ビーストバインド
ビーストバインド
1999年に小学館から発売された『BEAST BIND 魔獣の絆 R.P.G.』及び、2004年に発売された続編の『BEAST BIND New Testament』、『ビーストバインド トリニティ』のこと。
本項では一作目を扱う。続編についてはそれぞれ BEAST BIND New Testament、ビーストバインド トリニティを参照のこと。
『ビーストバインド』は世紀末の日本を舞台としたロマンホラーRPGである。
人間社会の陰には、実は吸血鬼や人狼、宇宙生物、天使、死神、人造人間などの魔物が存在しているという世界観で、プレイヤーはそれらの魔物を演じることになる。ただし、PCはそれらの魔物とは異なり、何故か人間というものに興味を持ってしまった半端な魔物、すなわち半魔である。
魔物が吸血や破壊といった本能に従い、あるいは異世界の論理に従って人間などまるで意に介さないのに対して、半魔であるPCはそういった側面を持ちつつも人間に興味を持ち、人間の姿を借りて彼等の中で生活している。
彼等が本来持つエゴ(本能)と、人間としての生活によって築いてきた絆との間の葛藤がメインテーマとなる。
世界観
上述の通り、世紀末の日本を舞台に、陰で様々な魔物が跳梁跋扈する混沌とした世界が特徴であった。
各々の魔物は、吸血鬼は吸血鬼社会、天使は天界、魔王の息子は魔界など、互いに干渉しない背景世界を持っている。日本(正確には地球)は、それらが集まる交差点のような場所である。とは言え、バックボーンとなる世界を詳細に決めず、キャラクターの魔物的本能や特殊能力も簡単に変更できたことから、ユーザーが自分の望むキャラクターをプレイしたり、映画・小説・コミック等からイメージソースを持ってくるのが容易であった。
更に、この設定は追加でアーキタイプ(吸血鬼、人狼といった魔物の種別)を加えるのも容易にした。それを利用して、オフィシャル側の人間が追加アーキタイプを作り、一部のコンベンションなどで配布したり、雑誌サポートとしてアーキタイプを載せるなどのフレキシブルな展開も行われていた。
こういった形式が初めてか否かは調査を待つところだが、有名な例としては初めてと言っていいであろう。これは後のFEAR社のゲームに強い影響を与えたと考えられる。
サンプルとして設定されている都市が新宿であり、そこでも世紀末の雰囲気を表現していた。世紀の境目を越えて New Testament になると、池袋に移っている。
ルール
一般判定や戦闘ルールは記述がそれほど多くなく、「愛」と「罪」、「絆」と「エゴ」といった人間と魔物との差異や対立を表現するルールが充実していた。さらにゲームマスターの意図を明示的にプレイヤーに伝える「スピリチュアル・アンカー(心の拠り所)」のルールがあったことからも、自己の欲求と人間関係を通じて物語を作ることを重視した態度がうかがわれる。有利/不利、生存/死ではなく、「GM(シナリオ)の意図に沿っているか」を重視してプレイするためである。
また、システム・デザインの藤浪智之が、各ルールについて、そのルールを作った意図や運用方法を、ルール自体と同程度の分量を割いて説明している。ルールではなくデザイナーの言葉によって直接意図を伝えるこの形も当時としては珍しかった。
ただ、特殊なルールが多く、直感的に分かりにくい物もあるため、初めてやる時には注意が必要である。
書誌情報
ルールブック
小学館エスノブックス『BEAST BIND 魔獣の絆 R.P.G.』 著:井上純弌ほか ISBN4-09-385140-9 定価 本体3,400円+税 B5版
BEAST BIND New Testament
- 2版相当
ビーストバインド トリニティ
サプリメント
資料リンク
- 魔獣の絆 オフィシャルページ
- 公式。
- てぃるなのぐ ビーストバインド・ライブラリ
- レビュー、コラム、イラスト。
- 銅大のRPGてんやわんや 「魔獣の絆」RPGの部屋
- ルールの読み方、シナリオ。
キーワード:
参照:[藤浪智之] [井上純弌] [GameTitle] [年表] [ジャンル] [BEAST BIND New Testament]