磯貝みらの2
磯貝みらの2
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L:磯貝みらの2 = { t:名称 = 磯貝みらの2(ACE) t:要点 = 白い肌,高い鼻,金髪,少女,学校の制服(チェック) t:周辺環境 = 迷宮 t:評価 = 全能力28* t:特殊 = { *磯貝みらののACEカテゴリ = 個人、逗留ACE。 *磯貝みらののみなし職業 = <迷宮巡視員>,<スプリンター>,<学生>,<元気っ子>}。 *磯貝みらのの編成能力 = 例外として{ACE同士,部隊}の編成に組み込んで使うことができる。 } t:→次のアイドレス = 秘密の腕輪(アイテム),流星号GO(イベント),長距離走(イベント),幸運(イベント) }
少女がいる、と思っていただきたい。 潮気を含んだ風が、見事な金髪をなびかせ、 射しこんだ朝日が、少女を照らし出している。 高い鼻梁が、整ったかんばせに繊細な影を落とし、 眩しそうに眇められた強気な瞳は、何処か遠くに眼差しを投げかけている。 少女が見つめる先には、果て無き海原。 静かに波打つ海は、一日の始まりを告げる光を浴びて黄金色に輝き、 少女がかつて訪れた国の麦畑を思い出させた。 ここは火星。 惑星表面の殆ど全てを水に覆われた、水の星。 一歩を、踏み出した。 少女の名を、磯貝みらのという。 磯貝みらのは不運な少女である。 学校でいじめられた経験があり、 両親の仲は極めて控えめな言い方をしても、良好とはいえない。 気晴らしとばかりにゲームを始めれば、何だかお気に入りのカップルは煮え切らないし、 折角だからと他国に遊びに行けば、たまたま侵攻してきたオーマにとっ捕まった挙句、 友人と殺し合いをさせられる。 ようやく助けが来たと思ったら、今度は一人Bヤガミに浚われてしまった。 真にタイミングの悪い少女だと言える。 磯貝みらのはなるほど確かに不運な少女だ。 だがしかし、だがしかしである。 だがしかし、磯貝みらのは決して不幸な少女ではない。 運不運とは、自己の力ではどうにもならない状況の変化を言い、 幸不幸とは、自己の置かれた状況をどう捉えるかを言う。 こうとも言える。 どんな窮状に陥ろうとも、楽しんでしまえば、そいつの勝ちだ、と。 さて、前置きが長くなってしまった……つまりはどういう事かと言えば、 磯貝みらのは、Bヤガミに浚われて火星で二人っきりの同棲生活という、 ちょっと異常な状況にすっかり適応してしまっていた。 磯貝みらの、14歳の夏であった……えらく早熟な少女である。 何でも学校で自慢もしているらしい。 ヤガミ妖精の気があったとはいえ、中々の肝の太さと言える。 ヤガミ親衛隊のおねーさんたちの恐ろしさを知らぬ若さゆえという気もしないでもないが。 閑話休題。 だが、アイドレスと言うゲームは、参加せずに傍観して楽しいゲームでは無い。 4月22日の後ほねっこ男爵領奪回戦より、三ヶ月近くが過ぎようとしている今、 適応を終えた磯貝みらのは退屈していた。 三ヶ月で退屈するなんて! と言う無かれ。 むしろ、よく三ヶ月もったと言えよう。 中学生の三ヶ月はそりゃもう長いのだ。 貴方も思い出してみると良い。 小学校・中学校の頃、どれだけ夏休みが長く感じられたか。 1つの学期がいつまでも続くと錯覚できた頃が、貴方にもあった筈だ。 兎にも角にも、今こそ、長い長い雌伏を終え、 磯貝みらの、ここに有りと万天下に知らしめる時だと、そう思った。 それは、Bとはいえ、ヤガミの傍にいると言う、泥濘のような幸せに浸っていては、 やがて自分はダメになるという直感による判断だったのかも知れず、 或いは、いい加減溜まり始めたフラストレーションを抜くための、 自己防衛だったのかも知れない。 理由はどうあれ、猫が飛び、犬が吼え、裏方が血反吐を吐く、 修羅の巷に磯貝みらのは帰還する。 まずは、そう、因縁の地である、後ほねっこ男爵領から。 ここでシーンは冒頭へと戻る。 決して短くはない時間を共に過ごしたBヤガミに、みらのが別れの言葉を送ったかは、定かではない。
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