E165 産業育成準備提出ページ 【宝飾産業】
黄金の髪飾りL:化
詩歌藩国・星鋼京両国との協調政策
<じょり丸様ACE完成記念式典でのお召し物> 藩国内でいままで宝飾産業に携わり、その伝統を守ってきた方々のご協力で制作されました。 ・王冠:あまりじょり丸様にご負担にならない程度の、軽めのスタンダードなもの。宝石も小粒。 ・リボン留め:こちらは少し大ぶりのサファイア(石言葉:慈愛、誠実)を大胆にあしらいました。 ・笏:先端には、ほぼ削りだしたそのままのアクアマリン(石言葉:勇敢、聡明)を使用。 ・鼻飾り:アクアマリンを飾り彫りに。 図案は藩国の子どもたちからの公募で決定。四季(桜・星・紅葉・雪の結晶)を表しています。 ・ブローチ:エーデルワイス(花言葉:大切な思い出)をモチーフに、ピンクトルマリン(石言葉:希望)を散りばめました。
華麗の星鋼京、巧緻の詩歌藩国と比べ、後ほねっこ男爵領の宝飾製品は、一段も二段下に見られる事が多い。 実際、他国産の宝飾品に比べて、後ほねっこ産のそれは格段に安い。 30わんわん(日本円にして15000円)以下の製品が殆どだし、主要な購買層は10代の少女である。 だがしかし、だがしかしである。 後ほねっこ男爵領の製品が安かろう悪かろうを意味するのかと言えば、それは違う。断じて違う。 そもそも国民性からいってもそういう類の手抜きが出来ない気質だし、 皇帝陛下への献上品である黄金の髪飾りの製作を担当したことからも、 単純に技術の程度が低いというわけではないことが分かる。 では、何故後ほねっこ男爵領は安価な市場に甘んじているのだろうか? 一つには、後発の後ほねっこ男爵領が、星鋼京、詩歌藩国との競合を避けた、という事もある。 材料費が安い、という事もある。 主要な材料はシルバー、石も殆どが国内産の準宝石が選ばれ、 金やプラチナ、ダイヤモンドやルビーなどの貴石が使われることはまずない。 だが、材料費を抑えた分、デザインに工夫をし、作業工程にも手を抜かず、 さり気なく高度な技法を用いることで、出来上がりを決して安っぽく見せない。 流通にも気を配り、中間コストを極力抑えている事も、後ほねっこ男爵領製品が安価である事に繋がっている。 後ほねっこ男爵領は、安価に抑えるために並々ならぬ努力を重ねているのだ。 結論を言おう。 後ほねっこ男爵領は、安価な市場に甘んじているのではない。 安価な市場を積極的に選択したのだ。 国の資本を背景に、上流階級に売り込む事も出来た。 献上品の黄金の髪飾りを自国のみで製作すれば、宣伝効果も抜群だっただろう。 だが、後ほねっこ男爵領はそれを選ばなかった。 後ほねっこ男爵領が選んだのは、ショーケースの中で輝く宝石たちに羨望のまなざしを送る、 全ての女の子たちの夢を叶える道だった。 なるほど、確かに後ほねっこ男爵領製の宝飾品は地味だろう。 ふんだんに貴石を用い、金やプラチナで飾られた目にも綾な宝飾の数々と比べれば、色褪せて見えよう。 しかし、地味ということはごく日常的な装いにあわせやすいということでもある。 煌びやかな社交界で身につけるには不釣り合いでも、 緊張しながら精一杯おしゃれして臨む初めてのデートに、後ほねっこ男爵領製のアクセサリー以上に似合う品はない。 そして、徒に流行を追わず、外連味を排したデザインは、時の流れに耐えうる普遍性を製品に与えている。 後ほねっこ男爵領の職人たちの合言葉は、30わんわん以下で、親子二代に渡って使ってもらえるアクセサリーを、である。 全ての女の子たちと、女の子であった人たちに、その身を飾るの楽しみとときめきを知って貰いたい。 そして、彼女たちの美しさを最大限引き出すお手伝いをしたい。 それが、後ほねっこ男爵領の宝飾品関係者の切なる願いなのである。
それはまさに綺羅の空間 〜宝飾専門大型ショッピングモール 『ほねコロモール』〜
新ほねっこ城市郊外に新しく建設された大型ショッピングモール、ほねコロモール。 フードコートなどわずかな例外を除けば、その広大な敷地の殆どすべてのテナントが宝飾専門店で構成されたそこは、 まさにジュエリーの殿堂、アクセサリーの聖地。 帝國で購入できるアクセサリーならば、ほねコロモールで手に入らない物はないとまで言われる品揃えは圧巻でさえある。 勿論、後ほねっこ男爵領産の宝飾品も例外ではない……というよりも、の最も大きな売りなのである。 後ほねっこ男爵領産の宝飾品は、手作りの物が多く、細かくデザインも変更されるため、 一度買い損ねるとそのまま買う機会を逸するという事が多いのだ。 故に低価格にもかかわらず、レアリティのついているものが存外に多い。 だが、ここほねコロモールならば、そんな幻の逸品も手に入る……かもしれない。 実際、諦めていた思い出の品をここで手に入れられたという人は、結構多いのだ。 また、詩歌藩国、星鋼京の超高級宝飾品もショーウィンドウを飾り、訪れる者のため息と憧憬の眼差しを誘っている。 また、ショョッピングモール内で洋服や靴を購入すると、 その服に合わせたジュエリーを選んだりオーダーメイドが出来るというサービスがある。 選んでくれるのは専門教育を受けたスペシャリストのみ。 また、大切な人に贈るジュエリーを選んでくれる専門のコンサルタントも配置されており、 気軽に相談してみてはどうだろうか。 通常の宝飾品の販売店の他に修理専門の工房やオーダーメード専門店、 鑑定専門店など他のショッピングモールに比べ宝飾品に重点を置いているという特徴がある。 また、皮膚科があるクリニックも併設し金属アレルギーの有無を簡単に調べることが出来る。 まさに宝飾品に関わる全てが揃っている、と言っても過言ではないだろう。 後ほねっこ男爵領も、藩国肝いりで建設されたこのショッピングモールを、 産業振興に併せて観光の目玉とすべく観光客の誘致に余念がない。 ほねコロモールが後ほねっこ男爵領を代表する観光名所になる日もそう遠くはないだろう。
