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暖かな家庭

暖かな家庭
L:暖かな家庭 = {
 t:名称 = 暖かな家庭(施設)
 t:要点 = 暖炉、ほほえみ、車座
 t:周辺環境=小さな家
 t:評価 = なし
 t:特殊 = 
  *暖かな家庭の施設カテゴリ = 国家施設として扱う。
  *暖かな家庭の位置づけ = 一般施設として扱う。
  *暖かな家庭の特殊 = 人の形質を失うような変異を防ぎ、かのものの汚染に対して+86*評価の抵抗を持つ。
 }
 t:→次のアイドレス = 愛の女神グリンダ(ACE),洞窟のすみか(施設),偉大なる魔術師の逗留(強制イベント),退魔の番犬(犬士専用職業)
}

*HQボーナスによる、かのものの汚染に対する抵抗に評価+3及び、寮HQ継承第一世代よりかのものの汚染に対する抵抗に評価+3を反映
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〜昼なお薄暗い部屋を、優しく照らす暖炉の灯りと、触れ合う肩の暖かさ〜


後ほねっこ男爵領の冬は長く厳しい。
雪は容赦なく降り積もり、平野部でさえ、その積雪量は2mを越える。
陽光が射すことはごく稀であり、灰色の雲が重く垂れこめる風景は、訪れる人に例外なく
ひどく陰鬱な印象を与える。
もちろん、寒さに関しては言うまでもない。
この国では、寒さが気温の高低ではなく、肉体的な苦痛の度合いという形で表現されると
いう一事からも、その厳しさがうかがえる。
例えば、後ほねっこ男爵領の冬のごく一般的な挨拶は、「今日も冷えますねぇ」ではなく、
「今日も痛いですねぇ」となるのだ。

後ほねっこの民にとって、命を脅かす敵とは、まずなによりも冬の厳しさであり、それ以
外のあらゆる困難は、結局のところ、越冬の困難が増すが故に厭うべきものでしかないの
だ。

それだけに、後ほねっこ男爵領では、家屋には冬を乗り越える為の質実剛健さが求められ
る。
寒さを遮断する分厚い壁。効率よく部屋を暖めるために敢えて低く作ってある天井。
降り積もる雪に潰されないよう、きつい傾斜のついた屋根。
暖房器具が普及した現在でも、居間には必ず据え付けられる暖炉。
暖気を逃がさず、寒気を締め出すため、極端に小さい窓(どうせ冬の間は陽が差したりし
ない)
住人の数に比べて、驚くほど大きな貯蔵庫(技術の発展により、ライフラインの安全性は
相当に高まっているのだが、だからと言って、万が一の危険に備えない愚か者は、後ほねっ
この冬は越せない)
この国では、彼方此方に点在する小さな家の一つ一つが、冬の暴虐に耐え忍ぶための要塞
であり、我と家族を守るための砦なのだ。

ここまで読んだ方の中には、後ほねっこ男爵領の冬が、ただ厳しく、無味乾燥なものであ
ると誤解される向きもあるかもしれない。
いや、確かに厳しいのは事実なのだが、しかし、ほねっこ男爵領の冬は決して無味乾燥な
ものではない。
後ほねっこ男爵領では、冬とは、苦難の季節であるばかりではなく、家族と共に過ごす季
節でもあるのだから。

後ほねっこ男爵領の住人は、総じて家族仲が良く、結束力が強いと言われているし、それ
はおおむね事実である。
だが、それは、厳しい冬あればこそといっても過言ではないのだ。
時として命の危険にさえ曝されながらも、共に助け合い過酷な環境を生き抜いていく生活
の中で、結束力が高まらないわけがないのだ。
一つの家族が、肩を寄せ合って暖かさを分かち合いながら、暖炉を囲む風景は、顔を出す
ことがほとんどない太陽に替わる後ほねっこ男爵領の冬の“暖かさ”の象徴であり、この
国に暮らす民のほとんどが心に抱く原風景である。
この光景を見て、心和ませない藩国民は、まず滅多にいない。
もしも、ごく一般的な藩国民の精神風景を、キャベツの葉のように一枚一枚剥いていく事
が出来たなら、その芯に残るのは、この暖かな光景だろう。


〜昼なお薄暗い部屋を、優しく照らす暖炉の灯りと、触れ合う肩の暖かさ。
その記憶さえ色褪せていないのならば、我々はそう、なんにだって立ち向かう事が出来る。
たとえそれが冬の寒さであろうとも。それがままならぬ現実の重みであろうとも〜

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後ほねっこ男爵領における、社会構成要素の最小単位は、家族である。
なぜなら、気候の関係で、後ほねっこ男爵領には、集合住宅が殆ど存在しない。
そのため、住居=一戸建てという意識が深く浸透しており、一人暮らしをしようという若
者が中々いないからだ。
これは老人も同じで、よほどの事がない限りは、家族と同居するのが常である。
結果、社会における単身者の割合が極めて低く――いないというわけではないが、統計上
重要視しなければならないほどの割合に達することは決してない――結果として、同居家
族という纏まりが、後ほねっこ男爵領の社会を計測する上での最小単位ということになる。

