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ユーフラテス川

ユーフラテス川 ユーフラテスがわ(Euphrates)

英語名
Euphrates(ユゥフレィティズ)
アラビア語?名の音
(アル・フラァト)
現代トルコ語?名の音
(フラァト)

PCが予め知ってていい情報

 「ユーフラテス川(ユゥフレィティズ)」は、アナトリア高原東部のアルメニア台地?から流出し、トルコ共和国領シリア=アラブ共和国領イラク共和国領を流れる国際河川。

 下流で、ティグリス川と合流。シャッタル・アラブ川?をなすと、ペルシャ湾?に流出。東川を流れるティグリス川と共にメソポタミア地域を潤し、幾多の古代文明に活用された。

【参照地図】

追加情報

  • 「簡単な判定に成功すればわかる情報」とします。
小辞典版推奨判定
「情報+知性 目標値10〜12」
やや詳しい情報 川長、2800km。流域面積、76万5千平方km。これは、U.K.(連合王国)本土領の3倍強(日本国の国土面積の2倍強)にあたる。
 一説に、流域人口およそ500万人と言われ、主に農耕、牧畜が営まれている。トルコでは1974年にケバン・ダムが、1992年にはアタチュルク・ダムが完成。シリア領では1975年にユーフラテス・ダムが完成。水利問題を巡り流域諸国の間で対立も生じた。1980年以降、トルコ政府は、ティグリス川も含めた流域に22のダムと19の発電所を建設する南東部アナトリア開発計画に取り組んできた。
小辞典版推奨判定
「表現+知性 目標値10〜12」
やや詳しい情報 ユダヤ教聖典(『旧約』)では、ユーフラテス(川)は「ペラス(Perath)」と記されている。「エデンの園に流れ込み、園を潤した後4つに別れた川」の1つとイメージされたことは、よく知られている。
 『創世記?』には、「第4の川」とある。(『創世記』2-14)
小辞典版推奨判定
「魔術+知性 目標値10〜12」「表現+知性 目標値12〜14」
やや詳しい情報「旧約の神がアブラハムに告げた『約束の地』は、北東の境界がペラス川(ユーフラテス川)だ、とされているな。『創世記』の15-18だ。
 『申命記?』でも、モーゼ?は旧約の神から『ペラス川までの土地』が、イスラエルの民に与えられる、と告げられている。(『申命記』1-7、11-24)。
 『ヨハネの黙示録?』になると、アルマゲドンの戦い?の予兆として第6の天使がフロァト川(ユーフラテス川)を涸れさせる、との預言が記されているな。(『ヨハネの黙示録』16-12)
 預言者ムハンマド?の『ハディース(ァハーディース)?』にも、将来アル・フラァト(ユーフラテス川)が涸れ、大きな戦いの予兆を示すかの預言が語られている。
 『ハディース』によれば、ユーフラテス川の枯渇が『未知の大いなる宝』を顕わにするかに語られているのが興味深い。この未知の大いなる宝は『黄金の山』のように示唆されているが、これは秘密知識の比喩表現と見るべきだろうな」―― 結社からはぐれた魔術師

