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都市国家の誕生

世界史リブレット?『都市国家の誕生』

どんな本か

 古代メソポタミア地域の南部でシュメール・アッカド文明?が、農耕集落から都市国家を経て領域国家に向かった古代史のアウトラインを整理した本。

 薄くてハンディだけど、中味は濃いめの世界史リブレットシリーズ?山川出版社)の第1冊。1996年初版初刷刊。

書誌情報

前田徹,『都市国家の誕生』(世界史リブレット?),山川出版社,Tokyo,1996.ISBN 4-634-34010-0

感想コメント

「ブルーローズ」にどう役立つか

  • シナリオ・メイク用のソース・ブックとしてお勧めします。
  • 主に、現在のイラク共和国南部にあたる地域の、紀元前4千年紀から、B.C.2100年頃までをカバーした内容。農耕集落から都市国家の誕生と、都市国家が領域国家を目指してなかなかうまくいかなかった様子とのアウトラインが整理されてます。
  • ワールド・ワイドな冒険のソース・ブックとしては、地域的にも年代的にも限定されてはいます。
    けれど、本体726円+税という価格と、中に載ってる遺跡マップ、遺跡の写真、遺物の写真(いずれもモノクロですけど)とを秤にかけると、かなりリーズナブル方だと思います。
  • 参考までに掲載資料をリスト・アップしておきます。(いずれもモノクロ)
    • 推定復元図
      エリドゥ遺跡(神殿)の変遷図(発展図),p.23
    • 遺跡マップ
      ウルの居住区平面図,p.28
      ウルク都市図,p.24
      ウルクの神殿域平面図,p.24
      ニップルの都市図,p.25
    • 遺跡写真
      ウルの遺跡地域空撮写真,p.3
      ウルの王墓遺跡写真,p.35
    • 遺物写真
      インダス式印章,p.57
      ウルの王墓出土遺物(14点),p.36-37
      ウルのスタンダード(旗章)モザイク画面写真,p.30
      ウルク古拙文書粘土版タブレット,p.7
      ウルナンシェの飾り板(奉納品),p.33
      ウルナンムの石碑(部分),p.55
      エアンナトゥムの禿鷹碑文(部分),p.38
      テル・ロー出土戦闘場面レリーフ(部分),p.47
      ナラムシン戦勝碑(主要部分),p.51
      ニップルの粘土版地図,p.25
      ハラフ期の土偶,p.6
      ハラフ期の彩色文土器,p.6
      ハンムラビ法典石碑,p.14

「ブルーローズ」を離れたらどんな本か?

  • 噂によると、山川書店の世界史リブレットのシリーズ(と、日本史リブレットのシリーズ)は、中高の歴史教師をメイン読者層に想定して、現役研究者が、現在の研究動向のアウトラインを整理する、って狙いのシリーズらしいです。
    と、言うことは、高校世界史級の知識はカバーしてるよ、って人が、もう1度知識をおさらいしながら、最近の学説動向も取り込んでくエントリーに、向いてると思います。
  • 「世界史Aだったんで、古代史はちょっと」人、その他の方も、エントリー用にいいと思います。
  • 強いて言えば、『都市国家の誕生』は、要領よくまとまりすぎてるのが欠点、ってこのシリーズに共通した弱点が強く出てるかもしれません。(世界史リブレットは、シリーズものなので、欠点の出方に巻によって毛色は多少違います)
    つまり、古代メソポタミア史ははじめて、って方が『都市国家の誕生』を読むと、もしかすると、とっかかりが掴みづらいかも(?)。
    例えば、第2章「初期農耕村落から帝国へ」では、なんと、メソポタミ地域での農耕開始時代から、ペルシア帝国の初期まで、ザッと1500年ほどの流れを16頁でまとめてしまってます。試験勉強用のノート整理ならもう、エッセンスだけ、って流れ整理です。
  • 要領よくまとめられてはいます。しかし、徹底して「おさらい風」の要点整理になってることは確かでしょう。
  • そこで、「おさらい」ではなく、この本をメソポタミア古代史のエントリーにしようって方は、読み方にちょっとした工夫をするといいと思います。
    本の構成は、次のようです。「(前書き)文明発祥の地、メソポタミア」 → 「1 初期農耕村落から帝国へ」 → 「2 シュメールの都市と国家」 → 「3シュメールの農業と儀礼」
    エントリー用の読み方一案ですけど。例えば、次のような読み方は、結構有効な読み方の1つと思います。
    まず、「前書き」と「1」とを読んで、次に2のラストの一節「シュメール王権の特質」に飛びます。
    「シュメール王権の特質」と「3シュメール農業と儀礼」を読んでから、「2シュメールの都市と国家」の頭に戻ります。
    このとき、必要に応じて「1」を参照しながら「2」を読んでいくと、イメージを整理し易いと思います。
  • 巻末に載ってる「参考文献」は有益です。
    世界史リブレットシリーズ全般に言えるメリットですが、一般向け歴史概説書だと、どうしても参考文献が多くなる傾向があると思います。リブレットのシリーズでは、主題が絞られてるので、参考文献も絞られてます。
    『都市国家の誕生』の場合だと、31冊が挙げられています。
    古いものだと、1951年刊が一番古い参考文献で、新しいものは1996年刊行の書籍が一番新しい。
    この本で、エントリーした人が、もしさらに興味がわいたら、新しい本で題名が気になるものからあたってくといいと思います。
  • 本気で歴史をおさらいするなら、学説史も押さえておく必要性があるでしょう。そうした読み方でも、「参考文献」は有益。

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更新日時:2008/07/05 12:16:18
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