天命の書板
PCが予め知ってていい情報
「天命の書板」は、メソポタミア地域の古代神話で、高位神の所有物とされた書板。
表面に文書が刻まれた、よく磨き上げられた石板としてイメージされた。
石板に刻まれた文書は、宇宙の森羅万象の運命についてを記している、と語られた。
追加情報
- 小辞典版推奨判定
- 「表現+情報 10〜12」
- やや詳しい情報 「シュメール・アッカド時代に遡る、古い神話的叙事詩『ルガル』では、イムドゥガド(アッシリア神話のアンズー?にあたる怪物)がエンリル神から天命の書板を盗みました。
- 同様のプロットを持つ、アッシリア語訳版の物語では、『エンリル神の下僕だったアンズーが、『あらゆるものの運命を握ろうとして』神から天命の書板を奪った』と、語られています。
- エンリル神は、英雄ルガル・バンダ?を送って、天命の書板を取り戻させます。ルガル・バンダは、後のウル?の王となる人物で、ギルガメシュの父親です。
- 『ルガル』に似たプロットの別物語では、エア神?とベレト・イリ女神が、ニヌルタ神?を説得し、天命の書板を取り戻す冒険に向かわせます。これは、おそらくアッカド人?が優勢になった時代の神話でしょう。
- また、アッシュル・バニパル文庫から発見されたヴァージョンでは、『マルドゥック神がズー?を倒して、天命の書板を得た』と語られています。おそらく、これは古バビロニア時代?の神話でしょう」―― 考古学にかぶれた民間伝承研究家
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+情報 10〜12」
- やや詳しい情報 後代、神話に基づいた宗教的誓約文書――神々を証人にたてた人間同士の誓約を記した文書も作成された。この類が、現在の研究者から「天命の書板」と呼ばれることもある(ニック・ネームの類)。
- 例えば、20世紀も末近くになって、U.K.(連合王国)のブリティッシュ・ミュージアムにて、バックヤードから“発見”された「天命の書板」などが有名。
- (博物館のバックヤードからは、収蔵された未整理遺物の整理作業中に、時々こうした“発見”がなされる)
- この「天命の書板」は、アッシリア帝国?の帝王だったセンナケリブが、息子エサルハッドン帝位継承者に指名した際に記されたもの。
- アッシリア宮廷の高官たちが集められ、エサルハッドンに忠誠をつくすよう、アッシュル神?をはじめ、多数の神々に誓わせたもの。
- 数年前に帝位継承者に指名していた息子を失ったセンナケリブは、なぜか、末子エサルハッドンを継承者指名したのだが、やはり変則的な継承に懸念するところがあったのだろう。この懸念は後に的中するのだが、それはまた、別の話になる。
- (参照⇒ エサルハッドン,センナケリブ)
- 小辞典版推奨判定
- 「表現+情報 12〜14」
- 詳しい情報 「民族学者など、神話の研究者の間では『天命の書板を巡る一連の物語は、シュメール神話で語られた宇宙の法則メス(メー)についての思考が寓意化されたものではないか』との意見があります」―― 考古学にかぶれた民間伝承研究家
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+情報 12〜14」
- 詳しい情報 「天命の書板」形式の宗教的誓約文書は、ブリティッシュ・ミュージアムから1986年に発見される以前から、幾つか知られていた。ただ、もんだいのエサルハッドンの太子指名に際しての書板は、歴史的重要度、書式が整っていることなどから、注目された。
- ところで、同様の形式の宗教的誓約文書では、「天命の印章」と仮称される特別な印章が押印されるのが通例なのだが、エサルハッドン太子指名に際しての文書には押印がない。普通は「草稿だったのだろう」と言われているが、では、なぜ草稿が保管されていたのか? 釈然としないものを感じている研究者もいる。
- (粘土板文書は、重要なものは乾燥させて保管するが、通例、草稿の類は、砕いた後に水で溶いて再利用された)
GM向け参考情報
- 形状
- 概ね正方形に近い大きめのタブレット(書板)。
- 素材
- 神話の物語内のアイテムは、「よく磨かれた石板」。
- 知られている出土遺物は、粘土板。
- サイズ
- 実在の出土遺物は、Enc2〜4程度でいいだろう。
- 神話の物語内アイテムは、神のサイズを巨大、などと想定し、それに併せたEncを設定しても面白い。
- マルドゥック神の図像では、首から天命の書板を胸の前にさげた像が描かれることがあった。便宜上、神を平均的な人間男性サイズと仮想すると、大きめのノートを開いたくらいの比率になる。
- 補足情報
- 実在の遺物は、表面に楔形文字が刻まれ、通例、メソポタミア型円筒印章?で押印がなされている。押印されるのは、王でも特別な場合にのみ使う「天命の印章」。
- オーパーツの場合、まったく未知の超古代言語や宇宙人の言語などが記されていえ、文様のようにも見える、としてもいい。あるいは、楔形文字が記されているが、未知の言語で解読不能としてもいい。
- さらに、解読しようとしてみたら、人間の言語というより、コンピュータ・プログラムのようだった、とか、実は楽譜のようであったとか、もうなんでもアリが「ブルーローズ」のオーパーツ設定だ(笑)。
- 天命の印章 調査中未確認だが「天命の印章」とは、現代の考古学者による通称で、古代に使われていた言葉ではない、と想定。なぜかと言うと、宗教誓約文書を「天命の書板」と呼ぶことが、現在の研究者による通称だから。
アイディア・フック
天命の印章と天命の書板
製法不明のセラミックでできた「天命の書板」タイプのタブレットが見つかった!
