!イベント115の悲喜劇こもごも <<< /*/ にゃんにゃん共和国側で事件が起きた。 市場の取引停止による、食料があっても餓える共和国民。 そしてその直前に起きた治安維持活動を行うISSの崩壊。 二つの事件が災禍となって共和国を呑みこみ、そして帝國をも揺さぶろうとしていた・・・。 ここは後ほねっこ男爵領。 わんわん帝國の辺境に位置するこの藩国は、幾度の戦火に巻き込まれ、今日をしぶとく生き残っている。 敵の進攻ルート上なので焼き払われ、新しい場所でも占領され国民同士が娯楽として殺し合いをさせられたこともあった。 だがその度に復興し、人々は元の生活へと戻っていく。 そして今回、にゃんにゃん共和国からの難民を受け入れることになった。 男爵領の藩王、火足水極さま。 厄介ごとがある度にぶっ倒れることで国内では有名だったりする。 今もぶっ倒れるんじゃないかな〜、と国民達の間ではもっぱらの噂である。 うん、確かにぶっ倒れた。 しかし立ち直りは早かった。その速度はギネス級かもしれない。 幾つもの困難を経験したおかげか、それとも予想していたのか。 それはともかく、藩王は早すぎる立ち直りからきた眩暈を覚えつつも、難民受け入れの態勢を整えるべく行動を開始する。 命令した方がよい気がするが、これはまあ藩王の良い所だろう。 難民達は食料が無く、餓えたために共和国を捨て、帝國へとやってきた。 まずは食料の配分が必要となった。彼らが自分達で食べていけるまでの食料が。 その点についてはすぐに解決した。 この藩国では食料があまり気味だったのである。 国民達が餓えないようにと藩王が先頭だって食糧生産地である小麦粉畑、 小麦を収穫する農業機械、小麦を保管する食料庫を増やしていた。 他国ともども作りすぎて、市場を危うくさせたほどでもある。 難民達のおかげでそうならずに済んだといえる。 次は住むところ。 後ほねっこ藩国は北国なので、夏は短く冬は厳しい。 テント程度では凍死することもありえる。 ここでも早々に解決の見通しが立った。 戦火にさらされたのが原因で、土木建築関係では無類の強さを誇れるほどだったりする。 軍用から廃棄され民用に復活再生させたトモエリバー改造型、弁慶リバーも活躍。 これなら難民達は厳しい冬を乗り越えられそうだと藩王も満足気に言った。 だが、まだ不安要素はある。 難民の中にいる暴徒が治安の低下を招き、藩国は田舎なので仕事もそうない。 久々のピンチであった。 そこで目をつけたのが長距離輸送システム。 戦闘だけでなく、輸送にも弱点のある藩国が新しく取るイグドラシル。 食糧生産系やI=D工場以降、取ることのなかった施設系イグドラシアルである。 藩国以外への輸送力を確保するので、藩国内では大規模公共工事である。 おまけに藩国以外からの利用も打診されていて、可能な限りの速度で作り上げる必要がある。 どう考えても藩国内の労働力では手が足りない。 ピンチはすなわちチャンス。 様々な問題を解決する糸口になった。 政策面で難民の受け入れを進めつつ、現国民と難民もとい新国民が一丸となって長距離輸送システムに取り組んだ。 共に汗を流し、共に同じ釜の飯じゃなかったパンを食べる。 異民族の意識は無いとはいえ、いきなり現れた新国民への現国民の警戒も同じ目標へと邁進していく中で薄れていった。 その頃、夜更かしできずに藩国会議の蚊帳の外にいた、海賊さんことMillbackは警官達と共に治安維持活動に就いていた。 戦うこと以外はからっきしなので、得意な分野で役に立とうとした。 海賊なので、荒くれごとには強い。特に奇襲とか。 体中傷だらけで、威圧もできる。 治安維持にはまさにうってつけだが、治安を乱す側の海賊が何してんだろうなと一人心の中で思う。 