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エンリル神

エンリル神 エンリルしん(Enlil)

PCが予め知ってていい情報

 エンリル神は、ニップル市?の祭神で、シュメール・アッカド神話の主神。アッカド語ではエッリル神(Ellil)と呼ばれた。

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「歴史+知性 目標値10〜12」
やや詳しい情報 ニップル市は、平地メソポタミアの南部が、ジェムディット・ナスル期?から初期王朝時代?に移行しようとしていたB.C.3000年の前後、影響力の及ぶ地域を広げ、ある程度広い地域の政治中心となった。
 U.S.A.(合衆国)のペンシルヴァニア大学が後援し、1888年〜1900年におこなわれたニップル市の考古調査では、多数の碑文類を発掘されている。これらの碑文類は、B.C.3000年頃に、エンリル神がシュメール・アッカド神話の多数の神々の主神とされていたことを示している。
 当時、エンリル神は、「国土の主」「天界と地上の王者」、「神々の父」と呼ばれていた。
 ニップルに設けられていたエンリル神の主要な寺院はエクルの神域。「エクル」は「山の家」を意味して、最初はエンリル神殿の呼称として用いられた。
 おそらく、ニップル市の勢力が盛んになるにつれ、エンリル神殿の周辺に、エンリル神の万神殿に集うとされた神々や女神たちに捧げられた寺院や参拝所が幾つも建立されていった。こうして、「エクル」はニップル市の「神域」、「神殿区画」の全体を指す名に転じていった。
 さらに後、「エクル」は、「神殿」「神域」自体を意味する単語として用いられるようになっていった。
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「言語+知性 目標値10〜12」
やや詳しい情報 「エンリル神の神名は、シュメール語での原義は『風の主』とされます。しかし、しばしば、詩的な含意として『命令する主(Lord of the Command)』を意味して用いられたと思われます。
 一方、シュメール語では、『エンル(Enlu)』という単語が、『土地』や『地域』を示す限定詞として地名の前に付記されました。
 このことを根拠に、エンリル神の神名の語源を論じる議論があるようですね。いえ、歴史言語学的にいまのところなんとも。
 そうそう、シュメール・アッカド時代に遡る出土テキストの点数が少なかった時代、研究者は、ベル神がエンリル神の別称だと考えました。すでにバビロニア時代のテキストはある程度解読され、マルドゥック神の別称もベル神だったことは知られていたので、エンリル神が、『古ベル神』の学術名で呼ばれた時期があります。
 しかし、その後、出土テキストの点数が増えると、シュメール・アッカド時代には『ベル』の尊称(英語の、Lord に相当します)は多くの神に奉られていたことがわかりました。今では『古ベル神』の学術名は用いられません。
 マルドゥック神が主神とされた古バビロニア時代?には、シュメール語は古典語になっていましたので『ベル神』の尊称はもっぱら、マルドゥック神に奉られました」−− フィールドの言語学者
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「表現+知性 目標値10〜12」
やや詳しい情報 「古代ニップル市のエクル神殿、つまり、エンリル神の神殿は、ジッグラト?の原型と言える、多層神殿ですな。
 最上層に、本殿が設けられたそうですから、ジッグラトと呼んでも構いますまい。
 エンリル神は、「クル・ガル」の別称で呼ばれたのですが、これは「大いなる山」を意味したそうです。
 シュメール・アッカドの世界図を見ますに、彼らは、メソポタミアの平地を取り巻くような山々が天を支えている、とイメージしていたのですな。こうした世界観は、「クル・ガル」の別称も、「エクル(山の家)神殿」の呼称とも関係しているはずでしょう。
 エクル神殿の設計も、天を支える神聖な山を具象化する意図で考えられたものなのでしょう」−− 趣味の古美術商
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「表現+知性 目標値10〜12」
やや詳しい情報 「エンリル神は、シュメール・アッカド神話の主神です。古代メソポタミア神話の研究は、概ね新しい時代から古い時代へと発展しました。研究の初期には、『エンリル神はバビロニア神話の神』と紹介されたこともありますが。バビロニア神話では、エンリル神の主神の地位は、バビロン市?マルドゥック神に奪われました。
 バビロニア地方という地域のまとまりが成立したのは、紀元前18世紀頃からですね。エンリル神が主神とされていたのはそれよりも前、地域が大きくシュメール地方とアッカド地方に別れていた時代のことです。
 シュメール・アッカド神話では、エンリル神は天神アン?の息子神とされています。
 アン神は、神界の神々の長老のような位置にありましたが、実際に世界を支配しているのはエンリル神とされました。神話の研究者はエア神とエンリル神との関係を、よく、中世フランク王宮の王と大領主との関係や、近代立憲君主国の国王と首相の関係と類比して説明します。あるいは、初期近代(近世)日本の天皇と徳川ショーグンのような関係、とも説明されます。
 大気と風と嵐とを司ったエンリル神ですが、天命の書板の所有者として、世界と人類との運命を握りエンキ神と共に、農作物の育成法を人間に教えた神で、植物の育成を保護するともされました。
 人間に対しては、概ね保護者として振舞ったエンリル神ですが、大洪水を起こして、人類を一掃するような厳しく、冷徹な面も持っています。エンリル神が起こした大洪水については、『アトラハシス?』の神話で物語られています」―― 考古学にかぶれた民間伝承研究家
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「魔術/分析+知性 目標値10〜12」
やや詳しい情報 「大気や風を司るエンリル神が保護した植物の育成は、おそらく穀物や、植物の育成の留まらなかっただろう。それらの権能は別の神々の担っていた。
 エンリル神が『生命の樹』を保護している図像が知られている。おそらく、シュメール人は『植物の育成』という神話的な表現で、『生命力』のような抽象的なパワーを論じていたのだろう。この『生命力』と『風の息吹』に喩えられるオーラが関係した可能性もあるが、まだ、なんとも言えない。
 ただ、重要な手がかりとしては、エンリル神の誕生神話がある。
 古いシュメール・アッカド神話では、天を体現したアン神と大地を体現した女神キ?とが交わった後、満足した2神の吐息からエンリル神が生まれた、とされる。
 エンリル神は、天と大地とを分かって地上を形成させると、そこを自身の領分とした。
 エンリル神は、シュメール人が考えた神聖な宇宙の法則メス(メー)?を身に帯びた神格だったが。神話では、後にメスの管理をエンキ神?に委ねたと語られている。エンキ神は深酒で泥酔し、メスをイナンナ女神に奪われてしまうことになるのだが、これは別の物語だ」―― 結社をはぐれた魔術師

