Multi Book『世界の神話伝説』
Multi Book『世界の神話伝説(総解説)』
どんな本か
Multi Book『世界の神話伝説』は、世界各地の神話の概説書。
書名がわかりづらいが、しばしば『世界の神話伝説総解説』とも呼ばれる。正式書名は、Multi Book『世界の神話伝説』らしい(?)。シリーズ名旧称が「総解説」シリーズだったようだ。
同じ自由国民社から、以前刊行されていた「総解説」シリーズの1冊が、増補改訂されて2002年に刊行されたもの。
書誌情報
吉田 敦彦、他 共著,Multi Book『世界の神話伝説(増補改訂版)』,自由国民社,Tokyo,2002.
ISBN 4-426-60711-6
A5判、285頁、2000円+税。
感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか
- 「ブルーローズ」のプレイにどこまで役立つかは、GMのシナリオ傾向次第。むしろ、TRPG全般の資料本として役に立つかもしれない。
- プレイヤー専門で「ブルーローズ」を遊ぶ人は、神話の類が好きなら、サイド・リーダー的な資料本として楽しめるかもしれない。
- 章ごとにまとめられた各神話の「神話世界」について、大づかみでもイメージを掴み易いのが特徴。
神話アイテムやキャラクター、遺跡、古文書などの解説はあまり見られない。あっても、副次的な扱い。あくまで「神話世界」の概説がメイン。 - 総華的な概説なので、散漫な印象を受けるかもしれないところが弱点か(?)。
- 神話世界の歴史的変遷もわかりづらいことが多い(章によっても違うようだが)。
例えば、メソポタミアならシュメール神話、バビロニア神話、アッシリア神話の異同、インドなら、ヴェーダ神話からヒンドゥー神話への変遷などがわかりづらい - オリジナル・シナリオを作るGMさんにとっては、シナリオ傾向に応じてアイデア・ソースとして有用性はある。
- この本は、まず概要を掴む用だろう。この本で題材の候補を選ってから、より細かい飼料ソースにあたっていく使い方がいいと思う。あくまで、概説書であって、神話事典ではない。
- 「ブルーローズ」のシナリオ・メイクに即して考えるなら、例えば、地理的に、あるいは時代的にかけ離れた文化圏の神話を比較して、架空の超古代設定を考えるアイデア・ソースに向いているだろう。
「ブルーローズ」を離れてみたらどんな本か?
- 全般的に総華的な総解説との印象。アプローチ方法がよくわからないのは欠点ではないのか? 強いて言えば、神話体系についての文化史的な概説か?
- あるいは、神話を伝えた歴史社会についての解説が、大づかみに過ぎるのかもしれない。かと言って、神話物語の原文を読み解いていくような分析も薄い。
- 神話世界のアウトラインを整理した概説書、と言うところでは。
キーワード:
参照:[Multi Bookシリーズ] [書籍紹介]