【はじめに】
・後ほねっこ男爵領は永らく農業国として細々とではあるものの栄えていました。 そして今回、経済水準の引き上げるべく藩国を挙げて宝飾産業育成に着手しました。
【なぜいま宝飾産業か】
・新たな産業育成を考えるにあたって、初期より候補に挙がったのが宝飾でした。 その理由は、当時は競合する相手が少なかったことや、景気に左右されにくい産業であること、 またほねっこの特色となっている迷宮城砦の堅牢性すなわち貴重な財産の保護に適した環境など、 様々な要素が存在していました。 その後、計画を実現するための国債発行を行ったものの、 たび重なるNW全体の情勢悪化により、実施は遅れてしまっていました。 そして、現在では高級宝飾においては星鋼京や詩歌藩国といった優れた藩国が現れており、 いまあえて宝飾産業でなくてもよいのではないかとの意見もありました。 しかしながら、高級宝飾路線から、だれもが親しむことのできる宝飾品への変更と、 宝飾において先行する両国との間で協力関係を築かせていただけたこと。 そして、私たちはこのほねっこの国民のみなさんならばきっと素敵な宝飾品が作れると信じ、 今回の宝飾産業育成を行うことを決意しました。
【他の藩国との協調について】
・先にも述べたとおり、帝國においては宝飾と言えば星鋼京、詩歌藩国が有名です。 後発組となった後ほねっこ男爵領が両国と対等に競り合うのは大変難しいのが事実です。 一時はそのために宝飾産業育成を断念することも検討されましたが、 ありがたいことに、両国からほねっこの産業育成へのご理解をいただき、 宝飾に関する技術の交換や、宝飾品の販売路線・購買層の住み分けといった形での協力をいただきました。 各国で協力し合い、全体としての宝飾の発展がなされることを強く望んでいます。
【宝飾品のブランドについて】
・後ほねっこ男爵領では、多くの人に本物の宝飾品に親しんでもらうことを目標に、 比較的安価でありながら、質の高い作品を提供していきたいと考えています。 その上で、様々なニーズに応えるべく3つのブランドを軸に展開しています。
ブランド『jorry』
・ほねっこの伝統的な職人技を活かした、王道のデザインが主体のブランドです。 地金や宝石の質にも大変こだわるため*価格は総じて高めになっていますが、 シンプルながら飽きの来ない上品なデザインは人気が高く、 結婚式など人生の大きな祝い事の際の贈り物として重用されています。
・スイングペンダントトップ
シンプルで飽きの来ないペンダントトップです。
スイングする動きが上品な可愛さを演出します。
・ドックタグ
犬のシルエットが特徴的なドックタグです。
モチーフの犬種と石は選べます。
自分が付けても、愛犬とおそろいでつけても楽しいです。
ブランド『瑛』
・男女を問わず親しめる幅広いデザインが特長のブランドです。 少し変わったデザインのものも多く、人とは違った品物が欲しいときは是非こちらへ。 いわゆるアクセサリー(装身具)だけでなく、ちょっとした小物やマスコットもあり、 価格の幅も広いため、思わぬ掘り出し物に出会えることもるかもしれません。
・デザインリング
蝶をモチーフにしたデザインリングです。
シャープなデザインでクールに見えます。
・櫛(和風髪飾り)
東国風のデザインの和風髪飾りです。
月とすすきで秋をモチーフにしています。
・わんわんおストラップ(ハスキータイプ)
わんわんおストラップシリーズのハスキータイプです。
モチーフの犬種は現在5種類ですが、隔月で新作が出る予定です。
ブランド『potato』
・自然や動物をモチーフとした清楚・可憐なデザインが特色の女性向けブランド。 幅広い年代の女性に支持されており、特にデートのときにはコレ!という人も多いとか。 また、新しい試みとしてパターン・オーダーのアクセサリーを販売しており、 それぞれ自分好みの地金・宝石を選ぶことで、手軽にオリジナルのアクセサリーが手に入るのも人気。 『みんなが買える“本物”を!』をモットーに、日夜デザインと価格のバランス調整を頑張っています。
・小動物シリーズ(ネックレス)
ほねっこっぽく、小動物をモチーフにしたペンダントトップ。
上にあるのはうさぎ、小鳥、ヤマネ、りすの4種。他にもあります。
真ん中のストーンは好きなのを選べます。
・鳥籠ネックレス
鳥籠をモチーフにしたネックレス。
ただし、中に入ってるのは鳥ではなくストーンです。
中に入れるストーンは好きなのを選べます。
・四葉のクローバーリング
四つ葉のクローバーをモチーフにした指輪。
ちょこんと乗っかったてんとう虫がアクセントです。
【その他の宝飾について】
・先に紹介した主力ブランドのほかにも、注文を受けて制作する宝飾品もあります。 すでにお話をいただいているものとして、星鋼京のメードさん向けのアクセサリーや、 よんた藩国さんの手がける文房具の中の高級品への細工などを請け負わせていただいています。
【宝飾技術学校について】
・ほねっこでは国内の宝飾品をブランドとして売り出すとともに、 藩国初となる専門職業学校を設立し、職人・経営者の育成に注力しています。 学校については別に詳述しますが、専門職業学校のテストケースとしても注目しており、 その成果によってはさらに他の職業においても同様の学校が作られるようになるかもしれません。
