらどんな本か?
- 内容は、2000年に改訂第4版として刊行されたものです。
そろそろ、5訂新版の刊行を期待したいところ。
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参照:[書籍紹介] [ベーシック世界の民族・宗教地図] [書籍紹介 ベーシック・ピックアップ]