{{toc}} !バスラ市 バスラし :'''アラビア語名の音''':Al-Ba?rah :'''英語表記''':Basrah *「判定処理なしに、PCが知ってることにしていい」情報とします。  バスラ市は、[[イラク共和国]]の南部で、最大の都市。  バスラ市は、[[シャッタル・アラブ川]]が低湿地に入る手前(北方)の[[右岸|右岸、左岸,河川の〜]]に立地。[[ユーフラテス川]]に[[ティグリス川]]が合流するあたりの西方に市域が広がる、と思えば遠くない。  [[イラク戦争]]後の、[[イラク治安維持の地域分担]]では、南東部区域に含まれ、[[U.K.(連合王国)]]多国籍師団の指揮下の各国部隊と[[ISF]](イラク治安部隊)が治安維持を担当していた。2007年12月、U.K.軍は、治安権限を、イラク治安部隊に委譲。引き続きイラク治安機構の育成などにあたることになった。 //イタリア軍は2006年年末までに撤退予定) //オランダ軍は隣接したムサンナー県に進駐していたが、2006年9月に撤退した。  バスラ市はイラクの重要な港湾都市で、しばしば「イラク第2(の規模)の都市」とも呼ばれている。近傍には、バスラ国際空港もあり、国際便も就航している。 '''【参照地図】''' *[[Iraq map Basrah|http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/34/Basra_location.PNG]]{{br}}(イラク地図,[[Wikimedia Commons]]) !やや詳しい情報 *「簡単な判定に成功すればわかる情報」とします。 :'''小辞典版推奨判定''':「情報+知性 目標値8〜10」「交流+知性 目標値10〜12」 ::'''やや詳しい情報''' バスラ市は、バスラ県の県都で、県域東部の南北概ね中ほどに位置。 :: バスラ市西郊外を中心に、県域西部ではバスラ油田が営まれ、多数の油井が設けられている。 :: バスラ市には精油所も存在し、日におよそ14万バレルを精油する能力を有す。[[ペルシャ湾]]内奥の北岸から120kmに立地。人口40万6千人(1987年)。 :: バスラ市の北東部でシャッタル・アラブ川に面したアシャールが旧港。アシャールの北8kmに設けられたマアキルが近代的な港湾で、タンカーをはじめ、大型船が出入りする。 :: アシャールの方は、一般的な商港として運用されていて、地域の商業中心にもなっている。 :'''小辞典版推奨判定''':「軍事+知性 目標値10〜12」「情報+知性 目標値12〜14」 ::'''やや詳しい情報''' バスラ市とその一帯は、[[第1次世界大戦]]中、[[U.K.(連合王国)]]軍に占領された。 :: アマキルに近代的な港湾が整備されたのは、U.K.占領下の1次大戦中のこと。 :: 第2次世界大戦中には、バスラは、ソ連軍に多量の物資を送り出す重要な役割を担う港として機能した。2次対戦末には、バスラ市の人口は9,3000人ほどに膨らんでいた、と記録されている。 :: 1980年〜1988年のイラン・イラク戦争では、バスラは重点攻撃目標の1つとされ、爆撃を被った。1970年代に150万人強ほどになっていた人口は、1980年代末には90万人以下に減少していた。戦争が最も激しかった時期は、40万人ほどまで減少していた、とも言われる。 :: 1990年にイラクがクウェートに侵攻。これをきっかけにした[[湾岸戦争]]では、バスラも多国軍に空爆を受けた。1991年のことになる。 :: 1991年の湾岸戦争後、バスラ市は、当時のサダム・フセイン大統領が率いたバース党政権に対する反乱力の拠点になった。バース党政権はこの反政府勢力を武力で弾圧。1999年に起きた第2次バスラ反乱では、バスラ市及び周辺で政府軍による大量殺戮が繰り広げられた。 :: さらにイラク政府は、バスラ市を孤立化させ、交易機能は[[ペルシア湾]]湾岸に立地する湾都市ウマ・カサール(Umm Qasr)に移されていった。 :: 2003年、[[イラク戦争]]に際しては、バスラは初期の激戦地となった。U.K.軍が4月6日にバスラ市を制圧したが、同月21日、一連の爆破攻撃が進駐軍も市民も無差別に殺傷。