バシリカ
PCが予め知ってていい情報
「バシリカ」は、古い時代のキリスト教教会建築の1形式を指す総称。十字架形の床面プランではなく、長方形の床面、あるいは長方形床面の両脇に、長辺に沿って細長い側廊を設けたタイプが多い。
ゴシック式教会建築のように、高層なイメージの演出は見られない。
追加情報
- 小辞典版推奨判定
- 「表現+知性 目標値10〜12」「歴史+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 「バシリカ」は、普通、キリスト教の教会建築の、初期の1タイプを指す総称として使われる。
- しかし、さらに古くは、古代ローマの都市で、公会堂や裁判所として用いられる公共建築を指す総称だった。教会を指すバシリカが、床面プランを主とした建築形式の類別であるのに対し、ローマ公会堂としてのバシリカは、使用目的による建物のカテゴリになっている。
- 教会建築を指す場合は、「バシリカ(式)聖堂」「バシリカ(型)教会」などと呼び、ローマの公会堂を指す場合は「バシリカ(式)公会堂」などと呼んで、区別をつけようとすることも少なくない。しかし、「バシリカ聖堂」を指して「バシリカ会堂」などと呼ぶこともよくなされる。
- ローマ帝国が、キリスト教を国教化した後、ローマ主教(後の教皇)は、重要な大教会に特別な儀式を執り行なう権限を与えるようになった。
- このため、「バシリカ」は、「教会建築の一様式」を意味するだけでなく、「カソリックの権威ある教会」と理解されることもある。
- 後者は、基本的にはカソリック信徒の間の理解だが、イタリアのローマ?で、しばしば「5大バシリカ」と呼ばれるものは、実は、後者の意味で言われることが多い。現在カソリックで言われる「バシリカ」は、必ずしも、建築史のカテゴリーに収まらず、様々な建築スタイルの教会が含まれている。
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値12〜14」
- 詳しい情報 ローマ都市の初期キリスト教会衆?は、神殿ではなくローマ会堂(バシリカ)を用いて集会を持つことがあった。さらに、独自の教会建築を建てるようになってからも、伝統神殿の形式を嫌ったため、バシリカが初期教会建築の呼称に転じたのだと考えられている。
- 「バシリカ聖堂」の形式は、長方形の床面プランの物が多く、建造は、西方(カソリック圏)の方が、東方(正教圏より)盛んだった。ただし、長方形床面以外に、正方形床面や、長方形床面の両脇に幅の狭い側廊が張り出した形式など、ヴァリエーションはある。また、バシリカの天井部にドームを設けた円蓋式バシリカなどの融合形建築も少なくない。
- ローマ時代の「バシリカ公会堂」の方も、長方形床面の物が多かったが、正方形床面の物も少なくなかった。「バシリカ公会堂」は、普通、都市の中心に設けられたフォーラム(公共広場)に面して建てられた。
- バシリカ公会堂を教会に転用したわけでなく、はじめから教会建築として建造された場合、一般に、東西方向が長い床面が設計され、西側が正面の出入り口が、東奥に、聖職者が説教や儀式を執りおこなう内陣が設けられることが多かった。
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値14」
- 詳しい情報 ローマ時代の「バシリカ」は、建築物の機能を指す言葉で、「バシリカ聖堂」ほどには、建築形式が一定していなかった。ただ、内部は、2列の列柱で縦に3つの部分に区分されることが多かった。4列の列柱で5つの部分に区分されたこともあった。
- 多くは、壁面を持たず、回廊状の列柱で支えられ、全面が解放されていた。しかし、後に、地域や建造時期に応じて、ヴァリエーションも多い。
- 床面の軸線上の奥には、祭壇が設けられ、裁判の際には法官の席も設けられた。
- 初期には、木材で建てられた簡素な物だったが、ローマの発展と共に、石作りになり、豪華なヴォールト?(箱状やドーム状など立体的な作りが石組で組まれた天井部)を持つようになった。語源が古代ギリシア語と思われる(異説もあり)ことから、イタリア南部のマグナ・グレキア?(大ギリシア)だった地域で始まった建築が、ローマ文化に採り入れられたものと推定されている。
- 現在知られる、最も古いローマ公会堂(バシリカ)は、B.C.184年に、大カトーによってローマ市に建てられたものとされることが多い。しかし、他にも、早い時期の建築例と思われる記録は知られている。
- 「バジリカ聖堂」の方をロマネスク?の教会建築に分類することがあるが、これは、西方の教会建築には相応しくても、正教圏の教会建築には当てはまらない。東方と西方のバジリカ聖堂は、ルーツを同じくしても、別個に発展したものだからだ。
キーワード:
参照:[遺跡] [キュレーネの遺跡] [考古学、歴史研究の関連用語] [ネフシュタン]