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イベント09 物語で見る各国の戦争準備状況

物語で見る各国の戦争準備状況

イベント09に提出する、レポートの置き場です。

  1. 『帝國史記・補遺』より抜粋〜火足メモ〜(火足水極ほか)
  2. ほねっこ男爵領の騒がしい一日(うにょ
  3. 開戦前夜(深夜
  4. 兵士たちの開戦(火足水極

『帝國史記・補遺』より抜粋〜火足メモ〜

火足水極(ほねっこ男爵領)、伏見、伯牙(冬の京)

以下の会話は実録に基づくものであり、転載に関しては冬の京、伏見子爵にも了承をいただいております。

会談の内容は、冬の京でもSSとして上げられており、読み比べることで、互いの思惑が立体的に伺えるでしょう。

『藩王会談 -ほねっこ男爵領と冬の京の場合-』

帝國暦211年から始まる第二次黄金戦争は、わんわん帝國の諸藩にとって予測しえぬ事件の連続であった。

そもそも、

”帝國の興廃、この一戦にあらず。繰り返す。帝國の興廃、この一戦にあらず。各藩国一国も多く逃げ延びよ。帝國の再結集まで壮健なれ”

という詔勅自体、吏族の幾人かが己が耳や鼻を疑ったものである。

だが敵は、来た。

散り散りになり、元いた世界を追われ亡命政府をつくった諸藩は一息つくまもなく、更なる敵の襲撃を受ける。

敵土偶兵器との接触があったのは、伏見子爵治める「冬の京」である。衝撃は隣接する藩国を走り、火足水極男爵が治めるほねっこ男爵領もその例外ではなかった。

王犬の耳を引っ張りつつ火足水極はつぶやいた。

「こら、困った」

先ほどの領土内の探索により、小笠原なる海に続くゲートが見つかっている。男爵自身はその意味をよく理解しているとはいえない。彼が知るのは、賢者XH−834から漏れ聞いた断片的な知識のみである。件の賢者は星を見にメッケ岳にこもりきりであった。

目の前には古風な1通の書状がある。署名は「冬の京宰相・伯牙」と読めた。 この英傑が冬の京にて、伏見子爵の宰相として辣腕を振るっていることは、新顔の火足水極とて知っていた。

書状の中身は同盟の根回しである。

冬の京は敵の侵攻最前線であることが突如判明した。

尚書省で大立ち回りをした、男爵領の華族、無量小路は戦時財政の企画立案のため席を暖めるまもなく中央に戻った。

「どうにも、大事からは逃れられないらしい」

「うぉん」

応えるようにじょり丸は鳴いた。

火足水極は略礼装の姿をとって、冬の京への直通会話を吏族に命じた。

17:05 Created
17:05 *** L→R has joined channel #冬の京
17:05 *** Topic for #冬の京 : Event07:『オズルとの戦い』勃発 / [募:藩王]html
弄れる人/[調査願]Event02後
参加国民の吏族チェック等の有無
17:05 >D16_Work< はじめまして、ほねっこ男爵領、火足水極です。
17:06 >D16_Work< Event07に関する同盟の件につきまして検討・話し合いに参りました。
17:06 <kagehisa> ぉぉ、他領からのお客人ですか。
17:06 <kagehisa> はじめまして
(中略)
17:10 *** hakuga has joined channel #冬の京
17:10 *** Kyo-RL has joined channel #冬の京
17:10 <GT_> ( ゚-゚)ノシ 藩王ッ
17:10 <hakken> まぁ、うちは比較的人数多いですし>Bivさん
17:10 <Kyo-RL> ああ、諸君。挨拶は不要。
17:11 <Biv> うちって、多いんだ。
17:11 <hakuga> D16さん、どもですー。藩王を率いてきました。
17:11 <Kyo-RL> 火足閣下、申し訳ない。遅れました。
17:11 <Kyo-RL> わざわざ起こし頂、誠にありがとうございます。
17:11 >D16_Work< 藩王・摂政殿両名のお出迎え恐縮です。
17:12 <hakuga> こちらこそ、対応していただいてありがとうございますッ。

http://www.trpg.net/user/D16_Web/Graphic/Unnamed/Event0901.jpg

伏見(冬の京・子爵):改めまして名乗りを。冬の京の伏見です。

火足水極(ほねっこ男爵領男爵):改めまして、ほねっこ男爵領、男爵火足水極であります。

伯牙(冬の京・宰相):冬の京宰相、伯牙です。早速、お話の件なのですが。いいですか?

