新書館のHANDBOOK『ユダヤ学のすべて』
HANDBOOK OF THOUGHT『ユダヤ学のすべて』
どんな本か
HANDBOOK OF THOUGHT『ユダヤ学のすべて』は、新書館から刊行されているキーワード解説形式の分野別概説書の1冊。
『ユダヤ学のすべて』は、本文が12章に大別された上で、ユダヤ教徒コミュニティーの内外に渡る、ユダヤ系の人々の様々な活動が解説されている。
大別12章の内、I〜IVが、ユダヤ教及び、ユダヤ教徒の言語に関した項目。V〜XIが、主に、ユダヤ系の思想家、科学者、芸術家などの人物事典。XIIは「現代世界とユダヤ人」の章題で、世界各地のユダヤ系コミュニティーが関わる重要事項が、各種解説されている。
この本の特色をキャッチ・コピー風にまとめると、主題について、相互に矛盾した解説も記されている「読むための事典」と言えるだろう。
巻頭に収められた「はじめに」では、編者が次のように記している。
このような一見手軽なハンドブックで「すべて」を網羅することなどもとより不可能だが、私にとって特に重要と思える事項と人名を厳選して組み合わせた「読むための事典」として、類書にない若干の個性を持たせることができたのではないかと思う。ただし、項目のそれぞれの内容や主張については各執筆者が責任を負うものであり、私がそれらについて全面的に同意しているわけではないことを、あらかじめお断りしておきたい。
そんなことを言うと、無責任のそしりを受けてしまいそうだが、私はこれでいいと思っている。ユダヤ学の複雑巨大な総体に立ち向かうためには、様々な、ときに互いに矛盾するような声を響かせていくしかないのだから。
- 内容構成
- I 宗教
- II 民族の歴史
- III 生活・風俗
- IV 言語
- V 思想
- VI 精神分析
- VII 科学
- VIII 音楽
- IX 美術
- X 映画・演劇
- XI 文学
- XII 現代世界とユダヤ人
- 資料編
年表・ユダヤ人の歴史/事項索引/人名索引/他
書誌情報
沼野 充義 編,HANDBOOK OF THOUGHT『ユダヤ学のすべて』,新書館,Tokyo,1999.
ISBN 4-403-25042-4
A5判変形、285頁、2000円+税。
感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか
- 「ブルーローズ」のプレイにどこまで役立つかは、GMのシナリオ傾向次第。
- プレイヤー専門で「ブルーローズ」を遊ぶ人が、もしユダヤ教やユダヤ系文化に興味があるなら、サイド・リーダー的な資料本として使えるかも。
- オリジナル・シナリオを作るGMさんにとっては、シナリオの題材、マスタリング傾向に応じて、アイデア・ソースとしての有用性はある。
- トンデモ・ネタの類は薄い。むしろ、現代世界で、ユダヤ系文化が関わるような事項を題材として扱う場合、その文化背景を探っていくエントリー・ブックとしていい。
- 例えば、ユダヤ系の人たちにどんなサブ・グループがあるか、といった話題について、簡単な下調べにいい。
- あるいは、ユダヤ陰謀論の類を唱えるようなNPCを出すとしたら、どの辺がトンデモ説になるのか、検討していくのにも有用。
- 古代ユダヤ教関係を題材にする場合は、この本と、他の資料本を相互参照していくといいだろ。
「ブルーローズ」を離れてみたらどんな本か?
- 巻頭の「はしがき」で編者が記している「読むための事典」路線は、シリーズの内でもかなりうまく行っていると思える。
キーワード:
参照:[新書館のHANDBOOK] [書籍紹介] [Multi Book『聖書の世界』]