【商業特区について】
後ほねっこ男爵領では、地下の迷宮城砦都市が生活の場となっていることから、 とりわけ国外との取引のような経済活動が鈍いことが問題として認識されていました。 そこで、海運の窓口となっている潮の里埠頭の周辺地域および、 長距離輸送システム『かぐや』中央駅周辺を商業特区と設定し、経済活動の活性化を図っています。 特区内の商業施設の免税店認可や、国営テナントによる国外からの訪問者向けの国内生産品の展示販売、 同時に国内に向けた国外の生産品の紹介・販売を行う等、国際的な経済活動を促進するための施策を行っています。 また、商業特区の設定による物流の増加、出入国者の増加に対応すべく、 潮の里埠頭への税関の設立がされる予定です。
【さいごに】
・後ほねっこ男爵領の宝飾は、伝統的な職人の手による下地はあるものの、 産業としてはまだまだ未熟・未発達なものです。 しかしながら、今回の宝飾産業の育成について多くのご協力をいただき、 また、温かいお言葉をかけていただけることもあり、 今回のこの宝飾産業育成が間違ってはいないと確信しています。 やがてはNWにおいて名を知られるほどの産業となることを目標にしながら、 ほねっこらしく、地道にコツコツと、新たな宝飾産業の芽を大切に育てていきたいと考えています。
宝飾産業における他国との協力関係(図解)
【詩歌藩国】←─────協力────→【星鋼京】──┐ ↑ ↑ │ │ │ │ 協力 協力 │ │ │ │ │ │ メード向けアクセサリー発注 └────→【後ほねっこ男爵領】←──┘ │ ↑ │ ↑ │ │ │ └─────────┘ │ │ 高級文房具の細工発注 │ │ │ │ └────産業展示参加───→【羅幻王国】 【よんた藩国】───┘
○沿革
長く農業国として過ごしてきた後ほねっこ男爵領が、第二次産業への進出を企図して設立。 国債発行により集めた資金の多くを投入し専門の設備を整えた、NWでも屈指の宝飾に関する教育機関。 ほねっこ銀座(現・新ほねっこ銀座)の名が残る通り、銀を中心とした貴金属加工はほねっこの伝統工芸である。 その伝統を受け継ぎ、今一度、藩国の主産業として返り咲こうというのである。
○設立理念
ほねっこの伝統工芸である貴金属加工を引き継ぎ新たに世界に発信する、 その担い手を育成することを目的とする。
○教育課程
3年制を基本とする。 1年次は共通課程を修了し、その後、各自の進路希望によってコースを選択する。 コースは、職人コース、経営コースの2コース制とする。 また3年の課程を終了後も、希望すれば研究生として在留することができる。 研究生としての在留は2年間を上限とする。 【職人コース】 実際に宝飾品を制作する職人の育成を目的とするコース。 共通課程で学んだ基礎的知識・技術を前提に、さらに高度な知識・技術の習得を目的とする。 【経営コース】 宝飾品の仕入れ・販売を行う、店舗経営者やその補助者の育成を目的とするコース。 共通課程において宝飾品政策の現場や経営の基礎を学んだ上でさらに実戦的な経営について学んでいく。
○科目例
【教養科目群】 ・社会学:商売にはお客さんがいる。お客さんにはそれぞれの背景があって、欲しいものも異なる。 それらを学ぶ。 ・心理学:色や服装などが人の心理に与える影響などを学ぶ。 ・外国語:共和国の公用語を中心に、外国の言語を学ぶ。 ・物理学:宝飾品の制作や、素材の発掘にも通じる物理について学ぶ。 ・化学:薬品を使うこともある現場なのでその取扱いについて学ぶ。 ・数学:ざまざまな学問の基礎となっている数学について学ぶ。 ・体育:人間、身体が資本。健康維持のためにも運動です。 ・保健衛生:制作中の怪我や事故時の対応などを含め保健衛生について学ぶ。 ・情報:コンピューターの扱いについて学ぶ。 【技術科目群】 ・彫刻(基礎):彫刻技術の基礎を学ぶ。素材は比較的扱いやすい木材やゴムなどを使用する。 ・美術研究:古今東西の美術品などの資料を用いて「美」について学ぶ。 ・デザイン:宝飾品のデザインについて学ぶ。 ・デッサン:デザインの前提としてデッサン力を身につける。 ・素材研究:鉱物などの素材について、組成や特性、加工の適否などを学ぶ。 ・コーディネート:宝飾品と衣装、調度品と部屋などのコーディネートについて学ぶ。 ・機械操縦:制作で使用される様々な機械の取り扱いについて学ぶ。 ・鋳造:鋳造技術について学ぶ。 ・彫金:彫金技術について学ぶ。 【経営科目群】 ・簿記:商売をする以上は必要となる帳簿の付け方や扱いについて学ぶ。 ・契約法:商売の基本となる契約に関する法律を学ぶ。 ・会計学:収支予想や売上計算など商売の様々な場面で必要となる会計について学ぶ。 ・商取引法:一般的な契約とは異なる、特殊な取引に関する法律を学ぶ。 ・手形・小切手法:信用取引に欠かせない手形や、小切手の取り扱いに関する法律を学ぶ。 ・会社法:会社の設立・運営などに関する法律について学ぶ。 【実習科目群】 ・学外実習:実際の工房や店舗に出向いて実際の現場を経験する。 ・学内実習:学校の設備を用いて実際に宝飾品の制作を行い販売をする。 これらの他にも、必要に応じて科目の変更・追加・削除が行われる。
○校内設備
