!『イシュタルの冥界降り』 イシュタルのめいかいくだり !PCが予め知ってていい情報  『イシュタルの冥界降り』は、アッカド系の神話的な物語詩。[[シュメール語]]で記された『[[イナンナの冥界降り]]』の[[アッカド語]]による再話にあたる。異説のような関係になる物語に、アッカド系統の「[[タンムズ神話]]」もある。 !追加情報 :'''小辞典版推奨判定''':「表現+知性 目標値10〜12」「歴史+知性 目標値12〜14」 ::'''やや詳しい情報''' 『イシュタルの冥界降り』は、冥界を訪れた[[イシュタル女神]]の死と再生を巡る物語詩。内容は、シュメール語による『[[イナンナの冥界降り]]』を下敷きにしたものと思われるが、比較するとかなり短い。 ---- :'''小辞典版推奨判定''':「表現+知性 目標値12〜14」「歴史+知性 目標値14以上」 ::'''詳しい情報''' 明らかに『イナンナの冥界降り』を下敷きにした、と思われる『イシュタルの冥界降り』だが、内容の一部には、『イナンナの冥界降り』より直截に語られている点もある。 :: また、『イナンナの冥界降り』と関連したと思われる、植物の枯死と再生のサイクルについての神話は、アッカド語では「[[タンムズ神話]]」の型で語られたようだ。 !GM向け参考情報 !!『イシュタルの冥界降り』と『イナンナの冥界降り』との異同点 *『[[イナンナの冥界降り]]』の項も参照のこと。 :女神が冥界に降る動機: 『イナンナの冥界降り』では、女神が冥界に降る動機は、必ずしも明解に語られていない。イナンナ女神が冥界で殺された後、[[エンリル神]]と[[ナンナル神]]とが、「女神が、生者の国と死者の国との両方を我が物にしようとした」と非難しているくだりがあるくらいだ。 :: 『イシュタルの冥界降り』では、冥界の門を開いて自分を通すように、女神が冥界の門番を脅す際「(門を開けなければ)冥界の門を打ち壊し、死者と生者とのバランスを崩す」と脅している。 :: また、多くのヴァリエーションで『イシュタルの冥界降り』と関連する内容を持つ「[[タンムズ神話]]」の物語では、女神は、冥界に連れ去られた[[タンムズ神]]を救済するため、冥界に赴くとされている。 :女神の死: 『イナンナの冥界降り』では、冥界の女主人[[エレシュキガル女神]]は、彼女の前に立ったイナンナ女神を「死の眼差し」で殺す。 :: 『イシュタルの冥界降り』では、エレシュキガル女神は、配下の冥界神に命じ、イシュタル女神を60の業病に見舞わせる。女神が病に侵されると、地上では動物も人間も孕まなくなってしまう。 :女神の再生: 『イナンナの冥界降り』では、イナンナ女神が冥界に降る前に命を受けていたニンシュブル女神の要請を受け、[[エンキ神]]が女神の救済に乗り出す。エンキ神は2人の神殿歌手(?)を造ると、それぞれに「命の草」と「命の水」を持たせ、使者として冥界に送る。エレシュキガル女神が、エンキ神の使者に女神の死体を引き渡すと、使者たちが「命の草」「命の水」を振りかけ女神は甦る。 :: 『イシュタルの冥界降り』では、地上に不妊が広まったため、[[エア神]]が男娼を造り出し、エレシュキガル女神への使者として冥界に送る。他に、エア神が冥界への使者として創造したのは人獅子だった、という物語もある。 :: エレシュキガルは女神、天界からの使者に反発するが、エア神の意向には逆らい難く、配下の冥界神に命じ、イシュタル女神に「命の水」をかけさせる。 :女神の帰還:  『イナンナの冥界降り』では、女神が冥界を去るには代理人を冥界に留めなければならないという掟だった、と語られる。冥界の亡者を伴って地上に戻ったイナンナ女神は、自分が死んだ後、喪に服していなかった[[ドゥムジ]]を代理人に指名する。 :: 『イシュタルの冥界降り』では、再生した女神は、何の問題もなく地上へ戻る展開が基本型。イナンナとドゥムジの関係にあたるエピソードは、「タンムズ神話」の物語で語られる。 !リンク *[[小辞典]]{{br}}⇔ [[小辞典ワールド編]] !関連項目 *[[イナンナ女神]] *『[[イシュタルの冥界降り]]』 *[[イシュタル女神]] !活用や検討 !!活用 !!検討 *検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は書き換えられても仕方なし、ってことで) ----