{{toc}} !ヒル・フィギュア (Hill Figure) !PCが予め知ってていい情報  「ヒル・フィギュア」は、丘陵などの傾斜面に刻まれた、大きな平面的図像の類を指す総称。  斜面に溝を刻むことで造築され、概ね傾斜面の高い部分に刻まれる。  [[イングランド]]に多い[[チョーク・フィギュア]]は、[[ヒル・フィギュア]]の一類。 '''【参照イメージ】''' *[[ヒル・フィギュアに関連するフリー・ファイル集|http://commons.wikimedia.org/wiki/Hill_figure]]([[Wikimedia Commons]]) !追加情報 :'''小辞典版推奨判定''':「歴史+知性 目標値10〜12」「情報+知性 目標値12〜14」 ::'''やや詳しい情報''' 「ヒル・フィギュア」は、「地上絵」の一類と言えなくはないが、傾斜面の高い部分に刻まれるのが特徴。サイズは、高さ15m 〜60mほどで、人形(巨人)を刻んだもの、動物の姿を刻んだもの、抽象図形を刻んだものなどが知られる。 :: 「岩絵」の類とは、サイズ、刻まれる環境が異なる。多くの岩絵は洞穴内や岩陰に刻まれ、野外の岸壁に刻まれるのはむしろ少数例。ヒル・フィギュアは、野外の斜面に造築される。 :: ヒル・フィギュアでは、地面に溝を刻み線描の図像を描くと、周囲の地面と色彩コントラストの強い材料(瓦礫など)を詰めて図像を際立たせる。[[イングランド]]に多数現存しているヒル・フィギュアは、溝に白亜(チョーク)を詰めた[[チョーク・フィギュア]]ばかりと思われるが、より古い時代には石灰岩(ライム・ストーン)が用いられたりした。 :: 野外の傾斜面の高い部分に大きな図像を刻むこと、周囲の地面とコントラストの強い色で目立たせることは、遠望を想定してのことと考えられている。ヒル・フィギュアは、上空からでないと判別し難い[[ナスカの地上絵]]などとは、制作意図が異なるものだろう、と考えられている。 ---- :'''小辞典版推奨判定''':「歴史+知性 目標値12〜14」「情報+知性 目標値14以上」 ::'''詳しい情報''' 現在遺るヒル・フィギュアは、[[イングランド]]に多い。[[イングリッシュ・ヘリティジ]]によれば、「詳細な数は把握されていないが、30〜50だろう」とのこと。 :: ヒル・フィギュアは、少なくとも数年おきにメインテナンスしないと、堆積と風化とで輪郭線がぼやけた絵のように、曖昧化していく。一旦、造築された後、喪われていった作例も記録文書で知られているが、喪われたフィギュアの総数は、把握するすべがない。 :: 遠望視認できる形で現存するヒルフィギュアは、おそらくすべてが[[チョーク・フィギュア]]。チョーク・フィギュアの制作時期は、主にブリテン島のケルト時代から20世紀に渡るとされる。例外的に、[[オックスフォードシャー]]に現存する[[アフィントン・ホワイトホース]]が鉄器時代に構築されたもの、と鑑定されている。 :: 実は、イングランドに現存するヒル・フィギュアの内には、意外なほど、近、現代に造作されたものが多い。今後新たに作られるものもあるだろう。概ね18世紀以降に新たに造作されたヒル・フィギュアは、ほとんどが、同時代記録によって、制作時期が細かくわかる。 ---- :'''小辞典版推奨判定''':「歴史+知性 目標値14以上」 ::'''専門的知識''' 18世紀以前の作例には、製作意図が不明なヒル・フィギュアが多い。これらのヒル・フィギュアの近隣に[[遺跡]]が隣接している場合は、遺跡間相互の比較対照を通じ、遺跡を作った人々の社会生活を推定復元していく必要がある。もちろん、ヒル・フィギュアと近隣遺跡との制作時期にズレが予想される場合は、地域の社会変動を推定してく。 :: 予断から、ヒル・フィギュアの制作目的を断定するよりも、遠回りをした方が、より説得力のある理解が期待される。 !GM向け参考情報  このページの記事は、主に[[イングリッシュ・ヘリティジのサイト|http://www.english-heritage.org.uk/]]で公開されているコンテンツ“[[MONUMENTS PROTECTION PROGRAMME:MONUMENT CLASS DESCRIPTION:HILL FIGURES|http://www.eng-h.gov.uk/mpp/mcd/hillf.htm]]”([[Description prepared by A. Bowman,MARCH 1990|http://www.eng-h.gov.uk/mpp/mcd/sub/hillf13.htm]])をベースに、他の幾つかの資料を相互参照してまとめました。内容は、必ずしもイングリッシュ・ヘリティジのコンテンツと同内容ではありません。 !!アイディア・フック(?)  資料を読んでて感じたことですが、「ヒル・フィギュア」という概念は、もしかしたら、U.K.ローカルな概念かもしれません。この件は断定はしませんので、本文には織り込みませんでした。([[チョーク・フィギュア]]の方は、まず間違いなくU.K.ローカルの概念であるようです)  例えば、「打製石器」なり「磨製石器」なり、と言うカテゴリーは、世界のどこで発掘された[[遺物]]でも、細別について地域ごとの差異を比較検証できるまで練られた概念なわけですが。「ヒル・フィギュア」そうではないような気配です。  仮に、中南米や、北アジアで「ヒル・フィギュア」に似た遺跡が発見された場合、それを「ヒルフィギュア」と呼ぶかどうか、から議論になりそうな気配です。断定はしませんが、そんな気がします。 !リンク *[[小辞典]]{{br}}⇔ [[遺跡]]、[[考古学、歴史研究の関連用語]] !!関連用語 *[[チョーク・フィギュア]] !!資料リンク *[[Wikipedia英語版:Hill_figure]] *[[MONUMENTS PROTECTION PROGRAMME:MONUMENT CLASS DESCRIPTION:HILL FIGURES|http://www.eng-h.gov.uk/mpp/mcd/hillf.htm]]([[Description prepared by A. Bowman,MARCH 1990|http://www.eng-h.gov.uk/mpp/mcd/sub/hillf13.htm]]) !活用や検討 !!活用 *このページの記事を踏まえた、[[アイディア・フック]]、使ってみた[[シナリオ]]、セッション・レポ、などなど {{comment}} !!重要な改訂の情報 *内容に追加、変更があった場合のみ、でいいでしょう。{{br}}(誤字脱字の訂正や、文章を整える程度では記録不要) {{comment}} !!検討 *このページの記事内容についての質問、重要な疑問、改訂の要望など *検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は、随時書換え対象になりえます) {{comment}}