火足水極ええ。ではまず、昨日のセントラルでの質問と回答をご覧ください(http://hiki.trpg.net/wanwan/?News070107)。こちらの、後半の記事になります。

伯牙:ほねっこ男爵領で確保されたリンクゲートとその関係についてですね。

伏見:現状は理解しました。

火足水極そうです。リンクゲートとそれに関わる懸念の件です。無名世界観的なことはあまり知らないのですが、ガンオケ青の世界にこちらから敵の侵攻ルートを開いてしまうことになるのではないか。それを危惧しています

伏見:心から申し訳ない。こちらの不手際でそちらにも火を飛ばしてしまうことになりまして。侵攻は十二分に考慮されます。

伯牙:敵の目的が何かは分かりませんが、近隣世界を片っ端から潰していっているので、可能性は高いですよね。

17:17 <Kyo-G> 前回のアプローの涙、あるいは一昨年の大絢爛舞踏祭はご存知ですか?

17:17 >D16_Work< アプローの涙からさんかしております。

17:18 >D16_Work< ですので、あの土偶が広島で出たアレとおそらく同じものだろうことも。

17:18 <Kyo-G> それは何よりです。両儀式魔術で、隣接世界からゲートを使っての進軍が確認されています。

伏見:ですので、今回、当国を戦場に選んで、押さえきれなかった場合、隣接国家及び、小笠原にまで被害が及ぶ可能性があります。敵の狙いもそれでしょうし。

伯牙:本国としても自国の防衛はもちろんですが、ほねっこ男爵領への侵攻とそれに伴う小笠原への侵攻は、断固阻止したいと考えています。

伏見:ですので、誠に勝手ながら、ほねっこ男爵領にお願い申し上げたい。

どうか、ご助力を。

これ以上、自国のみならず、他国、他世界まであの土偶どもに汚されるのは我慢できません。それに――

火足水極……「アプローの涙」では敵は同盟藩のリンクをたどって侵攻してきたと記憶しています。そして、その侵攻を止めるために、猫たちの間では一時期同盟の破棄が行なわれましたな。

伏見:最新の情報では人狼領地で敵の使用したゲートが発見されてます。

伏見:このまま、第一陣を通してしまえば、継続的に後続を許してしまいます。

火足水極人狼領地でも? 敵はゲートを独自で作成できる?

17:24 <Kyo-G> ○参加冒険: 45:激突戦闘

17:24 <Kyo-G> ○なかだい:8200:北国人+歩兵+歩兵

17:24 <Kyo-G> ○優樹:8800:北国人+歩兵+歩兵

17:24 <Kyo-G> ○冒険結果: 成功 :得たお宝: B 25リンクゲート :ユニークな結果:なし

17:24 <Kyo-G> コメント:敵が通ってきたリンクゲートを発見しました。

伏見:こちらです。

伯牙:おそらくはゲートを通過してきた敵が、自分と国民を介し本国が発見され、そのまま隣国としてゲートが結ばれている他国へと侵攻するという形だと思います。

火足水極今回の状況では、同盟しないとすることで、リンクを伝っての敵の侵攻を止められないのでしょうか?

伏見:残念ながら。

伯牙:隣国ゲートはレギュレーションで必要である。という事は、同盟をしていなくても、そのリンクを辿れられると思います。

火足水極なるほど。わかりました、食い止めるほかありませんな。

伏見:申し訳ない。

伯牙:敵に発見されこのような事態になったこと、深くお詫び申し上げます。

火足水極いえ、事前予測できるものではありません。謝罪には及ばぬかと。

わが藩以外への折衝は既にお済ですか?

