物語化
物語化 ものがたりか
「物語化された歴史」、「歴史を物語化する」といった文脈での使用が、ルールブックの限定情報、特に、ワールド情報関係の記事で多用されている。
まずは「潤色された歴史」というニュアンスで受け止めてみるといいだろう。要するに、「出来事の一面を大げさに言い立て、誇張したりした歴史整理」と言ったニュアンスだ。
もちろん、個別の記述については、前後の文脈を踏まえた解釈が各読者に委ねられている。
しかし、傾向としては、「捏造まではいかないが、時によっては歪曲に片足突っ込むこともある(突っ込まないこともある)語り口で整理された歴史」といった示唆のニュアンスで用いられている例が多い。
なお、ここで言う「物語化」の「物語」とは、「フィクション」に限定した意味では使われていないことには注意した方がいいだろう。
物語学研究者、ジェラール・ジュネットの整理によれば、「物語化された言説」は、「報告された言説(直接言説)」及び「転記された言説(間接言説)」と共に、言説の3大タイプの1種とされる。
この意味での「物語化された言説」では、ナレイター(語り手)は、話題の対象となる人物による発話や言語化された思考を、独特の形式で変形して語る。
例えば、ある人物が実際は“一件落着しました。駅で落ち合いましょう”と、語ったとする。
これを、「彼は、会う約束をした」と、要約して語るのが、「物語化された言説」に特徴的な変形(語り口)の一例だ。こうした語り口は「フィクション」に限定して用いられるわけではない。
例えば、歴史記録では、当事者の記録で「報告された言説」が記されることがあり、より多くの場合「転記された言説」も多用される。
また、歴史叙述が、過去の出来事複数の間に推定される因果関係の整理である以上、歴史についての言説は、つまるところ、すべて「物語化された言説」の形式を用いざるを得ない。
ただし、歴史についての言説の内にも「比較的公正な整理(物語化)」と「不公正で偏った整理(物語化)」との別があることは言うまでもない。
「ある歴史(についての言説)が、事実を反映しているかどうか、客観的かどうか」という議論は、多くの場合、「歴史整理が充分公正になされたものかどうか」という検討がなされるべきところを、何らかの事情で脱線した検討になってしまっていることが多い。
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参照:[小辞典ワールド編] [アブガル5世] [モンテネグロ] [グルジア人] [ルーマニア] [ブルターニュ地方] [U.K.(連合王国)] [ナルメル] [スウェーヴ族]