・教室:学生の勉強の場。収容人数の異なる複数の教室を設置。 ・運動場:体育の講義のほか、レクリエーションの際や展示会の会場としても利用される。 ・食堂:安くて美味しい食事が自慢の食堂。講義のないときはここでまったりする学生も。 ・工房:宝飾技術学校の目玉となる施設。国内外において最高峰を目指して作られている。 ・図書室:宝飾関係だけでなく様々な分野の書籍を積極的に配置している。 ・コンピュータールーム:コンピューター実習や情報検索等に利用される。 ・教務課:学校の色々な事務を取り扱う部署。 ・学生課:学生生活に関係する事務を扱う部署。学生相談窓口とかもある。 ・職員課:先生や職員に関する事務を扱う部署。 ・金庫:貴金属や宝石、薬品など厳重な取扱いが必要なものが多いため、頑丈な金庫が各所にある。
○宝飾技術学校付属工房・店舗
工房の設備を整えるには相応の費用がかかります。 そこで、独立を目指す職人や若手の職人向けに、 学校の付属施設である工房および店舗を安価に利用できるようにしています。
○修学旅行(星鋼京の美術館・博物館めぐり)
宝飾技術学校では、学校行事として修学旅行が行われます。 行先は星鋼京で、NW随一と言われる美術館・博物館をめぐり、 文字通り博物館級の宝飾品、美術品を見学するとともに、 現地の工房や店舗を回り、ほねっことは異なる星鋼京ならではの文化・技術を学びます。 この修学旅行は星鋼京のフシミ藩王の格別のご厚意によって実現することとなったものであり、 宝飾技術学校で学ぶ学生にとって大変有意義なものになることでしょう。
○奨学金
宝飾技術学校では二種類の奨学金を用意しています。 一つは、貸与型奨学金(通称『ほねっこ奨学金』)です。 こちらは原則として希望者全員に貸与される無利子の奨学金です。 卒業後に、貸与額・収入状況等を考慮して設定された期間での返済が必要です。 もう一つは、給付型奨学金(通称『じょりさま奨学金』)です。 こちらは学業その他で優秀な成績を修めた学生に一定額を給付する奨学金です。 これらの奨学金を活用することで、学費・生活費の負担を軽減し、 より多くの方に就学の門戸を開いていきます。
○進路
卒業後の進路は大きく二つに分かれています。 一つは、各地の工房への就職です。 宝飾技術学校では、藩国内の各工房の見学や作業体験等を通じて、 卒業後の進路についても手厚いサポートを行っていきます。 もう一つは、独立開業です。 宝飾技術学校で身に付けた知識・技術を元に自分のブランドを持ちたいという学生のために、 独立開業のための特別講習や、学校付属の工房・店舗の貸し出しを行います。 また、卒業者向けの開業支援金の貸与制度も用意されています。
今日、美しい物を見た。 それはしばらく前の話になる。 地下城塞の一画、藩国民の心理的負担軽減を目的として作られた小さな公園の小さな噴水。 そこには、世界で一番美しい物が、確かにあった。 これは、後ほねっこ男爵領で、青く光る噴水が湧きだしていた頃の話だ。 滔々と流れる水はそれ自体が青い光を発し、吹きあがる水柱は青い光の柱であり、 深々と水を湛える水盤は冬の空の冴え切った月影に他ならず、飛び散る飛沫は一瞬で弾けて消える儚くも美しい流れ星だった。 一目見て、心奪われた。 時の流れの中を切り取って、静止させることが出来るのならば、私は迷うことなくあの一瞬を選択しただろう。 それより後の全ての時間と引き換えでも構いはしない。 ある一線を越えると、美は暴力に相似する。 とてつもない衝撃を伴い、人々の心に痕跡を残すのだ。 そして、良きにつけ悪しきにつけ、永久に人を変えてしまうのだ。 あれから、幾らかの時が流れ、私は今、藩国立の宝飾技術学校に在籍している。 噴水はもう青く光ることもないただの噴水に戻ってしまったが、あの美しい光はまだ私の胸の中で煌々と輝いている。 目を瞑れば、今でもあの青い光を思い出すことができる。 そうでなければ、青い光が噴水から消えたと知った、あの日あの時の絶望に、私は耐えられなかったはずだ。 そう、今もあの光は、私の中にある。 だから、私は設立されたばかりの宝飾技術学校に進学することに決めたのだ。 私の中の光を、形あるものにするために。 「うーん……だめだぁ」 ゴーグルを外して、椅子の背もたれにもたれかかったまま、大きく一つ伸びをする。 ずっと机の上に屈みこんでいたせいで、身体の節々が痛い。 「そう? 良い出来だと思うけどな」 私の声を聞きつけたのだろう。 隣で作業していた友人が、脇からひょいと覗き込むと、気楽に感想を漏らす。 「モチーフになってる流水がよく表現されてるし、銀かプラチナで作って石をあしらえば……」 確かに、その通りだ。 私の心の、客観的な部分が、友人に同意する。 確かに、その通り。 練習用の粘土ではなく、銀を彫り込んで、小粒のアクアマリンをいくつかはめ込めば、売り物になる出来に仕上がっている。 でも、それだけだ。 私の心の、どうしようもなく狂おしい部分が、それでは足りないと否定する。 そして私は、いつだってそういう狂気じみた気持ちに従ってしまう。 「んー、だめ。全然だめ。 これじゃまだ足りないんだよ。私の理想の最低限にさえ届いてない。 悔しいくらいに、下手っぴだよ、私」 「そう……君は理想が高いから ……それは決して悪いことじゃないけど」 そこまで言うと、友人は言いにくそうに口ごもる。 「けど?」 私がその先を促すと、しばしの逡巡の後、友人は、意を決したように言葉を接いだ。 「悪いことじゃないけど……理想の高さに、押し潰されないでね?」 友人の言わんとすることは、よく分かる。 よく分かるのだ。 私は、いい加減集中力が続かないということもあって、学校の中庭で小休憩をとっていた。 季節は夏。時間はちょうど昼下がり。 