伏見:お心遣い、痛み入ります。現在、よんた藩国との同盟が締結されています。

(息を呑む廷臣、「3カ国同盟!?」の声)

伯牙:越前藩國も友好的に動いてくれています。

伏見:お心遣い、痛み入ります。越前藩王は私の旧友ですので、援助願えるかと。

伯牙:なので、越前藩國との同盟も後は時間であると。

伏見:あとは、帝国最大勢力である人狼領地、あるいは愛鳴藩国に、援助願うしかない、という状況ですな。

伯牙:ジェントルラット国はまだ連絡が取れていないのですが、あそこにはNPCであるスイトピーが逗留しているので、こちらとしてもあまり積極的には動けないと言う感じです。

火足水極中央境界線付近の国家で事を起こさねばならないのが、不安ではあります。

共和国の連中がヒゲを突っ込んできそうですな(笑)

伏見:いや、まったく(笑)

伯牙:まぁ、今は詳細な事が出ていないので、とりあえず隣国・同国の藩國との協力体制をしっかりと結んでおきたいと思いまして、このようにお話をさせていただいています。

火足水極事が動いてからでは間に合わないというのは実感しました、適切な行動と思います。

伏見:ありがとうございます。

伯牙:ホントにお話を聞いていただけて、嬉しいです。

火足水極返答は本日の23:00頃。こちらにお伺いします。わが友人たちとの連絡が早めにつくようでしたらもっと早くになりますが

伯牙:ありがとうございます。

火足水極藩王自身はこの同盟に賛成しております。もしも、期限の前に情勢に動きがあり、同盟の判断が直ちに必要な場合は、わが藩は同盟したものとみなしてください。

伏見:ありがとうございます、火足閣下。

火足水極では、藩国会議へ持ち帰り、説得その他を行ないます。

伏見:火足閣下。

火足水極は?

伏見:私は瀧川防衛戦において、真琴中隊第四小隊に所属していました。

ですので、閣下にあの言葉を送りたい。

「友情にまさる剣はなし」

この恩は藩民一同、忘れません。

火足水極……っと、買いかぶられては困ります。

……逃げられないとわかったから、足を止めただけですよ。そんな、

たいしたものでは、ありません。

伯牙:我が藩國藩王は、このようなお人なのです。(笑)

