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パンノニア平原

パンノニア平原 パンノニアへいげん (Pannonian Plain)

PCが予め知ってていい情報

 「パンノニア平原」は、東欧地域の内陸部で、ハンガリー共和国国土のほとんどを占め、さらに、近隣諸国の領土にも連なっている広い平地。

 平地が広がるハンガリー周辺諸国領土とは、南方のクロアチア共和国領西部、セルビア共和国領北部、及び、ルーマニア領西部の縁辺。

(さらに広義には、次の諸国の領域の一部も含むことがある。オーストリア共和国、スロヴァキア共和国?チェコ共和国ウクライナ。あるいは、スロヴェニア共和国?、ボスニア=ヘルツェゴヴィナ?の一部も加える場合すらある)

 「大ハンガリー平原」とも呼ばれるが、この呼称を周辺諸国で使うと、いい顔はされないらしい。ハンガリー国内では「プスタ」とも呼ばれるが、今日この地名はハンガリー領東部の平地に限定して用いられることが多い。

 「カルパート盆地(カルパティアン盆地)」とも、「ハンガリー盆地」とも呼ばれる(後者は、やはり周辺諸国ではあまり使われない)。

【参考地図】

追加情報

小辞典版推奨判定
「情報+知性 目標値10〜12」、「電脳+知性 目標値12〜14」
やや詳しい情報 パンノニア平原は、カルパティア山脈バルカン地域北縁の山地、及び、ディナル・アルプスとに縁取られている。(故にカルパート盆地、又はカルパティアン盆地の別称でも呼ばれる)
 国際河川ドナウ川が貫流。普通、ドナウ西岸は「トランス・ドナウ台地」と呼ばれ、ドナウ東岸のハンガリー領が「プスタ」と呼ばれている。
 降水量はさほど多いとも言えないが、ドナウ川や、ティサ川?などカルパティア山地から流出する河川によって潤されている。ローム状の土壌もかなり肥沃で、ヨーロッパの穀倉地帯の1つと言える。ただし、土壌は塩分も多めで、主要作物は小麦やヒマワリなど。牧畜も複合して営まれている。
小辞典版推奨判定
「分析+知性 目標値10〜12」、「情報+知性 目標値12〜14」
やや詳しい情報 バルカン半島付け根部の丘陵地帯、及び、東西のカルパティア山脈に縁取られる。基本的な成り立ちは、沈降盆地。このため、古地理学では「カルパティアン盆地」の呼称が用いられる。
 また、環境研究では、古地理学で言うカルパティアン盆地を含んだ、より広い地域を「ドナウ盆地(Donau basin)」と呼ぶこともある。
 ドナウ盆地は、ドナウ川本流のみでなく、ドナウに合流する水系が流れる傾斜面で形成された盆地状の土地を指す。パンノニア平原は、ドナウ盆地の底地平地部にあたるだろう。
 近年、地球温暖化?の影響と思われる増水が夏季に多く、ドナウ盆地、特にパンノニア平原は、ほとんど毎夏のように水害に見舞われる。ドナウ水系流域諸国で、国際的に協力した水害監視体制、水害対策の確立が必要とされている。
 一方、増水のメカニズムの整理も重要とされている。もし、アルプス山系の氷河溶融が関わっているとしたら、将来的にはパンノニア平原への水資源供給量が減る、あるいは季節的に減衰する可能性も考えられるからだ。
(ヨーロッパ・アルプスでの氷河の溶融自体は、局所的に確認されている。山系全体での進行度を確認する調査体制は、まだ充分組織されていない)
小辞典版推奨判定
「歴史+知性 目標値10〜12」、「電脳+知性 目標値12〜14」
やや詳しい情報 別称で「パンノニア盆地」とも。これは、古代ローマの属州パンノニアにちなむ古称だが、雅語的ニュアンスで今も使われる。ドナウ川を国境線に東岸がローマ領辺境だった。
 古代〜中世には深い森林が生い茂る地域だったが、西欧諸国がいわゆる大航海時代?に入るのと前後し、大形概要帆船のメイン・マストに使える大木が輸出品として切り倒されていき、最終的に現在のような平地に変貌した。
 近世には、ハプスブルグ帝国とオスマン・トルコ帝国が勢力圏を接し対峙した地域でもある。古代〜中世の中葉は、広い意味でのヨーロッパ文化圏の東縁だった、ともみなせる。
小辞典版推奨判定
「歴史+知性 目標値12〜14」、「電脳+知性 目標値14以上」
やや詳しい情報 
 カルパティアン盆地(パンノニア平原)では、新石器時代末には、定住者たちが平地から石器の石材を採取することもできた。銅など、金属採掘の中心は、カルパティア山脈山中やバルカン地域の山裾から、徐々に山地内に移っていった。
 定住文化の発生以前から、ドナウ川沿いに黒曜石流通のリレー式交易網が営まれていた、と目される。金属器の製作、使用が広まっても、ほぼ同じ交易ルートは、かなり長く利用された。