他の国のことはいざ知らず、少なくとも北国にとって、夏は楽園の季節だ。 暑いことには暑いが、それ以上に強い日の光が心地いい。 冷えた缶コーヒーを片手に、ベンチに座って友人の言葉について考えこむ。 そもそも高すぎる目標など、技能学習に際して、なんの益もないどころか有害でさえある。 目標とは、ハードルとは、努力すれば飛び越えられる高さに設定するからこそ意味があるのだ。 いきなり達成不可能な高さに設定して、成功するはずもないのにチャレンジし続けるのは、ただの徒労に他ならない。 だいたいにして、私のような職人の卵と言えるかどうかさえ微妙な人間が、思い通りのものを作ろうという方が間違っている。 それは分かる。 よく理解できる。 だけど…… 「だけどなー、見ちゃったんだもんなー」 ベンチに座って、天を仰ぐ。 北国の夏の空は、怖くなるほど青い。 さんさんと降り注ぐ明るい光は、世の中には他に幾らでも楽しいことが転がっているんだと、私に囁いている。 そんなに生き急ぐこと必要はないと、焦る必要なんて何一つないのだと教えてくれる。 でも、だけど。 あの光景を見て、あの光に魅入られて、それでもなお、それを目指さないという選択肢なんて、私には存在しない。 だって、あの青い光が、私の中でまだ輝いているのだから。 「失礼。隣にお邪魔しても良いかな?」 その声に、ようやく私は座り込んだベンチに差す人影に気がついた。 白いお髭のよく似合う、知的な雰囲気の漂うご老人。 よほどぼうっとしていたらしい。 声をかけられるまで、私はその人の事に全く気がつかなかった。 「す、すみません。すぐに退きますので」 「いえいえ、見たところずいぶんお疲れのご様子。 ベンチの端を貸していただければ、十分ですよ」 ご老人は、どっこいしょとベンチの反対側に腰を下ろすと、まさに好々爺然とした笑顔を私に向けた。 「こちらの学生さんですかな」 「はい」 「ほう、大したものだ。 失礼ですが、何年生ですか?」 感に堪えないとでも言うように、ご老人は白い眉を上げる。 「職人コースの三年生ですね。最終年次です」 「では、もう卒業制作に取り掛かっている頃ですか」 「ええ……でも……」 「何かに悩んでらっしゃる。そういうお顔ですな」 思わず顔に手を当てて顰めてしまう。 まさか初対面の人に図星を突かれるとは思わなかった。 「分かるくらい、表情に出ていましたか?」 「ええ、とても。 ものづくりに携わる方の中に、時折、貴方のように悩む方がいるのを見かけますね」 「そう……ですか……」 ご老人は、穏やかに私の目を見つめている。 不思議と、不躾な感じや不必要に踏み込まれているという気分にはならなかった。 「お若い方。 貴方は、この世には、何よりも美しいものがあることを知ってしまったのですね」 「……っ!」 だから、不意を打たれた。 比喩でも何でもなく、一瞬、息がとまる。 ご老人は、どこまでも優しく私を見つめている。 「しかしね、それは決して、人間の手では再現できないものなのです。 何故ならば、その美しさは、貴方の中の一瞬に固定された、貴方だけのものなのですから」 「う……あ……そ、そんなことは。 違います、違います。あれを表現できないのは、私が下手なせい で……」 「いいえ、そうではないのです。それは技術の問題ではないのです。 なるほど、技術を磨き続ければ、近似させることは出来るでしょう。 しかし、貴方の心に刻まれた美を再現することは出来ない…… どんなに近づけても、どんなに見事な装飾品を作り上げても、その美しさは、それ自体のものなのです。 貴方が取り憑かれたものの美しさではない」 言葉が、私の心に突き刺さる。 胸のどこか奥の部分が、破れるほどに痛い。 だが、痛いのは、投げかけられた言葉が心ないものだからではない。 その言葉が、その、ことばが 真実だからだ。 穏やかに、ご老人は言葉を続ける。 だが、その瞳がどうしようもないほど悲しそうに見えたのは、私の気のせいだろうか。 「ある種の呪いのようなものですな。 それを一目見てしまえば、追い求めずにはいられない。 けれど、決してそれを手に入れることは出来ない」 その言葉に答える私の声は、半ば以上泣き声だった。 「じゃあ……じゃあ、どうすればいいんですか! 呪いだから、悪いものだから、あの日の、あの噴水の事を忘れろって言うんですか! あんなに美しいものを!」 堰を切ったように、涙があふれ出す。 口から流れ出た言葉の半分は、まともな言葉になっていない。 だけど、ご老人は私の言いたかったことを、十分に理解してくれたようだった。 涙で滲む視界でも分かるように、ゆっくり大きくと首を横に振る。 「違う。違いますとも。 呪いという言葉が悪かっですね。 美しいものをに心震わせた感動が、悪いものなんかであるはずありません」 「じゃあ……」 ご老人は、すっと周りを指差した。 「見なさい」 そこにあるのは、どこにでもある、ごく当たり前の風景だ。 どこまでも青い夏の空、夏の日差し、照り返しも艶ややかな夏草の緑、校舎の落とす濃い影。 夏の風、夏の匂い。 ご老人は繰り返す。 「観なさい。 真に美しいもの触れ、それを心の底から美しいと認められた貴方の目ならば、観えるはずです」 「何が……?」 「美が。 美とは、何も特別なものではありません。遍く存在するものなのです。 それは、作り出すものではありません。見出すものなのですよ、お若い方」 その言葉に、ああ、と私は息を漏らす。 なぜ、気がつかなかったのだろう。 こんなにも美しい夏の昼下がりに。その美しい一瞬に。 呆然とする私の手が、ぎゅっと握られる。 