ただ、言葉には偽りはありません。少々臭いですが。

なので、そういう事だと受け取ってください。

火足水極……。

摂政殿はわかっておられると思いますが、逃げられるようであれば、火足水極は逃げる男です。

あまり、英雄扱いしてくださいますな。思いのほか、堪える。

伯牙:まぁ、我が國は気質としてそういう所なので、いささかやりにくさは感じると思いますが、ご容赦を。

火足水極……失礼を。いずれ、どこかの戦場で。

伯牙:互いに、ご武運がありますように。


「まいったな」

じょり丸の頭をなでる。

「これでは、その」

――俺が英傑の仲間のようじゃないか。

言葉を飲み込んだのは、自分のことを“英傑”とみなすことを恥じたためだ。三十路を過ぎてより恥じることが多くなってきたことを、自覚している。

ゆえに、藩国会議を行なうたび、民の前で言葉を発するたび、寝酒の量が増えた。

――逃げるか。

そう思ったとき、王犬が動いた。

がぶ。

じょり丸は、火足水極の略装の上から牙を立てていた。正確に右の尻たぶである。左は昨日噛まれている。

「はなさんか」

「わう」

「はなせというに」

「わうわう」

こうなったら駄目なことは、この地を訪れたときからイヤというほど知らされてきた。

軽く嘆息する。

――姫に引き止められるのなら、まだ歌にはなるが。犬ではなぁ。

「……大丈夫だ。まだ、逃げん」

「わう……」

じょり丸は尻を開放した。略礼装はよだれまみれである。つくろうのは自分だと思うと、なんとなく、泣けた。

会議は同盟に決した。返答は直ちになされ、吏族は夜食の弁当を抱えて庁舎にこもった。

男爵領に戦の足音が迫ってきていた。

ほねっこ男爵領の騒がしい一日

執筆者うにょ

ほねっこ男爵領の騒がしい一日 作:うにょ


その日、ほねっこ男爵領に一つの号外が配られた

「「号外〜!号外〜!ヤツ等だ!ヤツ等が現れた!!また戦争だ〜〜〜!!!」」
「「ヤツ等?やっぱりソックスハンターは複数犯だったのか?」」
「「違ぇよ!戦争つってんだろ?あいつ等だよ、根源種族だよ!!」」
ほねっこ男爵領一の発行部数を誇る新聞、デイリーじょりじょりより抜粋
(雪に濡れたため、一部読み辛い部分があります)

冬の京に根源種族現る!
わんわん帝國暦21*年%月$日未明、我がほねっこ男爵領の隣国冬の京にて、根源種族
の物と思われる土偶型機動兵器の出現を確認
同国は鉱山の探索作業をしてが、その作業中に作業員が根源種族の機動兵器と接触した模様
作業に当たっていた阿風芙山氏は機動兵器の奇襲を受け行方不明となっていたが、幸いな
ことに後の救助作業中に見つかり、重症ながらも命の心配はない模様

阿風芙山氏からの連絡を受けた冬の京は救助隊と討伐隊を編成、同山岳に出撃した
結果は、
悲惨なモノであった
救助隊の伯牙、ポレポレ両名は機動兵器の襲撃を受け重態
討伐隊の八軒、だご両名は、大型の人型兵器との戦闘の末、戦死

敵機動兵器はそのまま冬の京市街へ向けて進軍を続けている模様
また、進軍ルートから見て、先日我がほねっこ男爵領で見つかったリンクゲートを目指し
ている可能性があるという

事態を重く見た冬の京、ほねっこ男爵領領首脳は水面下で同盟を結び、これを迎撃しよう
とする動きがあるという情報もある

また、わんわん帝國軍事部では根源種族の小型の土偶型機動兵器を“シブ”、大型の人型
兵器を“オズル”と名称を決めた
「「くそぅ、根源種族め、こんな所にまで襲ってくるなんて」」
「「また、戦争になるのか・・・」」
町中を、暗い雰囲気が包んでいた




「「で、でも!」」

一人の、少年が声を上げた
「「でも、ぽち姫様は仰ったんでしょ、『友情にまさる剣はなし』って!」」

風が、吹いた
ほねっこ男爵領の空気を変える風が

「「そうだ!根源種族がなんだってんだ!」」
「「俺たちにはぽち姫様がいるんだ、土偶なんぞに負けてたまるか!!」」
「「友情にまさる剣はなし!冬の京を助けるぞ!」」

「「「「友情の為に!ぽち姫様の為に!!!!」」」」




同時刻、王犬社 本宮テラス
城下町が騒がしくなる中、一人のメードが、遠くを眺めていた
「スイトピー、元気かなぁ・・・」
帝國風に言うと、尻尾ふりふり、かと思うと、次の瞬間にはしおしおの勢いになっている
それを、一時間以上も続けていた


同時刻、王犬社 本宮会議室
「アレ?一人足りないね」
会議室に集まった臣下を見渡し、藩王火足水極は言った
「なんでも、(恋の)病で胸が苦しいので外の空気を吸ってくる、と言って出て行きまし
たが」
議事進行役の人妻書記官が答える

「仕方ない、時間もないし始めよう。まずは、これを見て欲しい」
会議場が暗くなり、藩王の後ろのモニターに、額縁に入れられたわんわん帝國宰相府から
の書が表示された
ズームして、書かれた内容が見えてくる



