リズの旅日誌

旅の仲間たち

パドゥシャ/商人の息子

ビアー共和国出身の旅人。

ヴァテッド・モルト/魔剣の公子

スコッチ帝国出身の旅人。禍々しき魔剣を携える心優しき貴人。

キール・ブラン/秋魔法の使い手たる農夫

ビアー共和国出身、愛犬『シルバーフィズ』と共に旅する青年

ロギン＝フット/勇敢な狩人

スコッチ帝国出身の旅人。射手なれど前衛を務める。靴好き？

リズ/薬草師の娘

スコッチ帝国出身の旅人。これでも一応紅一点。

少女

　街道沿いの雪原に、少女は倒れていた。
　ロギンが自らが羽織るマントを掛けてやり、パドゥシャとヴァテッドが火を熾す。
　やがて意識を取り戻した彼女はセシリーと名乗り、何者かに襲われ木箱を奪われたと語る。幼少の頃より家族同然に過ごしたラクダのエールとともに。
　そして彼女は言った、「エールと木箱を探しに行く」と。
　シャンパーニ村は目と鼻の先だったこともあり、投宿し身体を休めるように勧めたが、幼い彼女を冬の単独行に駆り立てるだけの想いを押し止める術など我々には無かった。
　かくして、少女と共に追跡を開始する。
　だが我々は既に幾つかの失策を犯している事など知る由も無かった……

追跡

　襲撃箇所にあった僅かな足跡は、近くの林へと消えていた。
　林は積雪量も少なく、私にでもそれを辿るのは容易であった。
　だが小川のあたりで肝腎の足跡は途絶えていた。そして寒さのせいであろうか、キールを除く全員が体の不調を訴え始める。
　小川を渡った様子は無かったため周辺を捜索したところ、上流に野営の跡を発見。確信を深め更に歩を進める。

　果たせるかな我々は木箱を積んだラクダを発見した。
　傍にいる肉食獣を髣髴とさせる獣人達と共に。

奇襲

　不意を討つと決断した皆の行動は迅速かつ的確であった。
　岩陰に潜んでいたキールの猟犬は瞬く間に獣人の一人を倒す。凍った川から接近したロギンの弓が首領らしき獣人を貫き、更にはパドゥシャの魔法が視界を遮る。
　しかし矢傷や呪詛が彼の戦意を昂揚させたらしく、豹の如き俊敏さで森の木々を駆け上り樹上からロギンに襲い掛かるが、ロギンは咄嗟に身を捩って避ける。
　其処にヴァテッドの魔剣が変幻自在の太刀筋で防御を掻い潜り首領を斬り伏せた。
　首領が倒れたことを見て残りの獣人は武器を捨て投降した。

　幸いというべきか、双方に死者はなかった。譬え一人でも死者があったならばその遺恨が次の争いの火種となりこの地で燻り続けただろう。

　よく斬れる剣がよい剣とは限らない、とは誰の言葉であったろうか。

帰路

　第一の失策は、復路の標を見繕わなかった事だ。
　獣人達の拠点で数々の略奪された品々を回収――無論返却する為に――し、村へ向かおうとする時になり発覚した。
　林を抜けた途端に往路の足跡は掻き消え旅慣れぬ我々は途方に暮れる。白一面の光景は命綱たる街道を覆い隠し我々の命運は風前の灯であった。凍傷の危険もある雪中での野営を覚悟した時、助け舟は意外な所から現れた。
　此処の地理には通じている、そう言ったのは先程投降した獣人達であった。仲間達の命を奪わなかった事に対する礼であろうか。我々は彼らに幾許かの報酬を支払い、村への案内を依頼した。

歓待

　シャンパーニ村へと辿り着いた我々は思わぬ歓迎を受ける。
　獣人盗賊団の捕縛及び盗品奪還の礼として豪勢な食事と風呂を馳走になり、更には各々一人部屋が与えられ快適な一晩を過ごす。

　獣人たちはというと、ロギンの提言と村長の計らいにより村での勤労奉仕……就労の斡旋というべきだろうか、それとも越冬地の提供というべきだろうか。とにかく安定した生活基盤があれば彼らも犯罪に手を染めずに済むだろうし、村にも平和が訪れるに違いない。

風邪

　失策のツケが次々と噴出する。
　セシリーが悪い風を捕まえて臥せっている。村の癒し手が診るには丸一日の休息が必要とのこと。安心して旅の疲れが出たのか、雪原で倒れてたのが拙かったのか。同行などさせずに、縛り付けてでもこの村に置いて行くべきだったか。それよりも、半日以上行動を共にしながらその兆候を見逃すとは仮にも癒し手の端くれとして恥ずべき失態である。
　しかし彼女は重篤な状態にも拘らず、どうしても今日中に目的地に行かねばならない、と訴える。
　パディット在住の父が再婚するとの報を耳にし、事情があって別居していた彼女は手ずから縫った花嫁衣裳を再婚相手の女性に自らの手で渡したい、と。そして明日がその結婚式なのだ、と。
　どのような事情があろうとも今の彼女を動かす訳にはいかない、私は必死に説得した。今にして思えば懇願と言うべきだろう。

その時、誰かが言った。
「今から早馬で急行し、事情を伝えて結婚式の延期を頼むのはどうだろう？」

祈望

　私以外の４人が早馬でパディットへ行く事になった。
　馬は事情を聞いた村長が準備してくれた。この村長には世話になってばかりだ。
　私はセシリーと此処に留まる事にした。彼女を置いては行けない。何時昨日のような無理をするか判りかねるのもあるが、癒し手の端くれとしては此処に居る方が役立てると判断したからだ。
　出発する仲間達にまよわずのまじない「指南の矢」を施す。彼らのために出来ることはこれで全てだ。四騎が森に消えた事を確認すると、セシリーの看病に戻った。

　今の私に出来るのは皆の旅の無事を祈る事だけ……。

婚礼

　そして明後日。
　パディットで催された結婚式。
　セシリーが手渡したドレスを纏った花嫁は、
　幸せそうに微笑んだ。

追記

• モンスター知識チェックに失敗したので「獣人」で通しました
  • ネコゴブリンと書くより脅威らしく見えますしｗ
• セシリーの兄の事は諸事情により割愛
• 地形及び天候が必要な判定をする際に不在だったので割愛

ゲーム用データ

竜人（ＧＭ）

『黒竜』エルウィン（Leonald）

パーティ名

旅の仲間たち（仮）

パーティの目的

セシリーを手助け

旅の目的地

シャンパーニ/獣人の拠点/パディット

リーダー

ロギン・フッド

マッパー

パドゥシャ

荷物係

パドゥシャ

日誌係

有志全員

季節

冬