南東部アナトリア開発計画
追加情報
- 小辞典版推奨判定
- 「情報+知性 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 GAPが本格的に始動したのは1980年代からだが、計画自体は70年代から提唱されていた。
- ユーフラテス川上流域では、1974年にケバン・ダムが完成、1992年にはアタチュルク・ダムが完成。下流のシリア=アラブ共和国、イラク共和国との間で、水利問題を巡る対立も生じた。GAPは、これら完工したダムの関連設備を整備しつつ新たなダムや発電所を建設しようと言うものだが、完工や竣工に計画からの大きな遅れが出ており、マスター・プランからの見直しにも取り組まれている模様。
- 小辞典版推奨判定
- 「情報+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 GAPは、ダム下流のトルコ領内で水質汚濁、下流イラク領内での湿原地旱魃などの、環境への悪影響が各方面から指摘されている。一方、2004年には、イラク領内のユーフラテス川が氾濫を起し、多大な被害を及ぼしたことも記憶に新しい。ダムと言うハードウェア建造の是非という問題と、水利管理方式が順当なものかどうか、という問題は又別レベルの問題ということだろう。
- 小辞典版推奨判定
- 「陰謀+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 GAPでの開発が目論まれている地域は、トルコで東部と呼ばれる地域で、クルド系住民?の居住率が圧倒的に高いと目されている。
- 山がちで農業就業率は人口の70%と高く、平均所得はトルコ平均の半分以下と低い。トルコ政府の掲げる開発計画には、クルド系住民の世論を、クルディスタン独立運動から引き離そうとの狙いも込められていることは、イリーガルの経歴を持ち、国際諜報の世界に身を置いたことのある者にとっては、常識とすら言える。
【参考】
GM向け参考情報
GAPの正式名称は“Guneydogu Anadolu Projesi”、トルコ語ですから、日本のメディアで一般に用いられることの多い「南東部アナトリア開発計画」でいいでしょう。
ただし、日本語で「南東部」と呼ばれていますが、トルコでは「(アナトリア)東部」と呼ばれる地域の全域が念頭に置かれていることには注意してください。
用途
シナリオの題材としては、――
関連計画のために、水底に沈む見込みの遺跡の短期集中調査中のNPC調査隊に何かが起こる。
実は、開発計画を請負っている企業には海南商事が関っていて、遺跡の秘宝の独占を狙っている。
セレスティアル・ゲートの末端集団が、環境保護を唱えてトルコ当局と揉め事をおこしているが、実は(?)。
――などが考えられるでしょう。
ユーフラテス川の水利問題とは
トルコ、シリア間では、1987年にトルコ側がは、トルコ - シリア国境での毎秒500tの水量を保証するとの協定が締結された。
ところが、トルコ領内のユーフラテス川(フラト川)の最低流量は毎秒100tと言われている。
アタチュルク・ダムが流水量を調節する、との前提での協定だったと思われるが、結局協定は守られず、トルコは、下流のシリア、イラクから非難を浴びることになった。
シリア、イラク間でもユーフラテス・ダムを巡り水利問題の対立があった。
イラクのクウェート侵攻を機にシリア、イラク間では1980年に国交が断絶された
2005年5月シリア政府は、イラク暫定政権との間で国交を回復した。
- 「シリア、イラクと国交回復へ 周辺国も復興支援を約束」20050501(asahi.Com)
リンク
関連項目
資料リンク
- GAPの遅れについては、在トルコ日本国大使館のサイトで公開されている日本語コンテンツ「トルコ共和国概況」2000年版、の第7章「産業」の項に言及が見られます。
- GAPに関連するプロジェクトについては、1例が、「KUBOTA CORPORATE COMMUNICATION MAGAZINE」にて、紹介されています。
⇒ 「トルコ共和国「半乾燥地域農業開発現地調査プロジェクト」」1996年4月。 - 関連プロジェクトで、水底に沈む遺跡については、過去に日本のメディアで報道された例があります。
⇒ 「ハッサンケイフ(トルコ) ダム建設…遺跡と共に水没へ」2003年4月(MSN-Mainichi INTERACTIVE) - 流域の環境への悪影響の懸念については、まず、EICネットのコンテンツに目を通してから、興味があれば、さらに調べていくのがいいでしょう。
⇒ 「人工衛星画像からメソポタミアの湿地荒廃に警鐘」2001年5月 - 他に、GAPに関する情報や関連する事項は、JETROイスタンブール事務局のサイトで見ることができます。
特に「週刊トルコニュース」には、細かな情報が多いです。
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参照:[地理関連の用語] [ユーフラテス川] [ティグリス川] [アナトリア]