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「歴史+知性 目標値12〜14」
詳しい情報 ニップルのエクル神域は、ニップル市が政治的中心ではなくなった後のバビロニア王朝にもそれなりに、アッシリア王朝ではかなり尊重された。
 バビロン市が、シュメール・アッカド地方を、バビロニア地方として統合した時代には、エンリル神が司っていた役割と、主神としての地位はマルドゥック神に奪われた。ニップル市は、それまで有していた多くの特権をバビロン市に譲らざるを得なかった。
 もちろん、エンリル神崇拝はニップル市で続けられた。世界の支配者はマルドゥック神とされたが、世界を、天界、地上界、淡水界に3分した場合、地上界はエンリル神の領分と主張されたようだ。こうした、神話的名主張が、ニップル市の地位低落を食い止めるのにどれくらい役立ったかは定かでない
 しかし、アッシリアが、メソポタミア全域で優勢になった時代、アッシュル・バニパルに至るまで多くのアッシリア支配者たちが、ニップル市への参拝をおこなった。
 アッシリア王たちは、バビロニアの王たち同様に、あるいは、それ以上に、ニップルの神域(エクリ)に敬意を払ったのである。
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「魔術/分析+知性 目標値12〜14」
詳しい情報 「エンリル神を巡る神話で興味深いのは、シュメール・アッカドの主神とされる神が、若い頃罪を犯して冥界に流刑にされた、という物語だな。
 物語の大筋はこうだ、――
 エンリル神は、まだ生まれたばかりの頃、やはりまだ生まれて間もなかった女神ニンリル?を強姦した。罪を問われたエンリル神は、ディルムン神界?の神々の評議会によって、冥界クル?へと追放された。
 ニンリル女神は、エンリル神の後を追いクルへと赴くことを決意。クルの冥界で2神は、子神である月神ナンナ?(アッカド神話のシン神?にあたる)をもうけた。
 2神がさらに3柱の神をクルでもうけた後、エンリル神はディルムン神界への帰還を許された。
 エンリル神、ニンリル女神の2神が、クル冥界でもうけた神は、ナンナ神を含めて4神だ、とも5神だ、とも言われている。この辺の神統譜も面白くはあるのだが、より興味深いのは、ナンナ神やニヌルタ神?のような名だたる神が、冥界でいわば罪の購いの間に生まれたと語られていることだ。
 神話の解釈は難しいが、月神ナンナを神界にあげるためには、冥界でニヌルタ神やニサバ女神?をみなければならなかったと言う。この神話は、一体、何を暗示しているのだろうか……」―― 結社をはぐれた魔術師
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「表現+知性 目標値12〜14」
詳しい情報 「天を体現したアンと大地を体現したキの交わりじゃらエンリル神が生まれた神話は有名ですが、エンリル神には他の誕生神話もありました。
 それは、素性の定かでない大地の神エンキ神(シュメール神話のエア神?]にあたるバビロニア神話のエンキ神?とは別の神です)と、大地の女神ニンキ女神との子神がエンリル神で、ニンフルサグ女神?と兄妹、と語る神話です。
 エンリル神のクル流刑と、ニンリル女神がクルに赴いた神話は、確かに興味深いのですが、困ったことに、後代に変形を被ったヴァージョンが多く伝わっているのですね。冥界で生まれた神々が4柱とも5柱とも言われているのはそのためです。
 ナンナ神が最初に生まれたことは共通に語られているので、おそらく古い部分でしょう。
 ニンギルス神?(ニヌルタ神?とも呼ばれた神です)や、ニサバ女神がクル冥界で生まれたという部分の古い部分らしく思えます。
 ニヌルタ神と同じ神格かもしれないパブリサグ神がクルで生まれた、というエピソードも、あるいは古い物語なのかもしれません。
 ネルガル神?や、エンビルル神?がクル冥界で生まれた、とのエピソードは、まず、後代の挿入でしょう。
 エンリル神が冥界で、エレシュキガル女神?との間に、ナムタル神?をもうけたとする物語もありますね。これは、クル流刑の神話の異伝と考えていいでしょう」―― 考古学にかぶれた民間伝承研究家

