吉村作治の文明探検2『ツタンカーメン』
吉村作治の文明探検2『ツタンカーメン ファラオの都テーベ』
どんな本か
吉村作治の文明探検2『ツタンカーメン ファラオの都テーベ』は、平凡社?から刊行されている、古代エジプト遺跡のビジュアルガイド。
古代エジプト研究で著名な吉村作治氏が、テーベの遺跡を中心にガイドするという主旨で、分かり易く丁寧な解説がなされている。
フルカラーのページと白黒のページが概ね半々(片面カラー、片面モノクロで印刷した紙面を製本しているようだ)。遺跡などを中心にしたフルカラーの写真や地域地図、白黒ページに多くなるが遺跡図などが豊富なのが特徴。
『ツタンカーメン ファラオの都テーベ』では、ツタンカーメンの時代を中心に、中王国時代のエジプト文明や、現代の発掘、発見史への言及も厚め。
- 内容構成
- 序章 有名の王、未知の王
- 第1章 1922年11月4日という日
- 第2章 夢と愛と願いが眠る谷
- 第3章 2000年信仰の時代
- 第4章 不滅の王の不滅の謎
- 第5章 世紀の大発見の光と影
- 終章 ハイテク探査と情熱と
書誌情報
吉村 作治 著,吉村作治の文明探検2『ツタンカーメン ファラオの都テーベ』,平凡社,Tokyo,1997.
ISBN 4-582-63162-2
A5判変形(ワイド)、109頁、1500円+税。
感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか
- 刊行は1997年なので、細かな内容にはやや古びつつある点もあるかもしれない。しかし、著者の古代エジプト史についての考え方は、その大筋は古びてはいないように思える。
- 同じシリーズの『超古代ピラミッドとスフィンクス』を併読すると、さらに面白い。
- 「ブルーローズ」のプレイにどこまで役立つかは、GMのシナリオ傾向次第。
- ただし、プレイヤー専門で「ブルーローズ」を遊ぶ人でも、豊富なカラー写真や遺跡図など楽しんで読める資料本だろう。
- オリジナル・シナリオを作るGMさんにとっては、シナリオの題材、マスタリング傾向に応じて、アイデア・ソースとして有用。
- カラー写真や遺跡図が豊富なのが助かる。古代エジプトを題材に使ったシナリオを作るならお勧めしたい。
- 同じシリーズから刊行されている、吉村作治の文明探検1『超古代ピラミッドとスフィンクス』や、山川出版社から刊行されている『ナイルの遺産』を相互参照することができれば、かなり色々なシナリオを作ることができるだろう。
「ブルーローズ」を離れてみるとどんな本か
- 著者の吉村作治氏は、よく、研究書や一般向け概説書など、書籍の企画に併せて語り口を変えるサービス精神旺盛な文筆家、などと評される。
『ツタンカーメン ファラオの都テーベ』は、そんな著者のポリシーがいい方向で発揮された良書と言えるだろう。一般向けの遺跡解説を通して、古王国時代のエジプト文明の社会システムがイメージし易い。 - 「古代エジプト研究のために専門的に建築学を学んだ」吉村氏の面目躍如。著者自身、実際に何度も脚を運ばれている遺跡の解説はツボを押さえていて面白い。
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参照:[吉村作治の文明探検] [吉村作治の文明探検1『超古代ピラミッドとスフィンクス』] [書籍紹介]