掌の中に、硬い感触がある。 指輪? 「差し上げます。 私が作ったもので、一番マシな出来の指輪です。 きっと、貴方の助けになるでしょう」 掌を開いてみる。 プラチナの台座、石はエメラルド。 石それ自体は決して高いものではないだろう。 だけど、一目見てわかった。 徹底的に石にあわせたカット。考え抜かれた配置。 この指輪は、このエメラルドが最も美しく身に付けた人の指を飾るように作り上げられている。 このカット、この角度でしか見ることの出来ない、森を映すような深い緑。 「綺麗……」 単純な言葉でしか、形容することができない。 だけど、この言葉を口にしたのは、いつ以来だろう? 思い当たるのは、あの噴水を食い入るように見つめる自分。 そういえば、あの時以来、何を見ても心動かされることがなかった気がする。 その事に思い至った瞬間、私は我に返った。 「って、も、貰えません、こんな凄いも……って、あれ、おじいさん?」 気がつけば、ご老人の姿はどこにも見えなかった。 大慌てで周りを探したものの、結局、ご老人は煙のように消えてしまっていた。 まるで、最初から存在していなかったかのように。 けれど、それが夢ではない証拠に、私の掌から、指輪が消えてしまうことはなかった。 あれから、しばらくの時が流れた。 私は、恙無く宝飾技術学校に通っている。 ふと思い立って、久しぶりにあの噴水を訪ねてみた。 投げ込まれた宝石で光るその噴水は、当たり前だが、もう青く輝いてはいなかった。 ほんの少しだけ、心が痛んだ。 だけど、それだけだ。 掌の中には、私が最近作った中で、一番良い出来の指輪。 私のお小遣いでは、石まで手が回らなかったので、迷宮に落ちている物を使っている。 それを、そっと噴水に沈めた。 世界の美しさに気付くきっかけとなったことに、感謝の気持ちを込めて。 この世界に在る美しさを、決して忘れないように、祈りながら。
古い記憶に焼きついているのは、小さな工房とそこに響くタガネの音。 使い込まれ、年季の入った古いルーペを覗き込み、 節くれだち皺が無数に刻まれた指から創りだされていくのは繊細さと豪奢さを兼ね備えた装飾品の数々。 貴族の夫人の指を飾る年代を重ねた受け継がれたものから、年頃の娘の胸元に納まり美しさを引き立てるもの。 恋人同士の指に贈られた小さいながら真心を込められた物まで数多の品々がこの場所で作られた。 小さな工房の主は、私の祖父である。 私の祖父は、元はほねっこ銀座の片隅に小さな工房兼店をを構えていた。 見る人が見れば小さな店ではあったが、 祖父の仕事ぶりを贔屓して下さるお客様に支えられて細々ながらも商売は成り立っていたのである。 元々、この国は宝飾産業が盛んな町であった。 帝國の中でも高級宝飾品の代名詞とも言われ、上流階級の間でも名の知れた場所。 腕の良い職人が、限られた存在の為ではあったが、己の腕を十二分に振るうことの出来る場所。 だが、現在では他国に押され始め以前よりも注文は減った。 職人の数も高齢による老衰や他国へ移住するなどで減り、後継者不足も一部では囁かれるようになっていた。 その懸念は祖父の耳にも届いていたが、それについて祖父は何一つ言わずただ黙ったままいつものように仕事を続けていた。 「おじいちゃんの仕事がなくなったら嫌だな」 「また突然に何を」 「何となく」 ぼそりと呟くような囁きのような独り言に、祖父が返してくる。 「最近、昔みたいにお客さん来なくなった」 「そうだな」 まるで世間話みたいな祖父の答えに、私の方が逆に不安を覚えてくる。 「仕事が丸っきりなくなる訳じゃない。需要はある、それが今は減っているだけだ」 そう言われても、すぐに納得できない。殆ど農業中心のこの国の何処に需要がある、というのか。 「それに減ったんじゃない、減らしたんだ」 「何で?」 「この年になって出来なくなった仕事もある。出来ることを出来るようにする、 出来ないことは出来ないと知って、己の調子を知っていることも大事なんだ」 「確かに、それは大事だと思うけれど……」 子供の駄々だ。とどのつまり、祖父が老いたということを事実が、懐かしんでいる昔を脅かすのが嫌なだけなのだ。 だが、そんな私に対しても祖父は「それも時代だよ」と温和な笑みで答えてまた仕事に戻っていく。 その後ろ姿が、段々とか細くなっていくこの産業と重なるようでやり切れなかった。 仕事をしている祖父が好きだったし、ずっと仕事を続けてくれると思っていたのだ。 私はそんな祖父に憧れ、いつか後を継ぐのだと思っていた。だが私が生来の不器用でありその方面に才能が無い。 だからこそ別な形で祖父の力に何かなれないかと思いながらもどうしたらいいか分からない。 ある日、祖父の元にある人物が訪れた。 その人物は、ほねっこ政庁の者だと名乗った。 仕事の依頼だろうか久しぶりだと思いながらお客さんにお茶を持っていく。 だが、その人物の口から出たのは全く予想外の話だった。 「今度設立される、藩国立の宝飾技術学校のことはご存知でしょうか」 「ああ、そう言えば知り合いから聞いたことがあります」 藩国立の宝飾学校。初めて聞く言葉に興味が沸く。 「話が早い。私たちはその宝飾技術学校の講師として貴殿をお迎えしたいと考えております」 「私は一介の職人。他にも有能な職人や講師はいるでしょう」 「貴方に是非お願いしたいのです」 その人物は言う。 宝飾に関して、あなたを抜きにする訳にはいかないと。祖父の技術は、後世に伝えるべきだと。 未来に続いていく職人のためにも、このほねっこの為にも祖父の力が必要なのだと熱を込めて話す。 「私の技術など古いものだ。