地図で読む世界の歴史『古代エジプト』
地図で読む世界の歴史『古代エジプト』
どんな本か
古代エジプト史のアウト・ラインを、一般向けに整理した、通史的な概説書。
シリーズの他の書籍同様、大きめの紙面(判形)に、フルカラーの各種地図(歴史地図、他)が豊富に採録されている点が特色。
書誌情報
ビル・マンリー 著、鈴木まどか 監修、古田実 訳,地図で読む世界の歴史『古代エジプト』,河出書房新社,Tokyo,1998.
ISBN 4-309-61183-4
- B5判変形、141頁、本体2000円+税。
- 古代エジプト (地図で読む世界の歴史)(ビル マンリー/鈴木 まどか)
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- 構成
- 本文141頁。ただし、この紙数には巻頭グラビアや、目次も含まれている。
目次や年表、索引などを除くと、120頁が5章に構成されている。
主に扱われているのはB.C.3500年頃から、B.C.305年頃まで、およそ、3200年ほど。 - 各章は、章の頭に置かれた概説記事と、続く重要トピックについての詳しめの解説記事とから成っている。
概説記事では、章に分けられた時代区分の歴史動向が概説されている。
トピックごとの記事は、見開き構成を基本形として解説記事と歴史地図を構成したコーナーになっている。
トピック解説の頁を参照しながら、各章頭の概説記事を読んでいくとむと、理解が深まっていく仕掛けだ。
各章頭の概説記事頁にも写真など図版類の採録は多い。 - 他に、巻頭に収められた年表、巻末に収められた索引も便利。
感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか?
- 古代エジプト史の入門概説書。古代エジプト関連の歴史地図が豊富に掲載されている。
- 古代エジプトに興味がある人なら、プレイヤー専門で「ブルーローズ」を遊ぶ人でも、楽しんで読める資料本だろう。
イメージ・ソースブックとしてもお勧め。
(もちろん、書籍で得られた情報の採用、不採用はGM裁量優先、をお勧め) - オリジナル・シナリオを作るGMさんにはお勧め。
特に「歴史ミステリーをシナリオ・ネタに絡める傾向」のGMさんにはお勧め。 - 各種歴史地図が豊富に掲載されているので、現在の地理を扱った他の地図帳などと相互参照していくと楽しいでしょう。
- 例えば、屋形禎亮さん監修の『ナイルの遺産』(山川出版社)で、遺跡の位置などを確認し、この地図で読む世界の歴史『古代エジプト』を相互参照すれば、古代エジプト・ネタのシナリオ・メイクはかなり楽になるでしょう。
(現代のエジプトの状況については、別のソースを参照する必要はあります)
「ブルーローズ」を離れたらどんな本か?
- 一般向けの古代エジプト史概説書としては、良書と思える。
- 本文紙面の概ね半分弱が、フルカラーの歴史地図各種に、半分強が概説記事に割かれています。
- 古代エジプト研究での伝統的な時代区分を踏まえた章立て構成が、なされています。
- ヌビアやリビア、シリア・パレスティナ地域など、ナイル流域の古代エジプト文明中核部と、外縁地域との関連が重視されているようです。エジプト文明圏の、時代ごとの領域変動も追っかけ易くなってます。
- エジプト文明圏内の地域間の相互影響にも重点が置かれた解説、多いと思います。地域史の本、とまでは言えませんが、共通性の大きな古代エジプト文明も、実態としてはよく「一房の葡萄」に喩えられる、領邦国家的な性格だったことがわかります。
- よく、「古代エジプト3千年」との歴史ロマンが言われますが、内部での変遷など古代エジプト文明の内実について、専門研究者ではない人向けのエントリー用に適した本、と言えるでしょう。
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参照:[書籍紹介] [地図で読む世界の歴史]