新書館のHANDBOOK『世界の宗教101物語』
HANDBOOK OF THOUGHT『世界の宗教101物語』
どんな本か
HANDBOOK OF THOUGHT『世界の宗教101物語』は、新書館から刊行されているキーワード解説形式の概説書。
『世界の宗教101物語』では、世界の宗教が18項に大別された上で、教団組織に重点を置いて、主要な教派、教団101が解説されている。 書名に「物語」とあるが、解説文の記述は堅実。専門的な宗教事典よりはコンパクトな解説が多いが、たいていの歴史事典の類よりは詳しめの説明になっているようだ。
1頁以上を割いた総説、及び、大項目と、よりコンパクトにまとめられた小項目をうまく取り合わせ、多種多様な宗教の系譜関係が掴み易く編集されている。
多くの記事の末尾に添えられている、紹介記事に関連したブックガイドも便利。
- 内容構成
- 古代宗教(11頁、総説+13項目)
- インド宗教の展開(20頁、総説+15項目)
- キリスト教の展開(53頁、総説+59項目,キリスト教系新興宗教も含む)
- イスラーム(12頁、19項目,総説がないが、「初期イスラーム」の項に2頁が割かれている)
- 多様な中国宗教(17頁、総説+15項目)
- アジアの新宗教(5頁、7項目)
- 韓国近代宗教(3頁、5項目)
- ラテンアメリカの新宗教(4頁、5項目)
- アフリカの宗教(4頁、10項目)
- 仏教と日本人(22頁、総説+17項目)
- 日本キリスト教(4頁、6項目)
- 神道(18頁、総説+27項目)
- 修験道(3頁、3項目)
- 新宗教の展開(21頁、総説+29項目,日本の新宗教各派)
- 資料編=世界宗教年表、事項索引、人名索引
書誌情報
井上 順孝 編,HANDBOOK OF THOUGHT『世界の宗教101物語』,新書館,Tokyo,1997.
ISBN 4-403-25023-8
A5判変形、238頁、1700円+税。
感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか
- 「ブルーローズ」のプレイにどこまで役立つかは、GMさんのシナリオ傾向次第。
- プレイヤー専門で「ブルーローズ」を遊ぶ人も、宗教ネタに興味がある人なら、サイド・リーダー的な資料本として使いでのある本と思います。
ことに、「ブルーローズ」以外のTRPGでも、宗教題材を遊ぶ人には、ガイドブック的な資料本としていい。 - オリジナル・シナリオを作るGMさんにとっては、シナリオ傾向に応じてアイデア・ソースとして有用な本でしょう。
- 巻頭の「はしがき」を踏まえると「時代・社会で姿を変える宗教に迫る」ことが狙われている本。
- 解説記事は、一般向けの歴史事典類より詳しめです。ただし、秘教めいた教義思想についての記述はあまり見られない。概ね、教団や教派中心の解説です。
- 「ブルーローズ」のシナリオ・メイクに即して考えてみると、オーパーツに宗教を絡めたりする時には、参考にできると思います。
- あるいは、この本と、同じシリーズの『世界の神話101』とを相互参照したりすると、割と色んなアイデアをひねり出せそうな気はします。
「ブルーローズ」を離れてみたらどんな本か?
- 「時代・社会で姿を変える宗教に迫る」狙いで「教団や教派中心の解説」が構成されている。
- 全体を通読すると、諸宗教の系譜関係と、バリエーションの豊富さとを大づかみにイメージできるような構成が見てとる。
- 紙数の割には欲張りな狙いの本。大項目と小項目とを組み合わせた構成が、かなりうまくいっている。反面、教義思想に立ち入った解説はさほど多くない。
- 「教団や教派中心の解説」を別の言い方で言えば、宗教社会学的なアプローチがメインの解説書とも言えるだろう。公教組織としての宗教団体の解説が主、と言っても構わないかもしれない。
教義思想の系譜関係について調べたり考えたりする時にも、サイド資料としては便利かもしれない。
キーワード:
参照:[Multi Book『聖書の世界』] [新書館のHANDBOOK] [書籍紹介]