バアタ女神
記事内容追加調査中の暫定版です
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値10〜12」「魔術+知性 目標値12〜14」「表現+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 バアタ女神は、古代エジプトの古い伝統神の1柱。バティ女神(Bat)とも。
- 女神については、古王国時代?に編纂された「死者の書」の内にも記されている。おそらく、その崇拝は初期朝時代?までは、遡るものだろう、と推測されている。
- 中王国時代?の間に、全エジプト的な崇拝が勢いを増したハトホル女神との同一視が進み、最終的には、ハトホル女神に習合された。
- ちなみに、古代エジプトの伝統神には、良く似た神名の男神(バタ神?)もいた。
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- 「表現+知性 目標値10〜12」「歴史+知性 目標値12〜14」「魔術+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 「バアタ女神が、壁画や彫刻に形象られることは、かなり稀でした。稀な例外によりますと、女神は牝牛に良く似た神話獣の姿で周囲に星々を伴った図像で描かれましたな。これは、ハトホル女神の異名でもある『天の牝牛』の図像と目されております。
- バアタ女神は、ハトホル女神同様に、天の川と結び付けられて崇拝されていたのですな。女神の本体である『天の牝牛』は、天界全体を体現したもの、ともされましたが。こちらはハトホル女神については、言われていなかったように思います。
- バアタ女神の崇拝中心地は、上エジプトの第7ノモスでございまして。これは、ハトホル女神の崇拝中心地デンデラを擁した第6ノモスに隣接した地ですな。
- 彫像などで全身像を描かれることが稀だったバアタ女神ですが、しばしば、その頭部が護符として刻まれました。こうした作例では、牝牛の耳と湾曲した角を持つ女性の顔が刻まれました」−− 趣味の古美術商
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- 「言語+知性 目標値10〜12」「魔術+知性 目標値12〜14」「表現+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 「女神の名『バアタ』ですが、これは、古代エジプト人が人間や神々に想定した魂のような要素『バア』の女性形です。
- 女神は、バアを体現する神格としても崇拝されていた、と聞いています」−− フィールドの言語学者
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- 「魔術+知性 目標値10〜12」「表現+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 「バアタ女神は、『大いなる野生の牝牛』、『横たわる女神』など、天の牝牛や天の川と結びついた異名で呼ばれた。異名の内で謎めいているのが『2つの顔を持つバアタ(バア)』だ。
- なぜ、女神が2つの顔を持つとされたのか、俗世の学者たちも様々な議論をしているな。『上エジプトと下エジプトを見守る女神とみなされた』、『古代エジプトで生者の領域とされたナイル川右岸(東岸)と、死者の領域とされた左岸(西岸)の両方を見守るとみなされた』、『過去と未来を見通す女神とみなされた』などだ。
- 『バア』は単なる魂ではない。今風に言えば『精神』に似た概念だが、『生命力』『反映』『影響力』のような力を持っているとイメージされたのが『バア』だ。
- 例えばピラミッドは、『所有者誰某のバアである』と言われた。あるいは、神意が働いたと思われる出来事が起きると『神々のバウ(バアの複数形)が働いた』と言われた。
- おそらく、女神の『2つの顔』とは、現世と来世とについての信仰と関連していたことだろう。
- ちなみに、現在シンプルに生命力、繁殖力の象徴と見なされがちなアンクだが、古くは『バアの象徴』とされていた。バアタ女神もハトホル女神同様、聖なる楽器シストルムとの結びつきが強かったのだが、バアタ女神の祭儀では、もっぱらアンク形のシストルムが奏でられたようだ」−− 結社をはぐれた魔術師
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 神聖な天の牝牛と同体だったバアタ女神の神格は、あきらかに、ハトホル女神の神格と類縁のものと考えられている。
- しかし、その類縁関係の歴史的経緯は、未だ定かに解明されていない。
- 共に古い2柱の女神は、あるいは、そのルーツを同じくしていたのではないか、第6ノモスと第7ノモスのそれぞれで、より古い女神の異なった神格が、それぞれに発達したのではないか、と考える説がある。
- あるいは、ハトホル女神の崇拝拠点として発展したデンデラでも、古くはバアタ女神が崇拝されていた可能性を指摘する説もある。
- 他方、ハトホル女神の方の崇拝が高まると共に神官団も大きくなり、2柱の女神の神格に差が生まれたのではないだろうか? と、唱える説も少なくない。つまり、バアタ女神の方が、より古い神格をより多く遺していたと、考える説だ。
- ともあれ、大局的な流れでは、王室神話や、世界創世神話との結びつきを深め、全エジプト的になったハトホル女神の方が、時代と共に優勢になっていった。
- 最終的には、中王国時代には、バアタ女神がハトホル女神と共有していた性格のため、2女神は同一視されるようになっていった。中王国時代の中ほど頃には、バアタ女神はハトホル女神と同体であり、その一面を体現した女神、とみなされるようになった。
- 小辞典版推奨判定
- 「魔術+知性 目標値12〜14」「表現+知性 目標値14以上」
- 詳しい情報 古王国時代に用いられた古代エジプトの『死者の書』には、バアタ女神の神託が次のように記されている−−
我は、至高の果報
我は、高位なるもの
我は、2つの顔を持つバアタ(バア)
我は、救われしものにして、あまたの邪悪より自らを救ったもの
GM向け参考情報
バアタ女神の神格(再整理)
- 呼称
- 自称として 「至高の果報」「高位なるもの」「2つの顔を持つバアタ(バア)」「救われしものにして、あまたの邪悪より自らを救ったもの」
- 尊称として 「大いなる野生の牝牛」「横たわる女神」「天の牝牛」
- 図像
- バアタ女神は、図像が形象られること自体稀だった。
- 稀な例外として、牝牛に似た神話獣が星々を伴った図像が知られている。これは、天の川の源である「天の牝牛」の図像とみなされている。バアタ女神の場合、天の川自体を体現する神格ともみなさされたようだ。場合によっては、女神の本体たる天の牝牛は、天界全体の体現としても崇拝された。
- 全身像が形象られることが稀だったバアタ女神だが、しばしば、頭部が護符として小さな彫刻に刻まれることがあった。この類の作例では、女神の頭部は、牝牛の耳と湾曲した角を持つ女性の顔として形象られた。
- バアタ女神の護符は、しばしば、裏表の両面に顔が刻まれていた(2つの顔を持つバアタ)。
- 持物
- アンク、シストルム(ことにアンク形のシストルム)
- (ちなみに、女神の主要崇拝地、上エジプトの第7ノモスはシストルムの原型(?)と思われるシンボルを、その徽章にしていた)
- 神聖動物
- 隼
- 主要崇拝地
- 上エジプトの第7ノモス。
- 主要祭儀
- 定かでないが、古王国時代には、「死者の書」に神託が記されていた。少なくとも埋葬祭儀と関連していたことは確からしい。主要祭儀では、アンク形のシストルムが奏でられたようだ。
- 他の神々との関係
- ルーツにおいて、ハトホル女神と類縁だっただろうことは、ほとんどすべての研究者が認めている。しかし、その類縁関係の実態は、定かでなく、研究者ごとに諸説ある。
- 中王国時代にハトホル女神に集合され、女神の神格の一面を顕すのがバアタ女神、とみなされるようになった。
別称類
バティ女神(Bat)、とも。
キーワード:
参照:[+αのワールド用語] [バティ女神] [ハトホル女神]