【参考地図】

GM向け参考情報

 現在のパンノニア平原の景観は、草原が優勢。樹林も少なく無い。特に、東部のハンガリー平原は典型的農牧地が広がる。

 ドナウ川流域の都市に、人口集中傾向みられる(もちろん、ドナウ流域以外にも都市はある)。都市部以外の平均人口密度はあまり高くない。

 要するに、往来の多いドナウ川を離れ、平原に入ると(都市を除いては)メッキリ田舎っぽくなる――と書くと身も蓋もないが、大まかなイメージはそういうこと。

 なお、パンノニア平原の領域は、カルパティア山脈の山域を把握すると、イメージし易くなる。(⇒ カルパティア山脈

【参照イメージ】

用途、用法

 ドナウ川流域、及び、都市部以外では、アクションは、チェイス類ならかなり派手なものも可能。戦闘も派手目の銃撃戦程度までなら、無理なく可能。

 ただし、セルビア共和国領内、及び同国国境付近での戦闘は国際的な波及効果が大きいことには注意。収拾がつかなくなるほどとは限らないのが、やるなら、シナリオ内やゲーム後ブリーフィングにて、波及効果もフォローしていきたい。

 セルビアの件は、一部陰謀組織の方が深く考慮している、とするとキャンペーン・ハンドリングは楽になる。

  • 例えば、一案、シュープリームは、今や最大の顧客と言える米国当局が旧ユーゴでの紛争再燃を望んでいないことを理解している、とするなど。銀の暁もEU拡大に関する長期的陰謀から、今は旧ユーゴの騒乱は抑えておいた方がいい、と考えているとか。
  • 各組織の中枢が上のように考えている、と設定した上で、個別のシナリオでは末端が暴走する、ということはあっても構わないだろう。

 考古学関係では、近年注目されている「南東ヨーロッパ初期農耕文化」との関係で、ハンガリー盆地各国での初期農耕遺跡(新石器時代末の集落遺跡)研究に、期待が寄せられている。B.C.4500年頃から営まれはじめた農耕集落址がいくつも発掘されている。

 今さら、新しい集落が発掘されてもなんの不思議もない。こういう場所は、「今までにない新しいタイプの遺跡が!」とやっても、はじめの内、学会は反応が鈍かったり、一般ジャーナリズムが、妙に勘違いした反応を示したりしがちなので、シナリオでは扱い易い(笑)。

  • ちなみに、この初期農耕文化は、南方にあたるバルカン半島方面がルーツ。
  • ただし、パンノニア平原の初期農耕文化が注目されているのは、ギリシアから地中海沿岸沿いに西へ伝播していった初期農耕文化と、あきらかにタイプが異なる文化が発展したからだ。
    バルカン半島からの伝播は、文化だけが伝わってきたのか、農耕民が移住して来たのか、まだ定説はなりたっていない。
  • 現地の研究者としては、今、まさにやりがいのある「旬」のテーマだろう。(周囲からどれだけ理解されるかは別問題だが)

 これらの新石器遺跡は、旧ソ連崩壊?以降、各国の研究者も現地での調査活動が、以前よりも、はるかにた易くなっている。

 一方で、決して豊かな国ばかりとは言えない地域なので、ローズ考古学財団のコネは、各国の研究機関、及び、文化行政管轄当局にかなり利く、と設定してもおかしくない。

登場しても唐突でないNPC
各国の現地住民。非都市民には、基本的に農牧業者、林業者が多い。遺跡調査の研究者NPC。やや凝ったところで、ロマ(ジプシー)を出してオーパーツシャドウ・ウォーズに絡めていく手もおもしろい。

用途

 シナリオでの用途は、基本的なのどかさを活かす方向で考えてみるといいだろう。

 導入部では、のどかな平原地帯の一角での遺跡発掘場面、陰謀組織の襲撃、一転して緊張感あふれるイラクとか、カフカス地方へ飛ぶPCたち、なんて展開が、基本的なワールド・ワイド展開だろう。

 そんな、のどかなとこで、PCたちが何をしてたか? と言うと、例えば「財団さんが興味を持ちそうな物が出てきちゃったんで、見にきますか?」と言われて派遣された、などが考えられる。

  • シナリオに研究者NPCを出す場合、まずキャスト・レベルを1にするか2にするかを検討。キャストLevを2にしたとして、次の選択は、超古代文明実在説を信じていてローズ考古学財団とかなり密な関係を持ってるキャラとするか、超古代説は信じていない一般的な研究者にするか、になる。
  • ハンガリー盆地周辺国の研究者は、一般的研究者と設定してもシナリオで使い易い。
  • 彼らにとっては、ローズ考古学財団の財政的支援は、かなりありがたいものだろうから。
  • その筋では有名な、ローズ財団理事長(ジェシカ・ローズ)の趣味にも、多少は付き合っておこうか、という気にもなろうと言うものだ。
  • これが、財政的にも豊かな先進国の研究者だったら、学会では結構陰口言われてるけど、セレスティアル・ゲートにハマるほどイッちゃってはいない、って感じのNPCが、やはり超古代文明研究者には相応しいだろう(笑)。「歴史+知性」よりも「歴史+直観」に頼るタイプの研究者である。

