地図で読む世界の歴史『ローマ帝国』
地図で読む世界の歴史『ローマ帝国』
どんな本か
日本語版書名は『ローマ帝国』だが、古代ローマ史のアウト・ラインを、一般向けに整理した、通史的な概説書である。
(1995年に刊行された原著の書名は、“THE PENGUIN HISTORICAL ATLAS OF ANCIENT ROME”)
5章構成の内、第1章が「都市から帝国へ」で、第2章以降でアウグスティヌス?の帝政以降が扱われている。
シリーズの他の書籍同様、大きめの紙面(判形)に、フルカラーの各種地図(歴史地図、他)が豊富に採録されていることが特色。
- 構成
- 本文142頁。ただし、この紙数には巻頭グラビアや、目次も含まれている。
目次や年表、索引などを除くと、124頁が、5章に構成されている。
扱われているのは紀元前9世紀頃から、紀元6世紀の前半頃まで、およそ、1500年弱ほど。 - 各章は、章の頭に置かれた概説記事と、続く重要トピックについての詳しめの解説記事とから成っている。
概説記事では、章に分けられた時代区分の歴史動向が概説されている。
トピックごとの記事は、見開き構成を基本形として解説記事と歴史地図を構成したコーナーになっている。
トピック解説の頁を参照しながら、各章頭の概説記事を読んでいくとむと、理解が深まっていく仕掛けだ。
各章頭の概説記事頁にも写真など図版類の採録は多い。 - 他に、巻頭に収められた年表、巻末に収められた索引も便利。
書誌情報
クリス・スカー 著、吉村 忠典 監修、矢羽野 薫 訳,地図で読む世界の歴史『ローマ帝国』,河出書房新社,Tokyo,1998.
ISBN 4-309-61181-8
- B5判変形、142頁、本体2000円+税。
- ローマ帝国 (地図で読む世界の歴史)(クリス スカー/吉村 忠典)
- 一覧:地図で読む世界の歴史
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感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか?
- 古代ローマ史の入門概説書。ローマ帝国関連の歴史地図が豊富に掲載されている。
- 都市ローマ成立期〜共和制での拡大期についても1章が割かれています。
- 古代ローマ史に興味がある人なら、プレイヤー専門で「ブルーローズ」を遊ぶ人でも、楽しんで読める資料本だろう。
イメージ・ソースブックとしてもお勧め。
(もちろん、書籍で得られた情報の採用、不採用はGM裁量優先、をお勧め) - オリジナル・シナリオを作るGMさんにはお勧め。
特に「歴史ミステリーをシナリオ・ネタに絡める傾向」のGMさんにはお勧め。 - 各種歴史地図が豊富に掲載されているので、現在の地理を扱った他の地図帳などと相互参照していくと楽しいでしょう。
- 遺跡の位置を確認するだけなら、普通の地図類でも可能ですけど。遺跡があった場所の周囲が古代はどうなってたか――例えば、ローマ支配地拡大期の周辺諸国との境界はどんなだったか、とか遺跡が建てられた頃の属州編成はどんなだったか? などを探るに適しています。
「ブルーローズ」を離れたらどんな本か?
- 一般向けの古代ローマ史概説書としては、良書と思える。
入門的な内容だが、「目で見る古代ローマ史」として、複雑な歴史が掴み易く整理されている。
“薄い”内容、と思う人もいるかもしれません。けれど、豊富な歴史地図が概要理解を補っています。
エントリー用の概説書、あるいは豊富な地図に基づいたベーシックな概説書として優れている。 - 本文紙面の概ね半分弱が、フルカラーの歴史地図各種に、半分強が概説記事に割かれています。
キーワード:
参照:[書籍紹介] [中央公論新社版世界の歴史5『ギリシャとローマ』] [地図で読む世界の歴史]