  • 「難易度が、ある程度高い判定に成功すればわかる情報」とします。
小辞典版推奨判定
「言語+知性 目標値12〜14」
さらに詳しい情報「『ユーフラテス』の語源は、普通、アッカド語?の古代地名『ブラットゥ』まで辿れ、さらにシュメール語?の『ブラヌン』まで遡るとされています。
 『ブラヌン』は、シュメール語でうまく語意を解釈できないので、しばしば『あるいはシュメール人がユーフラテス川中流域に移住前に地域の先住民が使っていた地名を継承した』との推測が唱えられています。
 より慎重な説に、「『ユーフラテス』の語源は、確実なものとしては古代ペルシャ語の『ウフラトゥ(Ufratu)』までしか辿れない」とする説がありますね。ヘレネス?が『ウフラトゥ』を『エウフラテス』と伝えたのは、確かです。
 さらに古代ペルシア語の『ウフラトゥ』を『アヴェスタ語?に見られる、フ・ペレスゥァ(hu-perethuua)が変化したもの』とする説もあります。が、これは、異論も多い推測説とみていいでしょう。ちなみに『フ・ペレスゥァ』は『横切るのに良い(場所)』といった意味で『浅瀬』を指しました。
 他に、少数派の意見に『ウフラトゥ』の語源は『クルド系の言語の古い形にある』とする説もあります」−− フィールドの言語学者
小辞典版推奨判定
「表現+知性 目標値12〜14」「魔術+知性 目標値14以上」
さらに詳しい情報「遅くとも、古バビロニア時代?には整っていた神話『エヌマ・エリシュ』では、天界の神々に挑んだ地下の深淵アプスーの軍団が、天界の総指揮官に選ばれたマルドゥック神率いる軍勢に破れた後、怪物ティアマト?の両目のそれぞれが、マルドゥック神の手でティグリス川とユーフラテス川の水源とされた、と語られています。
 『エヌマ・エリシュ』の物語のどの部分が、バビロニア古王国以前のいつの時代まで遡るかは研究者の間でも幾つかの説があって定かではありません
 『マルドゥック神がティアマトの両目をティグリス、ユーフラテスの水源にした』と言うくだりは、古バビロニア時代に新たに語られたか、あるいは古い神話を変形した、と見ておいた方が無難でしょうね」−− 考古学にかぶれた民間伝承研究家

GM向け参考情報

地勢(川筋の概略)

 細かな川筋は、河川水運の項に記します。

 トルコ領内のユーフラテス川は、標高6000m級の山脈を擁す東部山岳地帯にて、中南部の渓谷沿いに蛇行しています。源流であるムラト川?、カラ川?の水源地帯は標高3000m以上。アタチュルク・ダムの人工湖近辺は、標高2000〜3000mほどになっています。

 ユーフラテス川は、トルコ-シリア国境の西寄りでシリア領内に南流しながら流入。ユーフラテス・ダムがなすアサド湖で屈曲。ラッカ県県都のラッカ?市あたりまで東流。以降は概ね南東流。ラッカ市を過ぎ、南東流に転じるあたりで、アタチュルク湖?南西方のトルコ領から南流してくるバリーフ川?が合流。さらに川下でデーレッゾールを過ぎた地点で、やはりトルコ領内南縁から流出してくるハブール川?が合流。

 シリア-トルコ国境近辺から、アサド湖にかけては標高300mほど。デーレッゾールが標高200mほど、イラクとの国境の町、アブー・カマルで標高165mになっています。

 シリア-イラク国境の中ほどを南東流して横断した川筋は、バグダード西方で屈曲し、以降緩く蛇行しながら流れていきます。イラク領内では、西側の傾斜面に刻まれたワディ(涸谷)が、川筋に口を開いています。

 概ねバグダード西方にあたるファルージャ周辺のユーフラテス流域は標高100m内外(バグダードの標高はもっと低い)。下流のヒーラーあたりの標高が50m内外、サマワで標高11m、バスラ?で海水面より数m高いだけの標高になっています。

 上流域は、山間の渓谷が主体。シリア領内に入ってからの中流域では、泥質で肥沃な土壌。下流域は標高が低いうえ微傾斜の平坦地が広がっているため、一端、氾濫すると被害が広範囲に及ぶ。

河川水運

 ここでは、シナリオで、ユーフラテス川の河川交通をどこまで想定するのがもっともらしいか?(リアリティを損ねないか?)、をメインに検討してみることにします。

 河川沿いの交通については、関連項目に譲り、河川そのものを利用した水運をメインに整理します。

 まず、全体として、シー・エクスプローラー級の舟での遡行航行は、水深の関係で不可能、としておきます。

 地勢を踏まえて順に検討していきますが、結論を先に書くと次のような想定がもっともらしいと思われます。

  • トルコ領内では、河川用の舟での水運は部分的に可能。
  • トルコ-シリア間の水運は、ほとんど不可能。
  • シリア領内では河川用の舟での水運は、部分的に可能。
  • シリア-イラク間では、河川用の舟での水運も可能だが、2007年現在の状況では国境は厳戒態勢下にあるとします。
  • イラク領内では、河川用の舟での水運は可能だが、2007年現在、状況に応じて危険な地域も少なくない、とします。(シナリオの都合で調整も可能)

