アッシュル・バニパル文庫
PCが予め知ってていい情報
ニネヴェ遺跡?出土の粘土板文書の内、アッシリア帝国?の帝王、アッシュル・バニパルが収集した古文書コレクションを指す総称。19世紀に発掘された。
「ニネヴェの図書館」、「アッシュル・バニパルの図書館」などと呼ばれることもあるが、粘土板文書のコレクションを指す呼称としては「アッシュル・バニパル文庫」が相応しい。
やや詳しい情報
ニネヴェ遺跡?では、古文書庫と思われる建築物が複数発掘されているが、アッシュル・バニパルの王宮で、玉座の裏側に設けられていた通路に保管されていた粘土板が、特に「アッシュル・バニパル文庫」と呼ばれる。
発掘されたものは、U.K.(連合王国)のブリティッシュ・ミュージアム(大英博物館)に収蔵されている。
さらに詳しい情報
ニネヴェ遺跡?は、U.K.(連合王国)出身のA.H.レイヤード?らによる発掘が1849年から着手された。アシュル・バニパル文庫の発見は、1853年の発掘でのことで、発見者はレイヤードの助手をしていた、H.ラッサム?。レイヤードは、同年の発掘を最後に、U.K.本土に帰国した。
アッシュル・バニパルが帝位に就く前から所有していた私物を、勅命で拡充したコレクション。総数は、2万2千枚とも2万5千枚とも、あるいは4万枚とも言われる。(砕片に別れているので何枚という数え方は、さほど正確ではないのだが、規模は覗える)
その後の発掘で出土した、メソポタミア各地から粘土版古文書、及び、写本収集を命じる王命書簡は、諸国語に通じていたアッシュル・バニパルが、祭政や神話、物語的な年代記の収集に深い関心を寄せていたことを示してている。
GM向け参考情報
アッシュール・バニパル文庫の粘土板は、発掘直後から、U.K.(連合王国)のブリティッシュ・ミュージアムに移送され、収蔵されている。
当初は抽象的な装飾模様と考えられていた楔型文字?は、丁度1850年代頃から文字であるとの確信が研究者の間に広まりさ、解読の試みが本格化していった。
シュメール語?を記した楔型文字文書は未だ発見されていなかった1846年、まず、第1種文字と呼ばれていた古代ペルシア語?、60文字が解読された。
第3種文字による碑文200行ほどが刻まれた黒のオベリスクが、レイヤードによってニネヴェ遺跡?から発掘されたのが、1849年。ニネヴェ遺跡の発掘では、続いて、アッシリア語?-シュメル語?の単語対照集、シュメル語学教科書、百科事典のような用語集などが発掘された。
『アッシリア王ティグラト・ピラセルの碑文?』が公表されたのが、1857年。
こういう時機に、偶然にも膨大な第3種文字の文字史料もたらしたのが、1853年の、アッシュル・バニパル文庫の発掘だったのだ。
発見されたアッシュル・バニパル文庫の研究から、アッシリア学?(当初のメソポタミア考古学の呼称)が興り、古バビロニア?の発見へ、そしてシュメール文明?の発見へと、メソポタミア文明の考古研究は本格化していった。
古代文字が解読可能になったことは、大きな前進だったが、古代文明の解明という目標にとっては、やっと入口から玄関口にたどり着いたようなものだった。
出土した粘土板の解読により、バビロニア神話や、バビロニア天文学(占星術)など、例えば、「ギルガメシュ叙事詩」「エヌマ・エリシュ」、そしてメソポタミア版の「大洪水伝説」などが、順次、現代人の知るところになっていく。
が、それは、アッシュル・バニパル文庫の発見から、なお20年ほどを要した別の話になる。
粘土板文書の所在や現状
ブリティッシュ・ミュージアムに一括収蔵。(フィクション設定としては、“公式には”、発掘されたすべてが一括収蔵されている、としてもいい)
粘土版文書自体は、分類されたうえで、バック・ヤードに収蔵され、一般公開されることも、現物が貸し出されることもない、と想定。
解読されたテキストは、現代語訳が順時公刊されて来ている。
復元可能な粘土板は、現在までにすべてが復元されており、残りは復元に必要な断片が欠落しているため、関連すると推定されている断片ごとの仮分類がなされている、と想定。
粘土板の翻訳は、現在も継続中で、すべての解読が完了しているわけではない、と想定する。ブリティッシュ・ミュージアムの収蔵庫から、未知の重要文書が新たに発見されることは、過去の研究史でも実際にあったことである。
例えば、何者かが隠匿していた未知の粘土板断片がもたらされたために、従来は解読困難だった、未知の重要文書が解読可能になった、などとするフィクション設定は可能。
キーワード:
参照:[エヌマ・エリシュ] [ニネヴェの図書館] [天命の書板] [アーティファクツやオーパーツ・ソース] [ニネヴェの遺跡] [エジプト誌] [遺跡] [アッシュル・バニパル] [考古学、歴史研究の関連用語] [新アッシリア時代] [ギルガメシュ叙事詩]