!セクトゥス・ユリウス・アフリカヌス (Sextus Julius Africanus) 暫定版 !記事内容追加調査中の暫定版です !PCが予め知ってていい情報  セクトゥス・ユリウス・アフリカヌスは、3世紀頃に古代ローマ帝国領で活動した著述家。ギリシア語で著作を著した。おそらく、帝国領の東部を広く旅した経験があったと思われる。  主著は、『[[旧約聖書]]』に記された天地創造から、彼が生きていた時代までの歴史を著した『[[年代記|ユリウス・アフリカヌスの『年代記』]]』とされる。 !追加情報 :'''小辞典版推奨判定''': 「歴史+知性 目標値10〜12」 ::'''やや詳しい情報''' ユリウス・アフリカヌスの生涯は、生年、没年も含めて謎に包まれているが、その活動は3世紀前半に目立つ。 :: 著作の内容から、3世紀頃の古代ローマ領東部を、広く旅した人だろう、と推測されている。 :: おそらくは、古代リビアの生まれで、ローマに赴いたことがあるらしい。パレスティナ地域の地理に詳しく、[[アレクサンドリア|アレクサンドリア,エジプトの〜]]で学問を学んだようだ。あるいは、[[バビロン|バビロンの遺跡]]にも赴いたこともあったかもしれない。 :: ギリシア語を読み書きし、もちろんラテン語も読み書きできただろう。アラム語を読むことと会話することもできたようだ。ヘブライ語は、少なくとも読むことができたと思われる。 :: アフリカヌスの主著『年代記』は、後世、いわゆる“[[普遍史]]”の最初の試みをまとめた著作とされ、重んじられた。 :: アフリカヌスの『年代記』が後世に及ぼした影響は計り知れない。ギリシア語系の普遍史風の年代記は、ビザンツ帝国の時代のものも含め、多かれ少なかれ、アフリカヌスの『年代記』の影響下で執筆された、とまで言われる。 :: 現在では、『[[聖書]]』テキストに含まれる矛盾について、古代史家としては意外なほど冷静な分析をしている面も注目されている。 :: 『年代記』自体は、まとまった形では伝わっていないが、エウセビオスの『[[教会史]]』で参照され引用されている。現代の古代研究者は、『教会史』を通して、『年代記』を『[[エジプト誌]]』逸文の引用ソースとして知っている。 ---- :'''小辞典版推奨判定''': 「歴史+知性 目標値12〜14」 ::'''詳しい情報''' アフリカヌスは、かつては、エルサレム生まれ、と考えられたこともあった。「リビア生まれの哲学者」と評した古代文書が知られるようになってからは、その名前とも結びつけ、古代リビアで生まれたラテン系人物、との推測が有力説になっている。 :: 「ラテン系」との推測は、彼のギリシア語著作の端々から伺われるローマ的な教養、価値観からの総合的判断として、現在では、多くの研究者に支持されている。ギリシア語の綴り方にも、北アフリカ訛りのラテン語的な癖が見られる、との指摘もある。 :: 彼の生涯を整理するために必要な、様々な出来事の具体的な年数は、曖昧にしか伝わっていない。アレクサンドリアのオリゲネスと交友のあった同時代人であることは、有名な手紙が伝えられていることから確実視される。 :: あるいは、両親がキリスト教信徒だった家庭で育ったとも見られている。おそらく、貴族の家系の末流だったらしいことも、アフリカヌスが記した文章の端々から読み取れる。 :: 上層家系の出との推測は、アフリカヌスが195年頃にローマ帝国のセウェルス帝の使節として、[[オスロエネ王国]]に公的使節として派遣されたらしい記録が傍証となり、確からしく思われる。セプティミウス・セウェルスもリビア出身の元老院議員だったので、あるいは同郷者ゆえの面識があったのかもしれない。 :: アフリカヌスは、若い頃、兵士とし軍務についたことがあるようだ。又、若い頃、異教信仰に傾倒したふしも伺える。 :: [[アレクサンドリア|アレクサンドリア,エジプトの〜]]で宗教、哲学を学んだことは確からしい。[[エウセビオス]]は、215年のこと、と伝えている。おそらく、この期間に古代異教も研究し、[[マネトー]]の『[[エジプト誌]]』テキスト(写本か?)にも接したのだろう。 :: 221年に、ローマ市を訪れたとの記録もある。ギリシア地方を訪れたこともあるらしい。 :: アフリカヌスは、伝統的には、ローマ皇帝ゴルディアヌス1世の時代に在世していた、と考えられていた。現在は、ヘラガバルス帝からアレクサンデル・セウェルス帝の代にかけて在世した、と見る説が有力なようだ。 :: しかし、前述の、セプティミウス・セウェルス帝の大使としてオスロエネ王国に赴いた、との説も根強い。 :: エデッサに居していたオスロエネ王国のアブガル8世と面識もあったようだ(あるいはこちらが大使に選ばれた理由か?)。『[[年代記]]』の内に、アブガル8世を「聖人」と記している箇所が伝えられている。アフリカヌスは、オスロエネ王国で、エデッサの文書館に収蔵されていた文献を彼の著作のために活用したようだ。 :: こうした東方文化圏との関係は、彼の著作に見られるシリア的、アラム語的な知識、教養のルーツを示唆している。 :: また、アフリカヌスは、当時バビロンに居住していたディアスポラのユダヤ教徒たちと、個人的な交友を結ぶに至ったかもしれない :: アフリカヌスの、聖書学的とすら言える聖書テキストについての分析は、彼がアラム語とヘブライ語を読めたことを示している。 :: 晩年は、パレスティナ地方のエマウス(Emmaus,後のニコポリス)で過ごした。