 ゲーム・コンセプトワールド・ワイドそのものではないが、準じるものとして、平地部の国境を越えただけで、かなり雰囲気が変わってしまう様子を、シナリオに取り込む手もあるだろう。

 ハンガリー平原の場合、狙い目はやはりセルビア共和国だ。同国の「地域感情」(ルールブック、p.91)は、EU加盟諸国、及び、NATO加盟諸国に対して相当に悪い、と想定。

 のどかな雰囲気のハンガリー共和国から自動車で国境を越えた途端、ギスギスした空気にさらされる、というのも、国際的な調査員ならではの冒険の一環になる。

  • ただし、このアプローチでシナリオ・メイクするなら、セルビアの現状と、紛争の経緯とをそれなりに調べないと、実際のセッションではマスタリングに難渋する可能性が高い。リスクが高めの題材、ではある。
  • 調べをしておけば無謀なアプローチとも言えない。ロマをシナリオのキーNPCに使う場合は、是非、考慮してみたいところ。

別称類

 マジャール語(ハンガリー語)による名称は、「オルフェド盆地」。

 ハンガリー国内では「プスタ」とも呼ばれるが、今日この地名はハンガリー領東部の平地に限定して用いられることが多い。

 「大ハンガリー平原」とも呼ばれるが、この呼称を周辺諸国で使うと、いい顔はされないらしい。

 セルビア語、及びクロアチア語では、「パンノニスカ盆地」。

 ルーマニア語では「キビア・ドゥネリ・デ・ミジュロク」。

 「カルパート盆地(カルパティアン盆地)」とも。古地理学では、もっぱらこの呼称が用いられるが、一般社会ではあまり使われない。「ハンガリー盆地」とも呼ばれることもあるが、やはりハンガリー以外ではあまり使われない。

 「ドナウ盆地」も環境研究の専門用語に近く、一般社会ではあまり使われない。ただし、環境保護団体の関係者や、各国の環境担当、災害担当の役人、政治家などは、知っていておかしくない。

トピック:パンノニア平原(カルパティアン盆地)の成り立ち

 現在のパンノニア平原にあたる地域は、アルプス造山運動が始まるのと前後して東西のカルパティア山脈が褶曲した結果、一旦、大きく沈降した。

 元々、アルプル造山運動が始まった頃は、ワールド・ワイドな気候が現在よりもかなり温暖だったので、海面水位も現在より高かった。

 そのため、沈降を起した現在のカルパティアン盆地(パンノニア平原)には、北のサルマティア海から海水が流入し、サルマティア海に連結した内海になった。

(ちなみに、サルマティア海とは、古地理学の用語で、現在のバルト海沿岸の東欧側が浅海になっていた海域を指す。スカンディナヴィア半島?側は含めない)

 サルマティア海の調域は、世界地図でパンノニア平原から北東にかけてのあたりを見ながら、イメージで想像してみるといいだろう。

 現在のポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニア、及びロシア共和国の北西部は、当時、大陸棚の状態にあったのだ。

(古地理学は、気の長い学問なので、大陸棚も「陸地(陸塊)」に含めて考える。たまたまちょっと数百万年くらい海に沈んでいたこともあるけど陸地だ、というセンスである(笑)。
古地理学関係の資料をあたったとき「浅海」と書いてあったら、上記の「たまたましばらく海に沈んで大陸棚になってたこともある陸地」のことを意味する)

 現在のパンノニア平原は、内海状態にあった時期に海底堆積物が堆積して地質が形成された。このため、カルパティア盆地のことを、古地理学では「パンノニア海堆盆(地)」と呼ぶこともある。

 パンノニア平原にあたる地域の沈降は、周辺で褶曲していたカルパティア山脈の外縁で、しばらく活発な火山活動を引き起こした。

 この火山活動の痕跡としては、数百の古い噴火口跡が、カルパティア山脈外縁で確認されている。

 火山活動が納まる頃には、沈降が回復(上昇)。前後して気候寒冷化による海退が起き、現在のようなカルパティアン盆地が生まれた、と言われている。

 パンノニア平原で、新石器時代末頃から初期農耕集落が営まれていたことが発掘で確認されていることはすでに触れた。

 海堆層で肥沃だったパンノニア平原では、河川流域を中心に農耕社会が栄えたが、地層が海堆性だったため、急速に表層土壌に塩分が浸出。灌漑などの結果毛細管現象によって地層の水分が上昇し、塩分だけが地表近くに蓄積されていく現象が起きた、と考えられている。

 こうして、地域は農耕に適さなくなり、草原が増した。現在でもパンノニア平原では、牧畜と農耕を組み合わせた混合農業が主流になっている。

 さらに、近代に入る時期に、森林が大規模伐採され現在のような景観が形成された。

活用や検討

活用

  • このページの記事を踏まえた、アイディア・フック?、使ってみたシナリオ、セッション・レポ、などなど
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重要な改訂の情報

  • 内容に追加、変更があった場合のみ、でいいでしょう。
    (誤字脱字の訂正や、文章を整える程度では記録不要)
  • 2006-10-03 (火) 20:20:02 鍼原神無 : ドナウ盆地?関連など、若干の情報を補完し、情報等級も整理しました。
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検討

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