アムル神
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アムル神(マルトゥ神)は、メソポタミア側の記録では、しばしば「メソポタミア神話の天神アヌ?の息子神である」と、記された。また「羊飼いの神である」とも記されている。
あるいは、「山の神」「神聖なる山に住まう神」「光り輝く山の神」の尊称と共に記された。カッパドキア出土の古代碑文には「父祖の神」と記された例も知られている。
アムル神、及び、マルトゥ神は、また嵐と雷を司る神としての性格も持っていたようだ。メソポタミア側では、アダド神?と似た性格の神格と理解されていた。アダド神の陪神として位置づけているような構図の図像も知られている。
シュメール語で記されたマルトゥ神についての詩的な物語には、神格が、イナブ市の祭神の娘神と婚姻する物語を記した例もある。
アムル神(マルトゥ神)に捧げられた尊称の内、「山の神」を意味した「ベル・サァディ(b?lu ?ad? )」は、後のユダヤ教でアブラハムの神に捧げられた尊称「エル・シャッダイ(?l ?add?i)」の語源かもしれない、とする説が、宗教学者の内では唱えられている。ユダヤ教聖典の研究で、「司祭文書」の系統を仮定する立場での推論だ。
ただし、この推論は、尊称と宗教団の系譜について言われる説であることに注意。神格としては、アムル神は、古代ユダヤ教の預言者たちに排斥されたバール神?の前身だった可能性が考えられている。
やはり、メソポタミアの記録には、アムル神の配偶神を、アシュラタム女神(A?ratum)と記している例も知られる。アシュラタム女神は、ヒッタイトの文化圏ではエル神?の配偶神とみなされた女神で、西セム系統の多くの古代民族にアーシェラ女神?と呼ばれた母神と、明らかな系譜関係にある神格だ。
この事から、アムル神、マルトゥ神とエル神との系譜関係を推測する研究者もいる。
アムル神に関係する他の系譜には、配偶神を「沙漠の貴婦人(ベリト・セリ)」としていた例もある。
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現在、アムル人については、普通は、当初メソポタミア側で用いられた他称が、数世代に渡る異文化接触を通じて、アムル人たち自身に自称として用いられるようになった、と理解されている。
あるいは、メソポタミア側では「アムル神(マルトゥ神)を崇拝している遊牧の諸部族」を指す総称として「アムル(Amorite )」、または「マルトゥ(Martu)」の名を用いたのかもしれない。
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参照:[小辞典ワールド編] [マルトゥ神] [神話、伝説のキャラクター]