エマウスの司祭だった、とも司教だった、とも伝えられるが、あるいはこれは、後世『年代記』の評価が高まってから付けられた尾ひれかもしれない。 :: 衰退したエマウスの町の再興を、アフリカヌスが、ヘラガバルス帝に嘆願し、町が再興された、とも伝えられている。伝承は、再興された後、町が「ニコポリス(新しい町)」と呼ばれたと続く。 :: 240年頃ニコポリスで没したらしい。 ---- :'''小辞典版推奨判定''': 「歴史+知性 目標値14以上」 ::'''専門的知識''' アフリカヌスの著作は、『年代記』以外のものも含めて、3世紀頃の古代キリスト教、及び、ユダヤ教の研究にとって重要。 :: アフリカヌスの著作としては、以下が知られている―― ::'''『[[年代記|ユリウス・アフリカヌスの『年代記』]]』''' 現在は、まとまった形で伝わっていない。天地創造から、『年代記』が記されたであろう紀元221年までの歴史が、全5巻に整理されていた。『年代記』の内には、[[マネトー]]の『[[エジプト誌]]』からの引用が多数含まれていた。 :: 『年代記』によれば、紀元221年は、天地創造から数えて5723年にあたる。ナザレのイエスが磔刑に処された受難は5500年めの出来事で、その復活は5501年めの最初の日とされた。 :: この年代観は、後世までギリシア語系の普遍史風の年代記でスタンダードとされた。 ::'''『刺繍』''' アレクサンデル・セウェルス帝に捧げれた、とされる書で、元は24巻だったとも14巻だたっとも、19巻だったとも言われる。断片的に残った巻を、総称して付けられたニック・ネームが『刺繍』。 :: 戦場での軍事行動の実際について論じた内容だった、と思われるが、古代のユダヤ教徒が関わった軍事行動のエピソードが実例として記されている箇所が知られる。 :: ユダヤ教以外の異教に関する記述も多く、異教教義にも理解が深い記述が多い。以前は、古代異教徒の著作、と言われていた。しかし、現在は細かな文献分析から、ユリウス・アフリカヌスの著作、とみなされている。 ::'''オリゲネス宛の『ダニエルとスザンナ』についての論考を含む手紙''' 全文が伝わっている長文の書簡。 :: 『ダニエルとスザンナ』とは、『ダニエル書』補遺の内の1篇。アフリカヌスは、『ダニエルとスザンナ』のテキストに見られる、言葉の語呂合わせを用いた表現が、アラム語、ヘブライ語ではあり得ないもので、ギリシア語のみに可能であることを指摘。信じられているようなダニエル自身の著作ではない、と結論づけている。 ::  :: 他にも、古代シリアの著述家が記している、散逸した著作、引用のみで知られる普遍史考察について記した手紙などがあったようだ。 !GM向け参考情報 :'''小辞典版推奨判定''':―― ::'''おまけ''' 「ねぇねぇ、こんだけ偉い人が、こんなによくわからないなんて、なんだか、あ・や・し・い」 :: 「そうですか? [[マネトー]]の生涯なんかも、謎だらけですけど」 :: 「あれじゃないかな? ほら、こないだの[[ミッション]]で会った、不老不死みたく長生きしちゃった人。アフリカヌスさんもきっと」 :: 「ストップ。そういうことは、冒険で証拠を得たら考えます。ただでさえ謎だらけの人に、予断を交えてかかると、わかることもわからなくなりますから」 :: 「え〜、だってぇ」 :: 「まあまあ。あー、195年頃に使節にたったのを25歳〜35歳くらいと仮定してみようや。240年頃に死んだだな。なら、アバウトに70歳〜80歳くらいだ。不老者とか言い出さなくても、あり得ない年齢じゃねーぜ。40で使節になったとしても、85くらいで死んだ見当だ」 :: 「そっかー。ちぇっ」 :: 「アフリカヌスの謎は、生没年などではない。『こんだけ偉い人が、こんなによくわからない』と言っていたが、確かに謎の多い人物だ」 :: 「ね、ね、そでしょ☆」 :: 「『年代記』というのは、不思議な内容だぞ。とても俗人が書いたとは思えない。まず、アフリカヌスは世界の歴史を7つの時代に区分している」 :: 「?? なんで7つ??」 :: 「うむ、おそらく、アフリカヌスは、世界の歴史は、天地創造の7日間を変奏しつつ再演しているもの、と考えていたのだな」 :: 「え? え? 最初に世界が創造されたんでしょ。それなのに、その後、再演するの?? じゃ、最初に作られた世界はどーなったの??」 :: 「い、いや……。つまりだな、アフリカヌスは、『聖書』には世界の歴史が秘められている、と考えたのだよ」 :: 「うん、だって、世界創造から、ずーっと、歴史みたいなお話書いてあるもんね。あたしだって、読んだことくらいあるよぉ」 :: 「……うぅむ。いや、そうではなくてだなぁ……あー、うぅむ(困)」 !!運用  さしあたり、「歴史+知性 目標値14以上」で「専門的知識」としてある情報は、ユリウス・アフリカヌスの著作について、まとまった知識を持ってる場合で、目標値を想定しています。  個別の著作についての断片的な情報についてなら、もっと、低い目標値でも妥当です。 //用途 !リンク *[[小辞典]]{{br}}⇔ [[小辞典ワールド編]]{{br}}⇔ [[歴史上の実在人物]] !関連項目 *[[エジプト誌]] *[[マネトー]] //資料リンク !活用や検討 !!活用 ---- !!検討 *検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は書き換えられても仕方なし、ってことで) ----