戦時動員開始
各藩国は資金10億と燃料10万tを提出(減少)させてください。
燃料1万tは資金2億と交換するして支払いすることが出来ます。


ザワ、ザワ、ザワ
会議場が喧騒に包まれた
「またですか、藩王!」
「自分ばっかりズルイですよ!」
「私たちにもオリジナルの勅命書を下さいよ!」

藩王の『自室』に、ぽち姫からの勅命書が額縁に入れて飾ってあるのは、ほねっこ男爵領
では有名である


「・・・お静かに」
喧騒とは比べ物にならない位小さな声にも関わらず、件の人妻書記長は一言でこの騒ぎを
収めてしまった
「それでは陛下、お話の続きを」
臣下同様、しっぽがしおしおになっている藩王に続きを促す書記長
続いて、ほねっこ男爵領の財政状況が表示される
「あ〜、ゴホン、見ての通りだが、我が藩国には現在今回の勅命に答えられる程の国力
が・・・ない」
一呼吸置き、会議室を見渡す
「だがしかし!我等には魂がある!友情がある!なにより」

「ぽち姫様の笑顔がある!!!」



「「「「「おぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」」」」」
歓声が、城を揺らす程の歓声があがった

「まずは、金策だ!燃料はすぐには手に入らないが、金はなんとか手に入る!各自、自分
に出切る事の中で、適当に金を稼げ!以上、解散」
「それでは」
手を振り、解散を告げようとした藩王を、人妻書記長が遮った
藩王、ちょっと涙目

「それでは、二つ目の議題に移ります」
にっこりと笑う書記長

「今回の、勅命書の処遇について、です」






「「「「「「IIIIIIiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiYYYYYYYAAAAAAAAAaaaaaaaaaHHHHHHHAAAAAAAAA
AAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」









王犬じょり丸は、メッケ岳で雪崩が起きるのを見た


開戦前夜

深夜

七ツ斑飛行場整備庫にて


「……レンチ」
「どうぞ」
「戦争、始まるんですね」
「ああ」
「ボク、戦争ってあんまり好きじゃないです」
「……ああ」
「最近、食事はお芋ばっかりだし……お芋は嫌いじゃないけど、あんなに続くと流石にう
んざりです」
「そう言うな。何でも芋アルコールを燃料に使えないか、目下研究中らしい。もう少しの
辛抱さ」
「……泥縄ですね」
「ああ……」

「スパナ」
「どうぞ」
「そんな事より、深夜。お前の仕事はどうした?」
「ボクの割り当て分は終わりました。だから、南天先輩を手伝ってるんじゃないですか」
「それもそうか」
「そうですよ」

「検電器ですよね?」
「ん、分かるか」
「分かりますよ。ボクだって七ツ斑の整備士なんですから。今どの工程をやってるか、く
らいは」
「これも出来た先輩の薫陶あればこそ、だな」
「そういう事にしておきます」
「それは兎も角、帰らないのか? 休んで英気を養うのも仕事のうちだぞ」
「……」
「手伝ってもらうのはありがたいが、若い身空で、アフター5の予定がないってわけじゃ
ああるまい?」
「……バカ」
「ん? 何か言ったか?」
「なんでもないです」
「そうか。まあ、若いうちは人生を楽しんでおけ。その時にしか出来ない事ってのは、確
かにある」
「そうですか?」
「そうさ。……だから、死ぬんじゃないぞ。お前は死ぬにはまだ若い」
「……はい」

http://www.trpg.net/user/D16_Web/Graphic/Unnamed/Event0903.jpg

帰り道にて

 XH−834は夜空を見上げていた。
 冬のほねっこ男爵領に相応しく、重く厚い雲に阻まれて、星は見えない。
 しかし、目に見える事で隠される物もあれば、目に見えないからこそ分かる事もある。
 真の星見司は、見えぬというその一つ事からでさえも、数多くの徴をそこに見る。
 観察位置の緯度経度、予想される星辰の位置、雲が空を覆う割合、見える星と見えない
星、
 そして、天は見えないのか、それとも見せないのか。
 あらゆる要素が脳裏を交差し、やがて、一つの結論に至る。
「乱か……それも大乱」
 そこまで読むと、つと視線を天から外し、前を見据える。
 そこにあるのは、ぽつりぽつりと街灯が道を照らす他は、何一つ見えない暗闇。
「見えぬのは……いや、見せないのは、まず自らの道を見つめよ、という事か」
 暗闇の中に、苦笑の気配が漏れ、遠ざかる足音が響けば、跡はもう何もない。