トルコ領内

 アルメニア台地北東部でアララト山に連なる山峰の山中に水源を発すムラト川と、やはりアルメニア台地北東部を水源を発すカラ川とが合流してフラト川(ユーフラテス川)となる。

 ムラト川は、アララト山南西方で、ヴァン湖北東岸の山中が水源。地方都市アールを経由し、概ね西流。ダムによる人工湖が、地方都市エラズーを東から時計と逆周りに南へと取り囲むように、幅狭で細長い円弧状の山間湖水をなす。

 一方のカラ川は、アルメニア台地北東の地方都市、エルズルム?北東の山中が水源。山間の渓谷沿いに蛇行しながら概ね西流。後、東に屈曲しつつ、エラズー?周辺の人工湖に北から流入。

 エラズーを取り囲む山間湖水で合したフラト川は、人工湖の南から流出後、ネムルト山?東方を回り込むように蛇行。ネムルト山東方から西方南西にかけアタチュルクダムによる人工湖をなした後、一旦南西流してから南流に転じ、シリア領へ。

アール
トルコ領東部のアール県県都(人口、10万人程度)。旧称カラケセ。アール県にはアナトリア東部でも、特にクルド系住民が多い、と言われている。
エラズー
トルコ領東部のエラズー県県都。人口、21万8千人(1993)。標高1,020m。国際空港を擁し、東西に走る基幹道路と、南西方向に分岐しシリア方面に至る基幹道路とが通る。
エルズルム
トルコ領東部、エルズルム県県都。人口、24万8千人(1993)。標高1,900m。国内線空港を擁す。アルメニア共和国方面に至る基幹鉄路が通る。基幹道自動車道の地域ターミナルでもあり、アルメニア方面や黒海北岸に至る自動車道が複数通っている。ビザンツ時代に地方都市として栄えた。
ネムルト山
トルコ領東南部のマラティヤ県で、アルメニア山地の南縁に位置。アンチ・タウロス山脈に含められることもある。標高2150m。山頂に古代コマゲネ王国の墳墓が遺る。山麓の祭壇遺跡などは観光コースにも組み込まれている。

 1980年代から、トルコ政府が取り組んでいる南東部アナトリア開発計画(GAP)には、流域の水質汚濁、下流イラク領での湿原旱魃など、環境に与える悪影響が国際的に批判されている。

 トルコ、シリア間では、1987年にトルコ側がは、トルコ-シリア国境での毎秒500tの水量を保証するとの協定が締結された。

 ところが、トルコ領内のユーフラテス川(フラト川)の最低流量は毎秒100tと言われている。

 アタチュルク・ダムが流水量を調節する、との前提での協定だったと思われるが、結局協定は守られず、トルコは、下流のシリア、イラクから外交非難も受けることになった。

【参考】

シリア領内

 トルコ領から南流してきたアル・フラァト(ユーフラテス川)は、シリア-トルコ国境の中部西寄りを通過した後、ユーフラテス・ダムが作る人工湖に流入。

 人工湖は、山間の渓谷沿いに東方へ屈曲。

 短距離を東流してラッカ県県都のラッカ?市を経た後、緩く湾曲しながら南東流。

 デーレッゾール県県都のデーレッゾール市、ブサイラ(人口不詳、1万人級)他を経由した後、イラク領へ。

 シリア領内の河川水運は、ユーフラテス・ダムで分断されている、と想定します。

 ダムの上流、トルコ領との間の川筋は、傾斜が急で水運には適さない、と想定します。

 ダムの下流、イラク領との間の川筋は、水運可能だが、国境部での検問は厳重、と想定します。

【参考】

イラク領内

 シリア領から南東流してきたアル・フラァト(ユーフラテス川)は、イラク-シリア国境の北部南寄りを通過。国境部で屈曲し短距離東流すると、地方都市アーナ(人口不詳、1万人未満級)を経由した後、蛇行しつつ南東流に転じる。

