メルコスール
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「メルコスール」は、南米のアルゼンチン共和国、ウルグアイ東方共和国、パラグアイ共和国、ブラジル連邦共和国で結成された国家間機構。現在は、関税同盟で結ばれた共同市場をなしている。
財、サービス、生産要素の自由な流通が目指されている。
2006年7月ベネズエラ=ボリバル共和国が5番目の正式加盟国として加わった。同国は、域外共通関税を2006年から4年間の計画で導入、8年間ほどの見込みで域内関税を撤廃していく予定。
ただし、南米最大の領土と、半分近くの人口とを擁すブラジルがリードする型になっていて、加盟国間の経済格差の調整には、かなり困難な課題が少なくない。
メルコスールの呼称は、スペイン語の“Mercado Comun del Sur”、あるいは、ポルトガル語の“Mercado Comun do Sul”の略称として作られた造語。
(“Mercado”は、英語の“Market”に相当。“Comun”は“Common”、“Sur”は“South”に相当。直訳すれば「南の共同市場」。日本語では「南米共同市場」あるいは、「南米南部共同市場」と訳されている、どちらかといえば「南米共同市場」の方が適切な訳語だろう)
【参照情報】
【参照イメージ】
(メルコスール、及び関係国の地図,WIKIPEDIA The Free Encyclopedeia(英文版)))
追加情報
- 小辞典版推奨判定
- 「情報+知識 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 メルコスールの原構成国4カ国は、1991年に結成準備に入り、1994年に最終議定書が締結された。
- 1995年1月より、域内関税を原則撤廃、域外共通課税を実施する関税同盟として始動。人口、およそ2億人、各国の国内総生産(GDP)合計、およそ8,000億米ドルの自由貿易圏としてスタートした。
- その後、チリ共和国、ボリビア共和国、ペルー共和国、ベネズエラ=ボリバル共和国、エクアドル共和国、コロンビア共和国が、順次準加盟国となり、限定された協定を締結。2003年に、アンデス共同体?(コムニダド・アンデス)との間で、自由貿易協定を締結して協力関係に。現在は南米の10カ国による自由貿易圏と、限定された関係で結ばれた地域圏が形勢されている。
- 2006年現在、ベネズエラが準構成国から正式加盟の手続き中。ボリビアが正式加盟の意向を公表。
- 現在、本部は、ウルグアイ首都のモンテビデオ?に設置されている。
- 小辞典版推奨判定
- 「情報+知識 目標値12〜14」
- 詳しい情報 メルコスール構成国には、アルゼンチンの金融危機などもあり、BRICsの一画を占めるブラジルに経済面でリードされている大勢になっている。構成国間に摩擦、経済格差もあるが、アンデス共同体との協力体制で、より広い南米共同市場の形成が目指されている。
- また、2004年には、メルコスールとアンデス共同体、そして、ガイアナ協同共和国、スリナム共和国、チリ共和国、の3カ国が加わり、ペルーでCSN(南米共同体)?が発足。EU?型の国家共同体形成を目指す、と合意された。
- EU(欧州連合)との間で折衝が続いている自由貿易協定は難航気味だが、2005年5月にはペルシア湾岸諸国との自由貿易協定締結に取り組む方針が合意され、交渉が開始されている。
- 一方、兼ねてから、NAFTA?(北米自由貿易協定)が打ち出していたFTAA?(米州自由貿易地域)構想に対する態度は冷たい。
- しかし、2006年9月、ウルグアイ東方共和国、パラグアイ共和国、の2国がU.S.A.(合衆国)との条件付自由貿易協定の検討に踏み切った。現行のメルコスール規約では、加盟国単独での自由貿易協定締結は禁じられている。もし、ウルグアイ、パラグアイどちらかの国が、U.S.A.と協定を締結すると、メルコスールからの脱退が余儀なくされるだろう。
【関連報道】
- 小辞典版推奨判定
- 「情報/分析+知識 目標値12〜14」
- 詳しい情報 「南米諸国がNAFTAに冷淡なのは、おそらく、OAS(米州機構)?でのU.S.A(合衆国)?の過去の振る舞いへの反発、そして先進国にのみ都合がいい、経済のみの自由化への不信感などが理由だろうな。
- U.S.A.当局は、盛んにグローバリゼイションを言うが、21世紀のグローバリゼイションの実態は、情報、金、物、人に渡る全面的な交流密度の増加と、チャンネルの多様化、多層化、多重化だ。情報については、交流密度の増加と交流チャンネル多様化、多層化の動きは、もはや留めようが無いだろう。