ここは後ほねっこ男爵領。 幾度も戦火に焼かれ、その度に復興する不屈の意思を持つ藩国。 難民受け入れた程度では屋台骨はぐらつかない。 でも共和国天領の艦隊がちょっと怖い。 あ、まだ難民受け入れが残ってると? 藩王はまたぶっ倒れる。 /*/ 作:Millback >>> <<< /*/ 騒乱著しい共和国から長い道のりを超えて、ようやく辿り着いたのが帝國の地であった。 帝國軍に先導され辿り着いたのが、この『後ほねっこ男爵領』なる国だった。 周りには、共和国から一緒に来た人の波で溢れかえっていた。 疲れ果てていたせいか、誰も彼も無口だった。 住み慣れた共和国を逃げるように出て、辿り着いた先が帝國とは。 共和国に生まれて、共和国にて死すと思っていたあの日常は呆気なく崩れ果ててしまった。 どうやらここは北国だという。 国を捨ててきたも同然の自分にはお似合いだな、とその男は思った。 とりあえず用意された仮設テントに入り、食事と睡眠を得る。 疲れ果てていたのは一緒に連れてきた老父母や、妻子もそれは同様だったらしい。 魔物に教われない、久々の眠りだった。 翌朝、テントに緑の作業服を来た人物がやってきた。 胸には骨のマークを付けている。 「おはようございます、昨日は良く眠れましたか?」 「ああ、満足とは言わないが久しぶりに眠れたよ」 「そうですか、それは良かったです。  今日の朝食をお持ちしました。  もし体調が宜しければ国民登録の受付を始めますので、向こうの受付までいらしてください」 そういってその人物は向こうにある仮設プレハブを指差した。 すでに、もう長い列が出来ている。皆であれに並ぶのか、と考えると内心うんざりとする。 すると、それを見越したかのようにその人物はこう言った。 「もし体具合が悪くて並べないお年寄りやお子様などがいらっしゃいませんか?  後で、こちらでお伺いしてまとめて受付できますが、どうなさいますか」 男は、まだテントで眠っている家族を見てこう言った。 「是非、お願いします」 「わかりました、ではお名前を」 男はその人物に名前を告げ、後で来てもらうように頼んだ。 それから、家族分の朝食を受け取るとそれと一緒に温かいタオルが差し出された。 「体を拭くだけでも気分が違うと思いますよ」 にっこりと微笑むその姿に、男はありがとうと礼を言うとその人物は次のテントへと向かっていった。 差し出されたタオルはまだ暖かく、男はそのタオルでごしごしと顔を拭く。 そのタオルの温かさに、僅かの疲れが取れるような感覚を覚えた。 拭き終わった後のタオルを見る。黒く汚れ、それを見てここまでの道程の険しさを思い出す。 そして、男は眠っていた家族たちと久方ぶりの朝食を囲んで食べた。 その後、スムーズに手続きは行われ晴れて男とその家族はほねっこの国民となった。 仮設住宅に住むことが出来るようになり、男は復興事業のための手伝いとして働きに出かける。 その現場で、男はあの時朝食を運んできた人物と出会った。 「あの時は、お世話になりました」 「元気になられたようでよかったです」 「このお礼はどういって言いかわかりません」 男が、困ったように見るとその人物はこういった。 「ほねっこの民がほねっこの民を助けただけですよ。  私に返す分は、新たなほねっこの民に返してください」 「ほねっこの民……ですか」 「はい、私もそうでしたから」 そういって、その人物はあの時のようににっこりと微笑んだ。 男は、それを見て笑い返す。そしてこの国に来て良かったのだと思えたのであった。 それは、帝國も共和国も無い。 ほねっこの民がほねっこの民を助けただけの話。 この小さな善意の連鎖が、いつか大きく広がりますように。 /*/ 作:たらすじ >>>