{{br}}  死が真に平等とは誰が戯れ{{br}}  否{{br}}  否{{br}}  其は死して尚も辿る道行き{{br}}  暮を歩み 生でも死でも無き 懶い実在なのです{{br}}  善良なる邑々を陥れ{{br}}  蝕み{{br}}  貪り{{br}}  乙女の霊魂を穢す実在なのです{{br}}  或る時は 蝙蝠の昏き翼と為り{{br}}  復た{{br}}  或る時は 狼の昏き毛皮を纏い{{br}}  肉を攫い{{br}}  血を啜り{{br}}  死生の境界 流れる清水は渡り得ず{{br}}  天界の威光 燦然たる陽の下を忌み{{br}}  唯々 おぞましい夜の内に蠢く{{br}}  そんな実在なのです{{br}}  倅よ{{br}}  娘よ{{br}}  夜を恐れぬならばこそ{{br}}  ヴァラドゥルカには 用心しなさい{{br}} {{br}} {{br}} {{br}} 【註釈】{{br}} {{br}}  辺境に伝わる、夜魔の伝承詩。{{br}}  子供の夜更かしを戒め、早寝早起きを促すための、他愛の無い詩──とする説もある。地方によっては細部が異なっていたり、旋律のついた歌となっていたりする。{{br}}  ヴァラドゥルカとは、吸血鬼を指す。{{br}} {{br}} <発案者:ペナルティ>{{br}} {{br}}