- 金と物、つまり経済は自由化したいが、人の交流は制限したい、しかも各国中央政府をハブとして中央集権的に管理していきたいというような、20世紀のブロック経済の発想では、NAFTAにしろ、FTAAにしろ、メルコスールにしろ、うまくいかんよ。もちろんEU(欧州連合)もだ。
- 各地域には、それぞれの事情に応じて、即応できることと即応が難しいことがある。しかし、21世紀の世界では、経済のみではない、真のグローバリゼイションへの適応に前向きな地域から、順によりよい未来を得ていくことだろう。
- 残念だが、米国主導のFTAA構想には、今のところブロック経済の焼き直しのような点が目立つ。あまりに、国家主義に偏っている面もまずい。メルコスールが目指す南米連合にも、方向性が曖昧な部分はあるが、EUや、湾岸諸国との自由貿易協定などを見る限り、チャレンジング・スピリッツは感じられるな」――一線を退いた元外交エージェント
GM向け参考情報
トピック「メルコスールって?」
「メルコスールやCSN(南米共同体)?って、EU並みに域内通行、楽になるんすかね? おいら、期待してるんすけど」
「君は、バックパッカーだからな。サービスの自由化も目指しているから、一応、可能性はあるんだが。時間はかかるだろうな。君が若い内は無理ではないかな」
「先輩は、CSN(南米共同体)がEU型の統合を達成できると、お考えなのですね(?)」
「『先輩』は勘弁してくれんかね。イリーガル?だったことはないのだよ」
「あら、そうですの? いろいろ、おうわさはお聞きしてますのよ」
「うわさには、尾ひれがつくものだよ。まあ、よしとするかね。メルコスールや南米統合がどうなるかは、わからんさ。南米諸国は国家主義も根強いし、不安要因は多い。
言えるのは、20世紀風のブロック経済の発想では、21世紀の世界には適応できまい、ということだ。それと、EUやコモンウェルス?が取り組んでる多重的な統合は、かつての国家主義的経済ブロック政策とは異なる取り組みだ、と言うことだよ」
「つまり、21世紀を主導するのは、U.K.(連合王国)も加わっているEU、と」
「いやいや、そんなことも言っとらんよ。21世紀の状況に、『今のところ』、一番積極的に取り組んでいるのは、EUや、コモンウェルスだし、実績もあげている、と言っとるだけさ」
「?? えーと、U.S.A.はどうなんすか? 強引で気に食わないすけど。積極的は積極的なんじゃぁ?」
「あの国の政府は、ものの考え方がシンプルでナイーブだからね。21世紀の状況を、見積もり損ねているところが大きい。いくら、グローバリゼイションや、グローバル・スタンダードを言っても、彼らの行動は『シンク・ローカル・アクト・グローバル』に陥ってるな」
「なぁるほど、『シンク・グローバル・アクト・ローカル』の真逆(笑)。はた迷惑なわけだ」
「このジョークを理解できるアメリカ人が、そうは多くないことが困りどころだ。彼らは、あくまで『シンク・グローバル』で動いているつもりだからね」
「それで、先輩は、『アクト・ローカル』優先のCSNや、EUの方を評価してられるんですね」
「今のU.S.A.には、国内問題、つまりローカル・イシューが多い。山積みだよ。格差の拡大、財政赤字、温暖化と異常気象、移民受け入れ問題。ところが彼らは、まず国内で社会体質の改善をはかるよりも先に、グローバルな調整に解決を求めるきらいがある。
もちろん、あらゆる国のローカル・イシューが、ワールド・ワイドなイシューにリンクしてるのは21世紀の世界では常識だ。しかし、この条件はどの国でも同じだ。メルコスールやOSNの話をするなら、彼らがどれだけ『アクト・ローカル』に自分たちの社会体質を自ら変えていけるか。ここが鍵になる。南米諸国に根強い国家主義は障壁になるだろうな。
自分たちの社会体質の改革は、EUでも鍵だよ。EUも、今後は、移民政策にはますます苦慮することだろう。
ワールド・ワイドには、人の移動、交流は、一番やっかいなイシューになるはずだ。一足飛びの自由化も、ボーダレス化も不可能だからね。政策上は、大きな後退も一時的にはあるだろう。しかし、この問題をうまく捌けた地域から順に、よりよい未来に到達するだろうことは確かだろうな」
「移民制限があっても、一時的なもの……」
「情報、金、物の流れは自由化したい、しかし人の流れだけは制限していきたい。そんな虫のいい話が長続きすると思うかね?
もちろん、現実には段階的に対処していくしかあるまい。なに、ヨーロッパは、EUの現状まで到達するのに50年以上をかけてきたのだよ。もう50年、いや100年くらいは頑張れるさ」
「ああ、わかりました。この先、5年、10年のお話ではなかったのですね」
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参照:[南アメリカ] [ブラジル連邦共和国の有用地図集] [国際関係の関連用語]