酸素同位体ステージ
ＰＣが予め知ってていい情報
特になし。
「酸素同位体ステージ」については、関連技能を持たないＰＣは、予備知識なしの処理で不自然ではないと思われます。
追加情報
- 小辞典版推奨判定
- 「分析＋知性 目標値８〜10」「歴史＋知性 目標値10〜12」「情報＋知性 目標値10〜12」
- 簡単な情報 （シナリオによっては、ゲーム前ブリーフィングでプレイヤーに伝えるGM裁量をしてもいいかもしれない）
- 「酸素同位体ステージ」は、自然科学的な手法で再構成された、氷河時代?の古海洋水温（深海底の海温）の変動。酸素の同位体である酸素18の変動の分析に基づくもので、同位体分析の内の、安定同位体分析に基づく手法。
- 酸素同位体ステージでは、過去100万年間の地球で、ワールド・ワイドには10以上の寒暖サイクルが交代してきたことが明らかにされた。
- 後氷期?〜現代を「ステージ１（酸素同位体ステージ１）」として、過去に溯ってステージ番号を振っていく。温暖ステージには奇数番号が、寒冷ステージには偶数番号が振られることになっている。
- 小辞典版推奨判定
- 「分析＋知性 目標値10〜12」「歴史＋知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 酸素同位体ステージは、地層に見られる過去の氷河活動の痕跡に基づいた、氷期?、間氷期?の伝統的な推定再構成を、補正するものとみなされている。
- ただ、酸素同位体ステージと、従来推定されてきた、氷期、間氷期との対応を整合させていくことは、今後の題と言える。
- 一方、酸素同位体ステージの変動は、太陽の日射量に関する天文学理論（ミランコヴィッチ理論）から計算される日射量の変動（ミランコヴィッチ・サイクル）と、基本的に一致することが明らかにされている。
- 現在は、酸素同位体ステージの詳細化、及び、地表の各地域の気候変動との整合や関連付けが研究されており、年代尺度としての高精度化が探求されている過程にある、と言える。
- 小辞典版推奨判定
- 「分析＋知性 目標値12〜14」
- 詳しい情報 酸素同位体ステージの手法では、大洋底に連続堆積した堆積物をボーリングし、採取された深海底コアのサンプルに含まれる底生有孔虫化石の酸素同位体比率から、古海温の変動を再構成していく。
- 安定同位体分析の１種である酸素18と、酸素16との含有比率が分析される。
- 酸素の同位体には酸素16、酸素17、酸素18があるが、自然界での存在比率はほぼ一律で、酸素18は酸素16のおよそ１／500しか存在しない。しかし、物質の状態に応じて、含まれる同位体比率はわずかに変動する。
- 海水から蒸発する水蒸気には、酸素16が海水中より多く含まれ、より多量の水蒸気が蒸発する温暖期には、海水中の酸素16含有率は相対的に低くなる。
- 深海中に棲息する底生有孔虫は、その殻の成分（炭酸カルシウム）に、棲息期の海水中に含まれていた酸素を固着させる。3000m以上の深海底では、水温は日射や細かな気温変動に影響されないと考えられるので、深海底コアに含まれた有孔虫化石の酸素18／酸素16含有比率からは、深海底海温の長期変動が再構成される。
- 低温の海水は比重が重いため海底を流れるので、長期的な深海海温変動は、地表の氷雪総量の変化と間接的に関係していることになる。このため、酸素同位体ステージはワールド・ワイドな気候変動を反映したものとみなされている。
- ただし、酸素同位体ステージにも、サンプルとなる深海底コア採取地の問題はある。深海底海温は、直接的には深層海流に影響され、間接的長期的には、地上や洋上氷雪の融水流出経緯にも影響されるからだ。
- 例えば、太平洋海底の深海底コアを試料として再構成された酸素同位体ステージは、ヨーロッパ基準の氷期 - 間氷期変動ではなく、北米基準や、中国基準の気候変動との対応関係が考慮されるべきものとされている。
ＧＭ向け参考情報
- ＧＭ向けの補足情報、マスタリング・チップス、アイデア・フックなど。
「年代測定法」の項を参照されたし。⇒ 年代測定法
キーワード:
参照:[同位体分析] [＋αのワールド用語]