また、社会通念上、若い夫婦が自分たちの家を持てるようになるまで、両親と同居するの
も、ごく当然の風景として受け入れられており、兄弟の歳が近い場合など、複数の若夫婦
が同じ屋根の下で暮らしているというのも、決して珍しくはない。
なので、後ほねっこ男爵領では、数世代・数世帯が同時に暮らせるように、かなり余裕を
持って住居を建築する。
必要に迫られて作り上げた住居の形態が、家族のあり方を規定し、家族の在り方に合わせ
て、住居もまた最適化されてきたのだ。

それだけに、後ほねっこ男爵領の藩国民にとって、住居と家族は、ある意味、切っても切
れない関係にあると言える。
器と、そこに満ちる水を想像してもらえれば、分かりやすいだろう。
そこに満ちる中身がなければ、器は器としての用をなしているとは言い難いし、器がなけ
れば、水は地に流れるか天に融けるか、何にしてもその場に留まる事は出来ない。
器は住居であり、水は家族だ。
家族が住まない住居には存在意義がなく、住居を持たない家族は、この地では生きてはい
けない。
この邦の民にとって、『暖かな家庭』とは、幸せな家族で満ちた、ほんの少しだけ狭い家
という事になるだろうか。
ちなみに、ほんの少し狭い方が良いとされるのは、その方が家族の温もりを感じやすいか
らだと、藩国民は口を揃える。


だから、戦災によって住居を破壊され、避難生活を強いられる国民が発生した事件は、痛
ましさを伴う大きな衝撃を、藩国全体に与えた。
後ほねっこ男爵領には、冬季の事故に備えて、複数の世帯が資金を出し合い、プールして
おくという原始的な相互扶助金融の伝統があるのだが、事が屋根の破損ならともかく、こ
の規模の災害の前では、焼け石の水であり、民間の自助努力などでどうにか出来るもので
はない。
それだけに、藩国上層部は、当然のように速やかに避難所を選定し、訪れる冬の寒さから
避難民を救うための手だてを次々と打った。
だが、それだけでは藩国民の心を守るには足りないと、そう判断もしていた。
なによりも、どうにもならない理不尽に、幸せな生活と希望を砕かれ、ただ冬が去るのを
身を縮めてやり過ごすだけの生活を藩国民に送らせるなど、我らが藩王火足水極に看過出
来るはずもなかった。

ラジオを通して行われた、藩国民への演説の中で、火足水極は大真面目にこう言っている。

「我々は、この災厄に打つ勝つためにも、可及的速やかに我が藩国民たちに暖かな生活を
用意しなければならない。
 幸い、我々の愛する家族たちは、みな、幸せになるための高い資質を備えていると、私
は信じている。
 ならば、政府がなすべきことは一つ。“暖かな家庭”足りうる器を、彼らのために用意
することだけだ」

そして、こう続けた。

「失われた何もかもを元通りにするというわけにはいかない。
 我々は、時計の針を戻せるわけではないからだ。
 だが、後ほねっこ男爵領の民ならば、このささやかな手助けを元に、
 これまでと同じ、いや、これまで以上に幸せな生活を、家族とともに築き上げるはずだ。
 私は、そう確信している」

次の日から、避難民のための復興住宅の建設が、目を見張る速さで開始された。
一世帯辺り、一軒を標準とし、希望すれば、三世帯同居型までの拡張が認められた。
厳しい北国の冬の間にも関わらず、急ピッチで工事は進められていく。
そこに溢れる熱意は、藩王の情熱が感染したというだけでは、説明しきれない熱量を秘め
ていた。

その光景を眺めながら、火足水極は思う。

結局のところ、この邦は一個の大きな家族なのだ。
家族を想う心を、そのまま敷衍すれば、民がこの邦を愛する心になる。
家族を愛するように、皆、この邦と己が隣人を愛しているのだ。

ならば、家族の苦しみを前に、それを救わんと奮い立つことに、何の不思議があるだろう。

血の繋がりでもなく、この土地で過ごした時間の長さでもなく、
後ほねっこ男爵領と、そこに住む民を想う心で結びつけられた、とてつもなく大きな家族。

更に思う。
ならば、俺は、藩王として、器を用意しなければならない。
この家族が満ちるに足る、国家という名の器を。
この邦では、幸せな家族と、その器たる家が揃って、初めて“暖かな家庭”が出来上がる
のだから。


予定よりも遥かに早く、冬の本格的な到来を前にして、復興住宅群は完成した。
顔も知らぬ“家族”を助けるために振るわれた心からの善意。
それは後ほねっこ男爵領の志の結晶だった。

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ほねっこ漫画


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更新日時:2009/10/25 12:34:18
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