Truth In Fantasy 『超古代文明』
朱鷺田 祐介,『超古代文明』(Truth In Fantasy 71)
どんな本か
アトランティス、ムー、そして今は遺跡を残すのみの、伝説の古代都市群。高度な文明を発達させた超古代文明は、なぜ歴史の闇に消えていってしまったのか?
本書は、これまでに解明された超古代文明の謎と、独自の解釈により発展していった、オカルトとしての超古代文明、その両面を解説する。
(『超古代文明』、カバー袖より)
書誌情報
朱鷺田 祐介,Truth In Fantasy? 71 『超古代文明』,新紀元社,Tokyo,2005.
ISBN 4-7753-0435-6
- A5判、ソフト・カバー、299頁。価格、1800円+税。
- 超古代文明 (Truth In Fantasy)(朱鷺田 祐介)
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感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか
- 「ブルーローズ」のキャンペーン環境で、セッション・メンバー間の話題共有ソースとして使っていくといいでしょう。
古代史ロマン、超古代文明と言っても、メンバー間でイメージのバラつきが大きすぎる場合、「共通話題のソース集」の1つとして扱うことをお勧めします。同じTruth In Fantasy シリーズの『古代遺跡』(森野 たくみ、松代 守広、共著)と併用するとなお効果的でしょう。 - ただし、「ブルーローズ」のデザイナーが著わした本ではあっても、あまたある古代史解説書や、オカルト的な超古代本と同等の資料として扱うことをお勧めします。オフィシャルな設定集とはみなさない方がいいでしょう。
「今回、新紀元社のご好意により、〔『ブルーローズ』刊行以降4年めに〕もう一度、古代史に挑戦する機会を得ましたが、その調査のなかで、私は『ブルーローズ』のときと同じような新発見に出会いました。あの時は分からなかった遺跡の詳細が4年間の間に変化し、新たなオーパーツが発見され、見逃した記述に気づく。それはとても面白いものでした」
(『超古代文明』の“Postscript”(p.294)から引用。〔 〕内は、引用者補記)
『超古代文明』では、ルールブックの限定情報で扱われた題材についてもかなり扱われています。けれど、細かく見ていくと、ルールブックと異なる記述も少なくありません。
まず、この本は、「ブルーローズ」シリーズのサプリメントではありませんので、「ルールブック記事の情報等級」の規制には制限されません。誰でも、好きなように読んでいい内容です。
では、GMは、ルールブックにある記述との食い違いや矛盾をどう扱っていったらいいか? ルールブックにある言い回しを使えば「諸説ある」話題の「諸説の1つ」として扱えばいいのです。もし、『超古代文明』が、シリーズのオフィシャル・サプリなら、「後から追加された設定優先」といった考え方も出てくることでしょう。しかし、そうした捉え方はしない方がいいでしょう。
(シームレス・ワールドがゲーム・コンセプトの柱である「ブルーローズ」では、今後期待される追加設定も、内容によっては「諸説ある」になることもあるでしょうけど。その話はここでは置いておきましょう) - 『超古代文明』の内容も、「諸説の1つ」として扱う、この点さえ合意できるなら、古代史ロマンやトンデモ・ネタ超古代説にさほど詳しくない人も含めて、「共通話題のソース集」として効果的に使っていけるでしょう。特に、第1章『アトランティス伝説』と、第2章『失われたム−伝説』とは、オカルト的な超古代説の歴史として、読み易く整理されていると思います。
- ただし、ルールブックに見られた凡ミスとしか言いようのない記述ミスは、今回も見られます。こうした点を検討しながら読むことも含めて「共有話題のソース」に活用していくといいと思います。
- ルールブックの方にどんな記述ミスが見られたかは、オフィシャル・エラッタを参照してください。ここでは、例示として、『超古代文明』にある記述ミスを1つだけ挙げておきます。
「現在、インダス川はインドとパキスタンの国境を兼ねており、インダス西岸の遺跡はすべてパキスタンにある。インダス文明の遺跡の半分はインドに存在していないのである」
(『超古代文明』、p.227)
インダス川?は、インドとパキスタンの国境を成してはいません。
強いて言えば、インダス川に合流する上流河川(パンジャブ、5河川)の1つ、サトラジ川?が中流域でごく短距離、両国の国境を成していますが。インダス川自体の流域は、両岸ともに、パキスタン側のパンジャブ州、及びシンド州の州域をなしています。
「ブルーローズ」を離れてみるとどんな本か?
- 書籍の序章によれば「超古代にかけるロマンをできるだけ多く紹介していくことを優先」した本とのこと。(『超古代文明』、p.6)
- “Postscript”によれば、著者は「安楽椅子探検家として、世界を旅し、超古代のロマンを追いかけることにした」、とのこと。(前掲書、p.294)
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参照:[朱鷺田祐介] [Truth In Fantasy 『古代遺跡』] [書籍紹介] [書籍紹介 ベーシック・ピックアップ]