政庁の一室にて

http://www.trpg.net/user/D16_Web/Graphic/Unnamed/Event0902.jpg

「んん……ふぅ」
 伸びをして、息を吐く。
 長時間書類と顔を突き合せていた所為で、シパシパし始めた目頭を揉んだ。
 そこに、見計らったようなタイミングで、机の上に熱い緑茶が置かれる。
「お疲れさまです、無量小路さん」
「ああ、これはすみません。助かります」
 
 見上げた先には、美人で気配り上手と評判の書記長(既婚)の笑顔があった。
 花開くような笑顔に、つられて気分が浮き上がる。
 緑茶の心地よい熱さと共に、無量小路はほんの一瞬だけ、今抱える全ての懸案事項を忘
れた。
 一瞬だけ。だが、それは他の何にも換え難い贅沢といえた……少なくとも無量小路にとっては。
 緑茶を乾し、湯飲みを机に置いたときには、怜悧かつ優秀な官吏としての己に切り替え
を終える。
「やはり、足りません」
 苦渋の表情を押し隠すために、眼鏡を押し上げた。
「燃料の不足分を、国庫の資金で賄うとしても、足りません」
 
 書記長は気遣わしげに無量小路を見やる。
 彼はその結論を避けるために、全知全力を尽くしてここ数日書類との格闘を続けたのだ。
 少しでも浮いている燃料はないか。どこかに余っている資金はないか。
 国中から、塵も残さぬと言われるほどに徹底してかき集めた。その結論が、これ。
 今も冷静な態度を崩そうとしないが、その姿はあまりにも痛々しかった。
 
 視線に気づいた風もなく、無量小路は続けた。
「まあ、むしろ気が楽になりましたよ。私に出来る事は全てしましたから。
 帝國は、国民の頑張りに応じて報奨金を用意しているそうですし、後は藩国民の頑張り
次第です」

 本当なら、国民の頑張りや、帝國の評価などという不確定な物に結末を委ねたくはなか
っただろうに。
 書記長は、そこに男の強がりを見た。
 万感を込めて言う。
「本当に、お疲れ様でした。きっと、大丈夫ですよ。みんな、こんなに頑張ったんですか
ら」
「そうですね……ええ、藩王様の言い草ではありませんが、藩国民を信じましょう」

 そこで、若き官僚はふとある事に気づいた。
 そして、今までこんな事に気を使う余裕すらなくなっていたのかと愕然とする。
「ああ、貴女にも色々ご迷惑をおかけしてしまいました。
 その、仕事の都合とはいえ、夜遅くまで政庁に残るような仕事を何度も押し付けてしま
って。
 ご主人に無量小路が謝っていたとお伝えください」

 美人で気配り上手と評判の書記長は、艶やかに微笑んだ。
「いえ、主人には、仕事が終わったらこの埋め合わせはきっと、と約束していますから」

 あー、美人で気配り上手な書記長さんの埋め合わせってなんだろーなー。
 畜生、羨ましいぜ、旦那さん!

 辛うじて、怜悧で優秀な官吏としての仮面を外さぬ事に成功した、無量小路。
 一人身の寂しさが染み入る夜だった……。

兵士たちの開戦

火足水極

目を覚ますと頭の上に床があった。

少なくともそれが天井ではない証拠として、南天の鼻先には自分の脱ぎ捨てた長靴がそび
え立っていた。いや、床からぶら下がっていた

――長靴を脱ぐ意識があったのならどうして革帯を解かなかったのだろう――

夢の世界に片足を突っ込んだまま彼は思った。よじれた革帯が腹に食い込んで痛い。

そうだ、今のうちに解いておこう。そう思って頭を起こした途端、本格的に彼は寝台から
ずり落ちた。そしてしたたかに頭を床に打ち付けてようやく目を覚ました。

どうやら自分の部屋に戻っているらしい。部屋といっても寝台と机に椅子があるだけでほ
かに家具は一切無い。女を連れ込むぐらいにしか役に立たない部屋だ。それにしたってこ
こにはそういった女はいないのだから、士官部屋をあてがわれていても実際には大して一
般兵とかわりはない。いびきや歯ぎしりにそれほど悩まされないというぐらいだ。

