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夜魔ヴァラドゥルカ

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 死が真に平等とは誰が戯れ
 否
 否
 其は死して尚も辿る道行き
 暮を歩み 生でも死でも無き 懶い実在なのです
 善良なる邑々を陥れ
 蝕み
 貪り
 乙女の霊魂を穢す実在なのです
 或る時は 蝙蝠の昏き翼と為り
 復た
 或る時は 狼の昏き毛皮を纏い
 肉を攫い
 血を啜り
 死生の境界 流れる清水は渡り得ず
 天界の威光 燦然たる陽の下を忌み
 唯々 おぞましい夜の内に蠢く
 そんな実在なのです
 倅よ
 娘よ
 夜を恐れぬならばこそ
 ヴァラドゥルカには 用心しなさい



【註釈】

 辺境に伝わる、夜魔の伝承詩。
 子供の夜更かしを戒め、早寝早起きを促すための、他愛の無い詩──とする説もある。地方によっては細部が異なっていたり、旋律のついた歌となっていたりする。
 ヴァラドゥルカとは、吸血鬼を指す。

<発案者:ペナルティ>

更新日時:2006/04/25 22:34:19
キーワード:
参照:[伝承]
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