吉村作治の文明探検3『マヤ・アステカ』
吉村作治の文明探検3『マヤ・アステカ 太陽の都』
どんな本か
吉村作治の文明探検3『マヤ・アステカ 太陽の都』は、平凡社?から刊行されている、メソアメリカ遺跡のビジュアルガイド。
古代エジプト研究で著名な吉村作治氏が、メソアメリカの遺跡を訪れて、読者に向けてガイドするという主旨。吉村氏による遺跡ガイドを補うかのように、メソアメリカ考古学の専門家による概説記事も掲載されている。
フルカラーのページと白黒のページが概ね半々(片面カラー、片面モノクロで印刷した紙面を製本しているようだ)。遺跡などを中心にしたフルカラーの写真や地域地図、白黒ページに多くなるが遺跡図などが豊富なのが特徴。
- 内容構成
- 序章 メソアメリカ文明、興亡の三〇〇〇年
- 第1章 きらめく、文明の宝庫
- 第2章 マヤのピラミッド、その建造の謎
- 第3章 儀式と知識のTeikoku不滅の王の不滅の謎
- 終章 滅亡。そして継承
- 巻末資料編
メソアメリカ史年表/参考文献/索引、他
書誌情報
吉村 作治 著,吉村作治の文明探検3『マヤ・アステカ 太陽の都』,平凡社,Tokyo,1998.
ISBN 4-582-63163-0
A5判変形(ワイド)、109頁、1500円+税。
感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか
- 全般にトンデモ・ネタの類は薄い。
- 古代エジプト研究者が、メソアメリカの遺跡を訪れてガイドしているわけだが、著者ならではの語り口で、好感が持てるだろう。
「古代エジプト研究のために建築学を専門的に学んだ」と伝えられる吉村氏らしい、遺跡の解説が、専門の違いをわきまえた遺跡解説になっている。 - 刊行は1998年なので、細かな内容にはやや古びつつある点もあるはずだ。メソアメリカでは、その後大きな発見があった事が報じられているからだ。しかし、著者の遺跡に対する考え方は、その大筋は古びてはいないように思える。
- 「ブルーローズ」のプレイにどこまで役立つかは、GMのシナリオ傾向次第。
- ただし、プレイヤー専門で「ブルーローズ」を遊ぶ人でも、豊富なカラー写真や遺跡図など楽しんで読める資料本だろう。
- オリジナル・シナリオを作るGMさんにとっては、シナリオの題材、マスタリング傾向に応じて、アイデア・ソースとして有用。
- カラー写真や遺跡図が豊富なのが助かる。メソアメリカ地域を主要舞台に想定したシナリオを作るならお勧めしたい。
「ブルーローズ」を離れてみるとどんなシリーズか
- 著者の吉村作治氏は、よく、研究書や一般向け概説書など、書籍の企画に併せて語り口を変えるサービス精神旺盛な文筆家、などと評される。
『マヤ・アステカ 太陽の都』は、そんな著者のポリシーがいい方向で発揮された良書と言えるだろう。一般向けの遺跡解説を通して、メソアメリカの諸文明の遺跡がイメージし易い。 - 「古代エジプト研究のために専門的に建築学を学んだ」吉村氏の面目躍如。遺跡解説は面白い。
キーワード:
参照:[吉村作治の文明探検] [書籍紹介]