南天は大きく欠伸をすると眠りなおそうと思い、革帯に手をかけた。その時部屋の戸を誰
かが叩いた。

一瞬迷ったが結局返事した。

「あいてる」

戸を開けて入ってきた者は、イーゼルを背負っていた。ぷんと、絵の具がにおった。

ユーラ。旅の絵描きである。男爵領の者であれば、領内のいたるところに彼の姿を見てい
た。穏やかな表情で絵筆を走らせ、暖かなスケッチをあちこちに残す。温和な人柄と知識
とで慕われていた。しかし、普段と違いその顔には焦燥の色が濃い。
「夜も明けないうちから何だっていうんだよ」
「靴を履いてください、南天殿。戦時体制だそうです」
南天のまだまどろみの中を半分漂っていた意識は、最後のことばでいきなり現実に引き戻
された。
「どういうことだ?」
「今から犬士、パイロットを全員集めて詳しく説明する。火足卿は冬の京との会談中、無
量小路殿は中央にとんぼがえりよ」
酔ってはいても、やはり戦士である。子供の頃から叩き込まれた訓練の成果という奴だ。
苦心して靴紐をゆるめていると、階下から若い声で怒号が聞こえた。
「なんだ、ありゃ」
「深夜がほかの奴ら起こして回ってるのさ。すまんな、起こしに来たのが俺で」
「半分目ェ覚めてたんだがな・・。よし、行こう。食堂に集まっているんだな」
「ああうにょがもう仕切ってる」
二人は兵舎の廊下に出て、階下の食堂へ急いだ。しんしんと寒い、二人の吐く息が白く立
ち昇った。
「しかしユーラ、こんなに朝早いってのにお前しっかりしてるな」
絵描きは苦笑した。
「何下らないこと言ってるんだよ。まだ半分眠ってるんじゃないか」
「いやそうじゃない。行動が早いことに感心してる。今日一日でいろいろ対応できる。こ
の一日が俺たちの生き死にを決めるかもしれんぞ」

男爵領の兵舎にある食堂は集会室を兼ねており、有事には航空隊の作戦本部となることに
なっていた。しかし、ここ数年ここが元々の役目のため使われることはなかった。
南天達が食堂に入ってきた頃には、既にほとんどの士官がそろっている。何人か不満げな
顔をしているのは深夜起こされた二番隊の面々だろう。周囲より一段高い演台には、メー
ド姿の少女が座り、場を仕切っていた。バトルメードの訓練生。うにょである。
そして、その傍らにはフードをかぶった男の姿。透けるように白い肌はきめ細かいが少し
硬質な感じがし、陶器の人形の顔を思わせた。顔立ちは整っているが、それは決して人と
してのものではなく、単に均整が取れているということに過ぎない。星見の司、XH−8
34はこの世界では無機ボディを使用している。

「XH−834どのまで?」ユーラが問う。
「星が知らせたのでね。明け方には戻る」
「うにょよ、一体どうなってる?」
焦れたように南天が口を開いた。
「聞いたのは僕です、こちらからお話します」
答えたのは深夜だった。緊張を隠せない。
「宰相府のリアルタイム通達が、庁舎に入りました。シロ宰相は、戦時動員を開始します。
戦費調達の割り当て分が……」

「いくらなの?」
うにょがうながす。
「資金10億わんわんと燃料10万t」
「無量小路さんとその場に居合わせなくてよかった、かも」
茶化すようにうにょが応える。が、その声はかすれている。

しばらく、だれも何も応えなかった。
ほねっこ男爵領の戦は、静かに始まった。

更新日時:2007/01/09 23:38:16
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