{{toc}} !ナルメルの化粧パレット (Narmer Palette) !PCが予め知ってていい情報  ナルメルの化粧パレットは、19世紀末に、[[エジプト=アラブ共和国]]南部にある[[ヒエラコンポリスの遺跡]]から出土した[[考古遺物|遺物]]。呪術的な意味合いも持った化粧道具で、化粧用顔料を磨り潰すのに使われた、と目されている。  [[カイロ]]の[[エジプト博物館]]収蔵。 !追加情報 :'''小辞典版推奨判定''':「歴史+知性 目標値10〜12」「言語+知性 目標値12〜14」 ::'''やや詳しい情報''' ナルメルの化粧パレット、または、ナルメル・パレット(日本語では、「ナルメルの化粧盤」などと記されることもある)は、高さ64cmという大きさの石板。一見すると楯のようにも見える。 :: 上端部中央に、垂直に立つ鑿の上に横たわる鯰の神聖文字(ヒエログリフ)が刻まれている、これは「ナル(鯰)」「メル(攻撃的な)」の意で、[[ナルメル]](荒ぶる鯰)の名を現している。 :'''小辞典版推奨判定''':「歴史+知性 目標値10〜12」「魔術+知性 目標値12〜14」 ::'''やや詳しい情報'''  表面中央部に設けられた直径12cmほどの円形の窪みが、化粧用の顔料をつぶしたり練ったりするのに使われた。表面、裏面ともに、王の権威を示す図像がレリーフで描かれている。ナルメル専用の化粧盤だったことは確かだろうが、あるいは、もっぱら何かの儀式に際しての化粧に用いられた物だったかもしれない、とも言われている。 ---- :'''小辞典版推奨判定''':「歴史+知性 目標値12〜14」 ::'''やや詳しい情報''' パレットの表面に大きく刻まれた人物は、[[白冠|上エジプトの白冠]]を被り、裏面の人物は[[赤冠|下エジプトの赤冠]]を被っている。人物は[[ナルメル]]本人と考えられるので、「ナルメルが上下エジプトを初統一した最初の[[ファラオ]]」との説の根拠とされた。 :: 1部に、「[[2重冠|ファラオの2重冠]]を被っているわけではないので、ナルメルは上エジプトを統一した後、下エジプトの統一事業に乗り出しただけ、統一を完成した、最初のファラオは[[ホル・アハ]]」との説もある。 '''【参照イメージ】''' *[[Image:NarmerPalette-ROM-back|http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d3/NarmerPalette-ROM-back.jpg]]{{br}}(ナルメルの化粧パレット裏面の写真,[[Wikimedia Commons]]) *[[Narmer Palette|http://anthro.ucsd.edu/~tlevy/Tillah/narmer.html]]([[UCSD:Department of Anthropology|http://anthro.ucsd.edu/]]の[[The Nahal Tillah Regional Archaeological Project in Israel|http://anthro.ucsd.edu/~tlevy/Tillah/project.html]]){{br}}ナルメルの化粧パレット、表面の写真が見られます。 !GM向け参考情報  ナルメル・パレットの用途は、出土している同種のパレット(化粧盤)から推定されています。  古代エジプトの壁画でも、上層の民は楽人や踊り子(?)なども含め、男女共に青や緑、黒の顔料でアイラインを縁取っていました。これは、悪霊の化身と考えられた羽虫や蝿が目に近づくのを避け、眼病を予防するとの呪術的な意味あいだったと考えられています。 :'''素材''': 粘板岩製。 :'''サイズ''':高さ64cm、幅56cmほど。 :'''形状''': アウトラインは、人間の指爪を左右対称形にデザイン化したような形状。 :: 縦長の二等辺三角形を頂点を下にして立て、頂点部分をカット。縦長の台形にしたうえで、両側辺を外側にやや湾曲させたような形状。 :: 上辺には不整形にはみ出した部分があり、[[ハトホル女神]]と思われる牡牛の頭部が左右に並ぶ中央に「ナルメル」の名が刻まれている。 :'''図像''': 表面(化粧パレットのある側)には、主に上エジプトの支配者を意味する[[白冠|上エジプトの白冠]](ヘジュト)を被った人物が儀式に臨む場面が、裏面には、主に下エジプトの支配者を意味する[[赤冠|下エジプトの赤冠]](デシュレト)を被った人物が描かれている。 ::'''表面''' 上端部を除いたパレット本体は3段に分けられている。最上段は儀式の行進で、先触れの後ろを歩むヘジェトを被った人物。この人物は裸足で、すぐ後にサンダルをささげ持つ人物が付き従っていることから、儀式の場面と知れる(古代エジプトでは神聖な儀式に臨む王は裸足で歩んだ)。中段が「化粧パレット」の段。ここでは蛇のような首の長い豹が向かい合い、長首を絡ませた内側がパレットになるようデザインされている。最下段は、都市の囲壁を打ち壊す荒ぶる牡牛が描かれている。 ::'''裏面''' 上端部の図像は表面と同じ。裏面の本体は2段に別れ、上2/3ほどの部分に、[[デシェレト]](赤冠)を被った人物が、髪型からアジア人(この場合、[[シリア・パレスティナ]]地方の古代人のこと)と知れる捕虜(?)を戦槌で打ち倒そうとしている様子が描かれている。この人物も裸足なので、場面は捕虜を神に捧げようとしている様子と思われる。下段には、おののいている様子のアジア人捕虜が描かれている。 :'''補足情報''':'''出土状況''' 「ナルメル・パレット」は、[[ヒエラコンポリスの遺跡]]での、1897年〜1899年の発掘で出土した遺物。このときの発掘では、[[スコルピオンのメイス・ヘッド]]、[[ナルメルのメイス・ヘッド]]、他も発掘された。 :: これらの出土品は、ほぼ同じ位置か、かなり近い地点から出土したらしいが、当時の発掘記録が曖昧なため、疑問も呈されている。ともあれ、[[先王朝時代]]に制作されたと推定されるこれらの工芸品は、作製後1000年近くたった後の古王国時代末期に、なんらかの理由でヒエラコンポリスの神殿に埋蔵された、と推定されている。 :: 埋蔵の理由が、古王国時代末期の混乱から宝物を護る目的だったのか、あるいは、なんらかの宗教儀式に伴う神への奉納が意図されたものだったか、定かではない。 ::'''化粧盤の神獣''' 化粧盤のパレット面自体をデザインしている神話獣、首の長い豹は、古代メソポタミアの神話獣[[ムシュフシュ]]の古い原型との類縁関係(影響関係?)が指摘されている。 :: メソポタミアでは、ムシュフシュはたいへん古い時代から描かれ、その図像のバリエーションは極めて多い。ナルメル・パレットの神話獣との類縁が指摘されているのは、極めて古いパターンの図像である。 !リンク *[[小辞典]]{{br}}⇔ [[小辞典ワールド編]]{{br}}⇔ [[アーティファクツやオーパーツ・ソース]] !!資料リンク *[[Wikipedia英語版:Narmer_Palette]] !!関連項目 *[[ナルメル]] *[[ヒエラコンポリスの遺跡]] !活用や検討 !!活用 *このページの記事を踏まえた、[[アイディア・フック]]、使ってみた[[シナリオ]]、セッション・レポ、などなど {{comment}} !!重要な改訂の情報 *内容に追加、変更があった場合のみ、でいいでしょう。{{br}}(誤字脱字の訂正や、文章を整える程度では記録不要) *資料用写真のいいのがある非個人サイトを発見。GM向け参考資料のところに【参照】としてリンクを貼りました。ついでに細かな情報補完も少々。(2006年4月17日) {{comment}} !!検討 *このページの記事内容についての質問、重要な疑問、改訂の要望など *検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は、随時書換え対象になりえます) *意見求む{{br}}ところで、写真リンクも入ったとこで、ナルメル・パレットの[[Enc]]ってどれくらいが適当だと思いますか? {{comment}}