とても未来に伝えるものではない」 「それは違います。新しい何かとは貴方たちが築き上げてきた知識や経験、技術から生まれていきます。 貴方もかつてはそうだった筈です」 祖父はそれに答えず、黙ったまま続きを促すかのように相手を見る。 「このほねっこがこれまで培ってきた物を受け継ぎながら、さらに新しい何かへ向かう。 それが何処へ向かうかは誰にも分かりません。……ですが、それが明るい未来であると私は願いたい」 相手は意思の強さを感じさせる瞳を祖父をまっすぐ向ける。 祖父は少し何かを考え、それから私にいつも見せる温和な笑みを相手に向けた。 祖父は決めたのだ、と私は思った。 「この老いぼれが、未来への力となることが出来るならば引き受けましょう」 /*/ こうして、祖父は工房の仕事のかたわら宝飾技術学校の講師として赴くようになった。 最初は、引き受けたものの「何をどうすればいいか分からん」と言いながら講師として出かけていた。 だが、今は若い学生が見せる成長や自分に思いもよらぬデザインや方法を目の当たりにしながら 「若い者にはまだ負けられない」と戻ってくるなり工房に篭る。 私も幾つかそれらを見せてもらったが、何処からこの発想が出てくるのだろうかと驚かされる。 叩き台どころか、逆に学生や同業者からパワーをもらっているのじゃないかと思うのは私だけではない。 職人コースを目指している私の友人などは、祖父の仕事は天才的だとか神だとか大層誉めそやすので、 友人としては恥ずかしいものの身内としてはにまにましているという非常に微妙な立場にある。 私の不器用さは相変わらずであったが、今は経営コースに進むことを目指している。 祖父や学友たちがこれから創り上げていく新たなほねっこの宝飾品の数々。 それをどう流通させていくかという方面ならば私にも何か出来るのではないか―そう思ったからだ。 授業はあらゆる方面の教養が必要で、毎日が目まぐるしく過ぎていく。 自宅に戻った後にすぐにベッドに倒れてしまうこともある。 それでも、目的があってそれに突き進めることの出来る環境があるということは有難いと思う。 祖父の創り上げた宝飾品を、私が売る。 それが今私が持っているささやかな夢であり、実現に向けて私は学び続けるのだ。
探訪者:
ユーラ(せっしょー)
グレッグ・E(犬士。宝石好き)
ロケ地:ほねっこ大工房
オープニング
ユーラ :「ほねっこ!」 グレッグ:「工房探訪!」 ユーラ :「というわけで、今日はほねっこが新たに盛り上げようと頑張っております宝飾産業の、 その中核を担う、国立ほねっこ大工房へやってまいりました」 グレッグ:「やってまいりましたわん!」 ユーラ :「本日はじょり丸様は多忙のため、犬士の中でも特に宝飾品好きのグレッグ・E君が同行してくれます」 グレッグ:「よろしくですわん」 ユーラ :「というわけで、まずは工房の施設を見学に行きましょう!」 グレッグ:「わん!」
〜大工房・鋳金場〜
ユーラ :「到着しました。こちらが大工房の鋳金場です」 グレッグ:「広いわん!」 ユーラ :「説明してくださるのは、広報部のシルバーさんです。よろしくお願いします」 シルバー:「よろしくお願いします」 グレッグ:「お願いしますわん!」 ユーラ :「たくさん炉がありますが、これらはどういうものなんですか?」 シルバー:「はい。ここには複数の種類の炉があって、目的に応じて使い分けられています」 グレッグ:「例えばどんなのがあるわん?」 シルバー:「こちらは一般的な炉で、金属などを中に入れて溶かし、それを用意した型に流し込むものです。 ほとんどの金属類はこれで加工しやすいような形に型どりがされます」 グレッグ:「板状に延ばしたり、棒状にしたりするわんね」 ユーラ :「なるほど。それ以外だとどんなのがありますか?」 シルバー:「あちらにあるのが、遠心鋳造用の炉です。複雑な形状や、小さな部品等は、 型に溶かした金属を流し込んだだけだと隅々まで行き渡らないことがあるんです」 グレッグ:「表面張力が働いて丸くなってしまうのわん」 シルバー:「その通り。そこで力を加えて、溶かした金属を隅々にいきわたらせる必要があります。 いくつか方法はありますが、こちらは遠心力を利用するタイプです。 これを用いることで、複雑なデザインのものも高精度で再現することができるんです」 ユーラ :「なるほど。こういった炉がたくさん備えられているんですね」 シルバー:「はい。それでは、次の場所へご案内します」
〜大工房・鍛金場〜
シルバー:「こちらは鍛金場になります」 ユーラ :「先ほどの鋳金場よりも小さい炉が並んでますね」 シルバー:「はい。ここは熱した金属を叩いて加工する、これを鍛金または鍛造というんですが、 そのための作業場になります」 グレッグ:「ドラマやアニメに出てくる鍛冶場みたいわん」 シルバー:「ええ。同じと思ってもらって構いません。作業中は火が入りっぱなしなのですごく暑いですよ」 ユーラ :「うーん、それは大変そうですね。身体は大丈夫なんですか?」 シルバー:「はい。すぐ近くに休憩所が作られていて、クールダウンできるようにしています。 そこには給水機もあるので、適度な休憩と水分補給をすることで乗り切っていますね」 グレッグ:「職人さんは大変わん。頭が下がるのわん」 シルバー:「いえいえ。それでは次の作業場をご案内します」
〜大工房・彫金場〜