 ファルージャ近辺で、首都バグダードを流れるティグリス川との間隔が最も狭まる。

 ファルージャの下流では、ティグリス川との間を連絡する運河が2本開削されている。2本は、ティグリスの手前で合流した後、バグダードの下流に連絡。

 ムサイーブ(人口不詳、5千人級)の下流でも開削された運河が分岐。運河は、バービル県県都ヒーラーを経由し、サマワの上流で再び本流に合す。

 本流は、カルバラー?、ナジャフ?の東を流れ、サマワ、ナシリーヤ?を経由すると、クルナ(人口不詳、5千人級)の南南東でティグリス川と合流。シャッタル・アラブ川となる。

 シャッタル・アラブ川は、バスラ?脇を流れた後、低湿地に入ると、イラク-イラン国境をなしてペルシア湾に流出。この間、イラン側では、港湾都市ホラムシャハルアバダーンが、シャッタル・アラブ川に面している。

 イラク領の地勢は概ね平坦なので、ユーフラテス川を利用した水運は可能、とします。

 普段は筏やゴム・ボートのようなものでも、航行できるでしょう。実際、現地には、葦舟や筏などで往来する人もいるようです。あるいは、畜獣の皮で作った浮き袋を使い、川下りをする遊牧民もいるそうです。

 ただし、周辺情勢はまた別問題です。メディアで抵抗勢力と呼ばれる集団に誰何を受けたり、有志連合国の駐屯軍に検問を受けたりすることはあるでしょう。

 イラク領内では、2004年にユーフラテス川が氾濫し、洪水をおこしました。地勢が平坦だからこその災害です。

【参考】

ユーフラテス川に飛行艇で着水していいか?

 人工湖の類では、各国のダム管理当局の許可を得られれば、着水して構わないでしょう。

 ただし、普通は、管理当局から着水の許可はおりないと考えます。テロ活動が警戒されている現今の情勢なら、なおさらでしょう。この件については、「飛行艇で人工湖(ダム)に着水できるか?」にある、考え方Aを参照してください。

 河川への着水は、原則的には、各国の航空管制の許可が必要でしょう。2005年現在のイラクの場合だと、実際問題としては、地域の治安を担当しているMNCI(多国籍軍団イラク)所属部隊の管轄になるでしょう。

 あるいは、MNFI(多国籍軍イラク)から、許可を得ておく手もあるでしょう。

 国境を越境しての着水は、また別問題です。

 普通、国境を越境した場合は、まず、最寄りの国際空港に寄港するか領空を通過するかが、事前に手配されているはず、と考えます。国境を越境して、そのまま着水するのは当該国から異常事態、または緊急事態とみなされるでしょう。こちらも2005年現在のイラクでは、実質、MNCI所属部隊の管轄になるはずです。

 ただし、オープン・ミッションなどで、予め財団と当該国当局との間で話がついてる場合は、国境を越えてすぐの着水も、例外的に可能でしょう。

 ゾディアック・メンバーの場合は、超PC級の能力やコネで、PCにはできないことも実行可能と考えます。GMによる状況判断で、ゾディアック・メンバーは容認可能な範囲で、プレイヤーからの意向に沿った対応をする、とマスタリングすればいいと思います。

別称類

 「ユーフラテス(川)」は、古代ギリシア語起源の地名。英語、他で国際的に広く通用。

 トルコ語では、「フラト(川)」。

 アラビア語では、「アル・フラァト」。

 クルド系の言語では、「フィェルァト」など。

 アゼリー語では、「フェラト」。

 古代ギリシア語による古代名は、「エウフラテス(川)」。

 ヘブライ語による古代名は、「ペラス(川)」。

 古代ペルシャ語による古代名は、「ウフラトゥ(川)」。

 アラム語による古代名は、「フロァト」。

 アッカド語?による古代名は、「ブラットゥ」。

 シュメール語?による古代名、「ブラヌン」。

 「ブラヌン」の語意は、シュメール語で解けないため、地域に渡来したシュメール人?が、先住民から継承したのだろう、と言われている。あるいはウバイド文化?を営んでいた集団の言語に由来するのかもしれない。

活用や検討

活用

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重要な改訂の情報

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