バスラ市は、侵攻するU,S,A軍、U.K.軍が最初に足止めされた地点となった。 :'''小辞典版推奨判定''':「交流+知性 目標値10〜12」「情報+知性 目標値12〜14」 ::'''やや詳しい情報''' バスラ県は、バスラ市周辺以北が、住民が、アラブ系[[シーア派]]にほぼ占められた地域。極、少数のキリスト教徒の居住。南部の[[沙漠地帯]]から隣接するムタンナー県にかけてが、アラブ系のシーア派、[[スンナ派]]混住地域になっている。 :: 河川流域では、ナツメヤシや麦類、米、トウモロコシが栽培されている。バスラ市、に設けられている運河網が利用され、アシャールの港を中心に、農産物など1次産品の大集散地になっている。 :: 運河網の存在のため、バスラ市はしばしば「中東のベニス」とも呼ばれる。 :'''小辞典版推奨判定''':「歴史+知性 目標値10〜12」 ::'''やや詳しい情報''' 現在のバスラ県は、17世紀後半に一帯を征服したオスマン=トルコ帝国によって定められた行政区がベースになっている。 :: オスマン時代は、現在の[[クウェイト|クウェイト国]]の領域も治めていたが、18世紀にサバーハ家が[[クウェイト市]]を中心にした地域支配を確立。19世紀後半にクウェイトは、オスマン帝国の宗主権に服す従属国となった(実際は、かなりの支配を地域に及ぼしていた)。 :'''小辞典版推奨判定''':「表現+知性 目標値8〜10」「歴史+知性 目標値10〜12」 ::'''やや詳しい情報''' バスラは、アッバース朝時代に、ペルシア文芸から翻案された『千夜一夜物語』でも、幾つかのエピソードの舞台として使われている。 :: アッバース朝時代のバスラは、ササン朝ペルシア時代以上に繁栄。[[ティグリス|ティグリス川]]、[[ユーフラテス|ユーフラテス川]]両河川流域と、[[ペルシア湾]]とをつなぐ交易のハブ・ステーションとして、30万人以上と言われる人口を養った。 ---- *「難易度が、ある程度高い判定に成功すればわかる情報」とします。 :'''小辞典版推奨判定''':「歴史+知性 目標値12〜14」 ::'''さらに詳しい情報''' 現在のバスラ市がある地域は、ササン朝時代には、すでに交易中継点として栄えていた。ただし、当時の市街地は、現在のシャッタル・アラブ川からはやや離れていた。現在、ズバイル(az-Zubayr)と呼ばれている町の位置に立地していた。 :: ササン朝時代の住民は、主にシリア系の移住者だった。一部に、ユダヤ教徒のコミュニティーもあったようだが、その実態は[[定かには解明されていない|定かでない]]。 :: A.D.638年、イスラム教第2代正統カリフのウマル1世が、軍勢を派遣。イスラム史上最初のミスル(軍営都市)として建設されたのが、現在のバスラ市の、直接の前身となった。 :: エジプトの[[カイロ]]は、ミスルが発展した都市だが、バスラの場合は、当初は、統治のための政治都市だったミスルが、それ以前からの交易拠点としての機能を併合して発展した。 :: アッバース朝時代に、人口30万人を擁す大都市になったが、モンゴル西征軍の侵略などをきっかけに衰退。再興されたのは、オスマン=トルコ帝国がバスラ州を設けた17世紀になる。 !GM向け参考情報 *GM向けの補足情報、[[マスタリング・チップス|チップス集]]、[[アイデア・フック]]など !!用途、用法  『千夜一夜物語』(アラビアン・ナイト)から題材をとった[[オーパーツ]]など、考えてみると面白いかもしれません。 ----  バスラ市に[[地域感情]]を設定するとしたら、反U.K.感情「やや悪い」で、−2〜−3くらいで考えてみるのがいいでしょう。地域感情は必須ではないので、シナリオのプロットに応じて省いてももちろん構いません。  もし、設定するとしたら、「反スンナ派感情が、反U.K.感情より、さらに強い」とした方がもっともらしくなるはずです。「反スンナ派感情」を−6に想定するのは、内戦状態か、内戦間近の状況にとっておく方がいいでしょう。  反スンナ派感情を、「悪い」で−5〜−4と設定し、反U.K.感情をそれより軽く設定することをお勧めします。 !!