{{toc}} !シーア派 シーアは !PCが予め知ってていい情報  「シーア派」は、現在のイスラム教少数派の内の、代表的トレンドを指す総称。  「シーア」は、アラビア語で「党派」を意味する。  本来、シーア派は、「シーア・アリー(アリー派)」を指し、[[ウマイヤ朝]]の[[カリフ]]を認めず、[[ムハンマド]]の血統を継承する者が、イスラム信徒共同体の宗教指導者(イマーム)であるべきだ、とする宗派だった。  一言でシーア派と言っても、長い歴史の間に、誰が正統なイマームであるかを巡り、幾つもの分派が生じた。  現在も続いているシーア派にも、幾つかの教派があり、決して単一の宗教トレンドではない。  例えば、[[イラン=イスラム共和国]]のイスラム信徒は、圧倒的にシーア派の12イマーム派だが、シーア派信徒が比較的多い他の国には、シーア派に属す別の教派の信徒もいる。 !追加情報 :'''小辞典版推奨判定''':「魔術+知性 目標値8〜10」「歴史+知性 目標値10〜12」「情報+知性 目標値10〜12」 ::'''やや詳しい情報''' シーア派の語源となった「シーア・アリー(アリー派)」とは、イスラム教の[[正統カリフ時代]]の末、7世紀に第4代正統カリフとなった[[アリー]]に由来する。アリーは、[[ムハンマド]]の従兄弟で、かつ、ムハンマドの娘[[ファーティマ]]を娶った人物。アリーが暗殺された後、その息子ムハンマドをイマームとして[[ウマイヤ朝]]に反抗したのがシーア派のはじまりと言える。ウマイヤ朝カリフの正当性を認めなかったことから、シーア派の反世俗権力の伝統が生じた。 :: [[スンナ派]]が、世俗権力者の統治について容認的な現実路線のトレンドであるのに対し、シーア派は、あくまで宗教指導者が信徒共同体を統べるべきだ、と唱えるのがシーア派の基本スタンス。 :: また、終末の日、最後の審判、イマームの再臨と言った、[[終末論]]を強く主張する傾向もシーア派の特徴をなす。 :'''小辞典版推奨判定''':「魔術+知性 目標値8〜10」「交流+知性 目標値10〜12」「歴史+知性 目標値10〜12」 ::'''やや詳しい情報''' シーア派では終末論的信仰が強ため、シーア派を[[神秘主義]]と呼ぶ意見が、スンナ派にも、非イスラム世界にもある。この意見は、シーア派の特徴の一面をついている。しかし、この場合、「神秘主義」の意味は限定的に捉えられなければいけない。 :: [[キリスト教]]との類比で言うと、ルター派やカルバン派のプロテスタントが、カソリック教会の伝統より、『聖書』についての個人的瞑想を重視する万人司祭主義を説いたような意味で、シーア派も「神秘主義的」である。 :: シーア派と、新興宗教的なイスラム教運動である[[スーフィズム]]などは大きく性格が異なるので、混同してはならない。 :: この件は、丁度、キリスト教で、プロテスタント諸派とキリスト教系新興宗教の間に明白な性格の違いがあること、仏教で言えば、禅宗や、伝統密教と、仏教系新興宗教との間に性格の違いがあることと類比できる。 :: ただし、以上の話題は、シーア派の宗教家について明確に言えることで、一般信徒の間では、シーア派を自認しつつ、新興宗教的なスーフィー聖者も崇拝する、など曖昧さもみられる。 :: 同じような曖昧さは、スンナ派信徒にも見られる。もっと言えば、諸聖人に祈りを捧げるキリスト教徒一般信徒にある曖昧さも同じような性質だ。 ::(この件のいい悪いは、教団及び、信徒間の問題だ。歴史的な話題(宗教史の話題)としては、一般に信徒は、宗教家ほど厳密には教義を捉えないが、それでも信仰生活は成立する、という話題になる) ---- :'''小辞典版推奨判定''':「魔術+知性 目標値10〜12」「歴史+知性 目標値12〜14」 ::'''詳しい情報''' 現在の[[イラン|イラン=イスラム共和国]]や[[イラク|イラク共和国]]のシーア派信徒の宗教生活を見て、シーア派とペルシア宗教との関係を云々する意見もある。 :: この意見は、一面だけに捕らわれた錯覚に陥る可能性があるので、注意すべきだ。 :: イランの12イマーム派がペルシア宗教の影響を強く受けたというのは概ね正しいが、すべてのシーア派がペルシア宗教の影響を受けたわけではない。 ::(細かく歴史を見れば、12イマーム派には、ペルシア宗教の影響が見られるだけでなく、シリアなどで[[古代新プラトニズム]]他の影響を被った面もみられる) :: 歴史的に見れば、例えば、リビア出自の[[ファーティマ朝]]では、代々、イマームを称した支配者が君臨。神秘主義的な傾向が強かったが、ペルシア宗教とは無関係だった。 :: ファーティマ朝の信仰は、コプト教のキリスト教神秘主義の影響も被ったもので。その影響の痕跡は、現在の[[エジプト|エジプト=アラブ共和国]]でも[[スンナ派]]信徒の間での聖者崇拝などに垣間見られる。 !GM向け参考情報  [[イラン=イスラム共和国]]では、現在、イスラム信徒のほとんどすべてが12イマーム派を信仰している、と言われる。  [[シリア=アラブ共和国]]では、[[スンナ派]]の方が多数派だが、イスラム信徒の内4割は、イスマイール派(7イマーム派)と言われている。  また、[[レバノン共和国]]、[[イスラエル国]]で暮らしてるシーア派イスラム信徒には、ファーティマ朝のイマームに神性を認めるドルーズ教徒が多い。ドルーズ教徒は、シリアにもいる。 !リンク *[[小辞典]]{{br}}⇔ [[小辞典ワールド編]] !!関連項目 *[[スンナ派]] !活用や検討 !!活用 ---- !!検討 *検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は書き換えられても仕方なし、ってことで) ----