【参照イメージ】

GM向け参考情報

エンリル神の神格

呼称
 アッカド名、エッリル神(Ellil)。
 シュメール・アッカド時代?には、「国土の主」「天界と地上の王者」、「神々の父」と呼ばれた。「クル・ガル(大いなる山)」の別称も尊称だったはず。
図像
 神格を示す角飾りで飾られた冠を被る。通例、メソポタミア系の男性神らしい、整えられた髭を長く蓄えた頑健な肉体を持つ人間の姿。
 時として、小さめの1対2翼の翼を持つ姿で描かれることもある。
持物
 「天命の書板」の所有者とされた。シュメール・アッカド時代に遡る、古い神話的叙事詩『ルガル』では、イムドゥガド(アッシリア神話のアンズー?にあたる怪物)がエンリル神から天命の書板を盗んだ、と語られる。
聖域
 ニップル市?の神域区画エクルのさらに中心に設けられていたエクル神殿(山の家)。
他の神々との関係
 有名な神話では、天神アンと大地の女神キとの子神とされた。(異伝もある)
 配偶神は、ニンリル女神。
 月神ナンナ(シン神)、ニンギルス神(ニヌルタ神)他、多くの神の父神とされた。
関連する神話
 『エヌマ・アヌ・エンリル?』、『アトラ・ハシース?』、他。

活用や検討

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更新日時:2006/06/18 23:04:49
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参照:[イシュタルの冥界降り] [神話、伝説のキャラクター] [イナンナの冥界降り] [天命の書板] [マルドゥック神]
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