出土現場では、何かの事情で粘土板に“焼き”が入って土器化したのだが、偶然が重なって硬度が増したのでは、程度に推測されていた。しかし、ローズ考古学財団の研究室に持ち込まれ精密分析したところ、「製法不明のセラミック」と分析されたのだった。(要するに、偶然“焼き”が入ったようなものではない、との分析結果)
しかも、表面には、楔形文字を使ってはいるが、解読不能の未知の言語が記されている!?
発掘現場からは、分析が終わったなら返してくれ、と矢の催促。PCたちには、この貴重遺物を発掘現場に護送し、ついでに現地での情報収集が命じられたが……
- 一案
- なぞのセラミック・タブレットと、対になった円筒印章をオーパーツとして設定します。
- この円筒印章を手にした人物が、関連縁故を受け入れることを代償に、タブレットの読解を試みるとアストラル・システムとの接触に挑めて、その結果に応じて重要な情報を獲得できるのですが……。
- 付随案a
- 円筒印章を手にして縁故を結んだキャラクター、あるいは、既に持ってる縁故と共鳴したキャラが、印章を身近に置きつつタブレットの解読を試みるとします。「異常との遭遇判定」に成功すると、タブレットが、ぱぁ〜っと光って、表面の文書が未知の文字から、既知の文字に“表示切替”されます。
- この設定では、最初に解読を試みるとき「言語/分析+知性」で挑んでいれば、それでも、アッシリア語とかシュメール語とかに“表示切替”されるのですが。もし「言語+直観」あたりで解読を試みていたら、英語なり日本語なり、PCの母語と想定される言語に切り替わってしまいます。
- ホラ、「エヴァンゲリオン」のアニメで「ちゃんとドイツ語で考えなさいよ!」てシーンがあったでしょ。あんな感じです。ただ、あちらではモニター画面の表示が切り替わるわけですけど。このオーパーツは、素材に刻まれた文字が変化してしまうのです(笑)。
- 解読者が、(もしかしたら、シュメール語解読の手がかりになるかも)とか思って、解読に挑むと、ちゃんと(笑)シュメール語で表示してくれます。考えなしに直観に頼ると、普段使ってる母語で表示してくれます。なんて親切な☆
- え? そんな表示切替とかされると、シナリオの謎が簡単に分かりすぎるのでは? ですか? そっかなー(?)。別に、表示切替された文書が、謎々みたいな内容でもいいと思いますし。なんだったら、肝心の箇所が“文字化け”(笑)して、わけのわかんないシンボルになってもいいです(この“文字化け”箇所は、ヘタに楔形文字とかで無い方がいいでしょう)。その辺はシナリオの都合に併せて適宜調整を。
- ともかく、「天命の印章」を手にして解読を試みると、一連の判定の成功度に応じてミッション達成に必要な情報はゲットされるものとしますが、「未知の言語」の発見はパーです(笑)。
- こうして、また1つ、怪しげな超古代文明伝説の種が撒かれるのだった(笑)。
- 発掘現場の責任者NPCは怒るだろうなぁ。いや、“解読”現場に立ち会ってたら、腰が砕けて泣き出すかも。このオーパーツ設定を使うなら、NPCは財団関係の研究者で、ある程度超古代論にも理解のある研究者を設定しといた方が無難ですね。でないと、PCパーティーや財団が訴えられかねない。「分析を依頼したら、紛失してバチもんでごまかそうとしたッ!」とか。
- あるいは、NPC研究者もある程度ミッション遂行に関わらせる手もあります。ルールブック所載のリプレイを参考に、いろいろアレンヂしてくといいでしょう。
キーワード:
参照:[マルドゥック神] [キングー] [アイデア・フック] [ティアマト女神] [エヌマ・エリシュ] [エサルハッドン] [エンリル神]