参照地図 *[[イラク 地図|http://www.supertravelnet.com/maps/index.php?action=showmap&country=181_0_4&language=33]]([[Super Travel Net]]) *[[Al Basrah, Iraq Page|http://www.fallingrain.com/world/IZ/2/Al_Basrah2.html]]([[World Index]]) *[[National Geographic Society - Maps]]{{br}}インタラクティブ・マップ。“Basrah”で検索し、表示された候補から、“Basrah,Iraq”を選択していくといい。 *[[Al Basrah|http://www.worldcitydb.com/al_basrah_4379735.html]]([[World City Database]]) *[[イラク共和国南部地図|http://www.operations.mod.uk/telic/images/maps/southeast_gsmb.jpg]](イラク共和国南部地図,[[defence|http://www.mod.uk/DefenceInternet/Home/]]の、[[Operation TELIC: Links and Additional Information|http://www.operations.mod.uk/telic/links.htm]]) !!環境  イラク領内で、気温は暑く湿度も高め。亜熱帯に近い環境。 !!交通路 :'''鉄路''': [[バグダード]]に至る基幹鉄路の起点。 :: 基幹鉄路は、[[ユーフラテス川]]の西岸沿いに[[サマワ]]に至った後渡河。運河を縫うように概ね北上し、[[ヒッラ]]を経てバグダードに至る。 :'''自動車道''': ユーフラテス川の流域を、バグダードに至る基幹自動車道の起点。 :: 他に、南に延び、[[クウェート国]]の首都[[クウェート]]他に至る国際自動車道も通る。 :'''水路''': シー・エクスプローラー級の船舶は、[[シャッタル・アラブ川]]を、バスラのあたりまで遡行可能と想定。 :: 他は、「ユーフラテス川」の項を参照されたし。⇒ [[ユーフラテス川]] :'''スカイ・ゲート''': バスラの西方にバスラ国際空港が存在。 !!その他の「バスラ」 :カード・ゲームの「バスラ(Basra)」: 地中海沿岸東部の諸国で、盛んに遊ばれるカード・ゲームが「バスラ(Basra)」と呼ばれている。「パスラ(Pasur)」という類似のゲームも中東で広く遊ばれている。 :: アル・ジャジーラやCNN、BBCの報道番組にて、しばしば、中東の茶店でアラブの男たちがカード・ゲームを遊んでいる情景が映されるが、たいてい、バスラか、パスラらしい。 :: このゲームは、[[U.K.(連合王国)]]などでよく遊ばれるカード・ゲーム「カシノ(Cassino)」に似たルール、とのこと。 !リンク *[[小辞典]]{{br}}⇔ [[小辞典ワールド編]] !!関連項目 *[[イラク共和国]] *[[イラク共和国の有用地図集]] *[[イラク治安維持の地域分担]] *[[シーア派]] *[[スンナ派]] *[[ISF]](イラク保安部隊)、 *[[MNCI]](多国籍軍団イラク) !!資料リンク *[[Wikipedia英語版:Basra]]{{br}}[[Wikipedia英語版:Basra_Governorate]] !活用や検討 !!活用 *このページの記事を踏まえた、[[アイディア・フック]]、使ってみた[[シナリオ]]、セッション・レポ、などなど {{comment}} !!重要な改訂の情報 *内容に追加、変更があった場合のみ、でいいでしょう。{{br}}(誤字脱字の訂正や、文章を整える程度では記録不要) {{comment}} !!検討 *このページの記事内容についての質問、重要な疑問、改訂の要望など *検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は、随時書換え対象になりえます) {{comment}}