シルバー:「こちらは彫金場です」 ユーラ :「ここには炉がない代わりに、机と工具がたくさんありますねー」 シルバー:「はい。ここは工具を使って金属を彫ったり、細工をしていく作業場です」 グレッグ:「宝飾品を作る上での花形わん!」 シルバー:「そうかもしれませんね(笑) ここではどうしても手作業になるので、 大勢の人が作業できるようにたくさんの作業台が用意されています」 ユーラ :「なるほど。それにしても工具の数もすごいですね」 シルバー:「ええ。彫金には様々な技法があるので、それらによって色々な工具を使い分けないといけません。 場合によってはこの場で鋳金や鍛金をすることもあるんです。 もちろん大がかりなものは専用の作業場でないと難しいんですけどね」 グレッグ:「バーナーが置いてあるのはそういうことなのわん」 ユーラ :「なるほど。宝飾品のいろいろな細工がここでされているんですね」
〜大工房・宝石加工場〜
シルバー:「こちらは宝石加工場です」 ユーラ :「ここは今までとちょっと雰囲気が違いますね」 シルバー:「はい。ここでは宝石のカットや研磨を行っています」 グレッグ:「カットは、原石や宝石を削って形を整える作業だわん。 研磨は宝石の表面を磨いて平らにしたり、滑らかにする作業だわん」 ユーラ :「さすがグレッグ、よく知ってるねえ」 グレッグ:「(えっへん)宝石はカットと研磨で価値がドーンと上がったりするんだわん」 ユーラ :「それだけ重要な加工の現場なんですね」 シルバー:「そうですね」
〜大工房・デザイン室〜
シルバー:「こちらはデザイン室です」 ユーラ :「デザイン室というと、机に座って絵を描いてるイメージでしたが、 この部屋はだいぶイメージが違いますね」 グレッグ:「さっき見てきた彫金場に似てるわん。違うのはパソコンとか色鉛筆とかあるところわん」 シルバー:「宝飾品のデザインを考えるときは、もちろん紙に描いたりしますが、 それだけではなく、実際にどんな感じになるか木や銅などで試しに作ってみたり、 最新の手法としてはパソコン上に3Dイメージを描いてみたりといったこともしているんです」 ユーラ :「なるほど。いろんな角度からデザイン設計が行われているんですね」 シルバー:「はい。鋳型の原型造りなどもデザイン室の職人が行っています」 グレッグ:「デザイナーさんになるには職人さんとして優秀でないとダメわんね。大変わん」
〜大工房・事業部〜
シルバー:「こちらは事業部のオフィスになります」 グレッグ:「机がいっぱいわん」 シルバー:「ここには宝飾品の材料を仕入れ・管理を行う資材部や、商品の販売部、 工房の収支や職人さんのお給料などお金に関することを扱う財務部をはじめ、 工房を経営していく上で欠かせない多くの部署があります。 私が所属する広報部も普段はここで仕事をしています」 グレッグ:「縁の下の力持ちだわん」 ユーラ :「商売である以上こういった部署も非常に重要ということですね」 シルバー:「はい。制作部と事業部が工房の両輪となって動いています」
〜大工房・展示室〜
シルバー:「こちらは展示室です。この工房で制作された作品が展示されています」 グレッグ:「わん!(目をキラキラさせて尻尾ふりふり)」 ユーラ :「ここはどういったときに使用されるんですか?」 シルバー:「工房の見学希望があった際や、 宝飾品の仕入れにお越しいただいた業者の方への説明・紹介によく使われています。 今後、作品が充実して博物館になるといいねとよく話しています(笑)」 ユーラ :「それは楽しみですね(笑)」 グレッグ:「楽しみわん!!」
エンディング
ユーラ :「駆け足でお送りしました、ほねっこ大工房のご紹介でしたが、どうでしたかグレッグ君」 グレッグ:「食堂は紹介しなくていいのかわん。デザートおいしかったわん」 ユーラ :「いつの間に……まあ今回はお仕事の現場の紹介ということで」 グレッグ:「わふん。思ったよりも広くて歩くの疲れたけど楽しかったわん! 職人さんにはこれから頑張っていい宝飾品たくさん作ってほしいわん!」 ユーラ :「そうですね。それを支えるよう、藩国政府としても頑張らないといけないですね!」 グレッグ:「がんばれわん!」 ユーラ :「……こほん。以上『ほねっこ工房探訪!』でした!」 グレッグ:「お付き合いありがとうございましたわん!」 ―終わり―
おまけ
グレッグ・Eの宝飾豆知識〜その1〜
宝石と一口に言ってもいろいろあるのわん。 その生成過程によって、天然宝石と人工宝石に分かれて、 人工宝石はさらに、天然宝石と同じ成分で出来ているものと、 天然宝石とは違う成分作られているもの(人造宝石と言うわん)とがあるのわん。 宝石に当たらない、つまり鉱物以外の材料で作られたものは模造宝石と呼ばれるわん。 ほねっこの宝飾品は天然宝石を使っているわん。 人工宝石・人造宝石は星鋼京のものが品質が優れていると評判だわん。
グレッグ・Eの宝飾豆知識〜その2〜
宝飾品のデザインをする上で意外に重要なのが、着ける人の職業わん。 特にメードさんがつける宝飾品のデザインには気を使うのわん。 ほねっこではメードさん用の宝飾品はブローチやスカーフ留めなどが主流で、指輪はほぼ作られていないわん。 メードさんの場合は高価なものや大切なものに触れる機会が多いから、 触れたものにキズが付いたりしないよう仕事中に手先に物を着けることがまずないからなのわん。 他のアクセサリーも、うっかり他のものを傷つけたりしないように角のない曲面のデザインが圧倒的に多いわん。 デザインは見た目の美しさだけではないのわんね。考える人も大変だわん。
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