新書館のHANDBOOK『世界の神話101』
HANDBOOK OF Myths『世界の神話101』
どんな本か
HANDBOOK OF Myths『世界の神話101』は、新書館から刊行されているキーワード解説形式の分野別概説書。
『世界の神話101』では、世界各地の神話の粗筋が、概説されている。
全体が、11の神話圏(文化圏または文化系統)に大別され、さらにその下位に、神話主題(テーマ)をタイプに分けて整理したキーワードがたてられている。このキーワードの数が101。
例えば、「古代オリエント」の章にある「洪水神話」のキーワード解説記事では、シュメール語版の『ジウスドラ?』、アッカド語版?の『アトラ・ハシス』、『ギルガメシュ叙事詩』に含まれている「ウトナピシュムティの物語」、そして、古代ヘブライ語版の「ノアの物語」、それぞれの粗筋が紹介されている。
つまり、粗筋が紹介されている神話物語は101本よりもかなり多い。
- 章立て構成
- 古代オリエント(20頁)
- 聖書・グノーシス(20頁)
- ギリシア(24頁)
- ローマ(12頁)
- ゲルマン(20頁)
- 中世ヨーロッパ・ケルト(20頁)
- インド・イラン(16頁)
- 中国(16頁)
- 韓半島(12頁)
- 日本(18頁)
- アフリカ・オセアニア・アメリカ(24頁)
- ブックガイド(6頁)
- 資料編=事項索引、神名・人名索引、他(14頁)
書誌情報
吉田 敦彦 編,HANDBOOK OF Myths『世界の神話101』,新書館,Tokyo,2000.
ISBN 4-403-25047-5
A5判変形、254頁、1700円+税。
感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか
- 「ブルーローズ」のプレイにどこまで役立つかは、GMさんのシナリオ傾向次第。
- プレイヤー専門で「ブルーローズ」を遊ぶ人は、神話の類が好きなら、サイド・リーダー的な資料本として面白いと本とは思います。
- オリジナル・シナリオを作るGMさんにとっては、シナリオ傾向に応じてアイデア・ソースとして有用な本でしょう。
- この本の内容は、まず「神話物語の粗筋要約が多数紹介されている」点が特徴です。主題レベルでの類話が複数紹介されているキーワードが多いのも魅力です。
反面、類話を比較対照しての説明、つまり類話間の異同についての解説は、記述が若干ハショリ気味かもしれません。この面は、おそらく、章ごとを通読して把握する読み方が期待されているように思えます。 - 粗筋要約ではあっても、物語が多数紹介されている点がミソです。決して、神話総覧や、神話大全のような本でない事はお断りしておきます。
- 「ブルーローズ」のシナリオ・メイクに即して考えてみると、例えば、地理的に、あるいは時代的にかけ離れた文化圏の神話を比較して、架空の超古代設定を考えるアイデア・ソースに向いているように思えます。
逆に、神話アイテムやキャラクター、遺跡、古文書などの解説はあまり見られません。あっても、副次的な扱い。あくまで神話の物語に重点が置かれた記述がメインになっています。
「ブルーローズ」を離れてみたらどんな本か?
- 強いて言えば、「神話物語のガイドブック」的な内容。
あるいは、比較神話のエントリー用ガイドが意図された本かもしれない。 - 紙数に比較して、内容が盛り込みすぎの気味はあるかもしれない。決して、神話総覧や、神話大全のような内容ではない。
その辺を割り引いてみても、粗筋要約ではあっても物語が多数紹介されている点がミソの1冊。 - 類話が併記紹介されている項目などは、ことに面白い。
キーワード:
参照:[新書館のHANDBOOK] [書籍紹介] [新書館のHANDBOOK『世界の宗教101物語』]