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トランス・ドニエストル

トランス・ドニエストル(暫定版)

記事内容追加調査中の暫定版です

 「トランス・ドニエストル」(自称、トランス・ドニエストル=モルドヴァン共和国)は、1990年以降東ヨーロッパのドニエステル川?中流域で、独立を宣言している事実上の国家。1990年にモルドバ共和国東部の分離独立を宣言したが、2008年に至るまで国際的な了承は得られていない。(日本語では「沿ドニエストル共和国」と記されることが多い)

 1990年、モルドバ共和国が独立を宣言した際に、ロシア人居住者が多い東部で分離独立を宣言。ルーマニア系のモルドヴァ人が、ルーマニアとの合邦を目指すだろうと、恐れてのこと、とも言われる。

 1992年までモルドバとの武力衝突を続けたが、同年7月平和協定締結。2008年現在は、ロシア連邦ウクライナと、トランス・ドニエストルとの合同による平和維持軍が、10kmの距離を置いた停戦地帯の監視をおこなっている。

 2006年9月、トランス・ドニエストル政府は、かねてから予告していた住民投票を実施。独立と、将来的なロシア連邦への編入とが、圧倒的多数に支持された。モルドバ側の政府当局は「国際的な国家承認を得ていない状態での住民投票は無効」と公表し、住民投票自体を認めない考えを示した。

 この住民投票については、OSCE?も否定的。ウクライナの政府関係者からは、「検討対象にすべき」という、微妙に中間的なコメントが聞かれた。

【参照地図】

  • Imaage:Transnistria-map(モルドヴァ共和国領と、トランス・ドニエストルの領域,オレンジ系の彩色部がトランス・ドニエストルの領域,ブルー系彩色部がモルドヴァ側領域だが、モルドヴァ側地域区分は少し古いもののようだ,Wikimedia Commons

【参照イメージ】

近隣地域
 トランス・ドニエストルの領域は、モルドバ共和国側とウクライナ領との間に挟まれている。南端は、黒海?に至近だが、沿岸には面していない。
国名
 「トランス・ドニエストル」は、国連系の国際機関などで多用されている地域名。
 自称国名正称は、「プリドニエストゥロヴスカヤ=モルダヴィスカヤ・レスプブリカ(Pridnestrovskaya Moldavskaya Respublika)」、略号“PMR”。この自称国名の英語表記が「トランス・ドニエストル=モルドヴァン共和国(Trans-Dniester Moldovan Republic)」。
 自称国名略称は、「プリドネストゥロヴィエ(Pridnestrovie)」。英語表記で「トランスニストリア(Transnistria)」
(日本語では「沿ドニエストル共和国」と、記されることが多い)
国際関係
 2008年現在、トランス・ドニエストルとモルドバ共和国との関係調整は、停滞している。モルドバ側は、OSCE?による平和維持部隊の創設、派遣と、ロシア軍などの撤退を求めているが、トランス・ドニエストル側は、現在の停戦監視状態の継続を主張している。
 国際的には、トランス・ドニエストルの現統治体制は、中央集権的で、ルーマニア系モルドヴァ人住民への差別、人権抑圧が著しい、と批判されている。例えば、ルーマニア系の政治家が、不当逮捕の上、死刑を宣告された事例が知られている。2001年には、国際的な非難が高まり、この政治家は解放された。
 また、トランス・ドニエストル当局は否定しているが、女性の人身売買が深刻、との批判も、国際的な人権監視団体から公表されている。
 2006年3月、トランス・ドニエストルの北から東、南にかけて隣接するウクライナの当局は、次のような行政政策を施行した。トランス・ドニエストルからウクライナへの輸入品は、モルドヴァ当局の監査を受けた書類が添付されている物のみ、輸入を許可する、との方式だ。
 トランス・ドニエストル当局、及び、ロシア連邦当局は、このウクライナの政策が「経済封鎖である」として、強い反発を示した。モルドバ側は、ウクライナの政策を「トランス・ドニエストルを拠点にしたビジネスの投機に、より好ましい状況をもたらす」として「経済封鎖」であることを否定した。ちなみに、モルドバ当局は、トランス・ドニエストルに所在する企業にも、6ヵ月間の輸出許可証を簡易な手続きで発効している、と述べている。
 EU(欧州連合)?諸国や、U.S.A.(合衆国)、及びOSEC?は、ウクライナの行政方針を支持。この支持には、モルドバ経由の麻薬や武器の密輸ルートがあると強く疑われている、との背景事情がある。モルドバ当局はこうした密輸ルートの存在は否定している。
 2006年6月、独立についての国際的承認を得ていない3国、アブハジア自治共和国、トランス・ドニエストル、南オセティア共和国?の大統領が、スフミ?で会談。共同声明を通じて「民主主義と民族の権利のための共同体の設立」を宣言した。
地域
 トランス・ドニエストルの領域は、旧モルダヴィア=ソヴィエト社会主義共和国時代には、7つの行政区からなっていた。

 

国情
 分離独立直後のトランス・ドニエストルは、諸国から、旧ソ連時代の政治手法がそのまま継続されていると評された。実際、2008年現在、議会でも、旧共産党系の政党の勢力が極めて強い。
 ただし、2005年にEUの関連機関が発表したレポートによれば、旧共産党系以外の政党の活動も活発化しつつあり、多党化が進んではいる、とのこと。
 一方、国内では、ルーマニア系モルドヴァ人の居住者と、ロシア系居住者の対立が根深い。
 国際的な人権擁護団体によれば、トランス・ドニエストルでは、ルーマニア系モルドヴァ人住民への差別、人権抑圧、特に、信教への弾圧が著しい、と報告されている。
 2004年には、トランス・ドニエストルの地方当局が、地域でのモルドヴァ語?教育でもローマ文字の使用をキリル文字の使用に切り替える措置をとった。これでは、公用語に、モルドヴァ語が挙げられていても有名無実化する、として、モルドヴァ人住民の多い地域での対立が深まった。
歴史
 トランス・ドニエストルの領域は、ソヴィエト連邦?建国時には、ウクライナのモルダヴィア自治州とされていた。当時の住民は大部分がルーマニア系だった。
 1940年に、モルダヴィア=ソヴィエト社会主義共和国に編入。第2次世界大戦中は、ナチ・ドイツの侵攻を受けたが、2次大戦後もモルダヴィアの1部に復した。
 1980年代、旧ソ連末期のペレストロレイカにより、モルダヴィア=ソヴィエト社会主義共和国各地に地方行政組織が発足。1990年のトランス・ドニエストル分離独立は、これら地方行政組織が主導した。
考古学関係
 現在、ウクライナ領になっている、黒海沿岸部には、古代、キンメリア人やスキタイ人、ヘレネス?、トラキア人?、ローマ人、他が盛衰した。彼らの活動は、ドニエステル川?沿いに、現トランス・ドニエストルの領域にも及んでいた。
 2006年現在、分離独立以降の政治的緊張、経済困窮下にあって、トランス・ドニエステルの社会情勢は、はっきり言って考古研究どころではない(と想定)。

トランスドニエストルの地図

モルドバ共和国の有用地図集(ドニエストルの地図にも数件のリンクあり)
(別ウィンドウで、並べて見ると多分便利)

追加情報

小辞典版推奨判定
「情報+知性 目標値10〜12」
やや詳しい情報 トランス・ドニエストルの領域は、旧ソ連時代には、モルダヴィア=ソヴィエト社会主義共和国時代内の工業地帯で、その他の農牧業地帯とは際立った対照をなしていた。
 ロシア系、ウクライナ系の住民が多いのもこのためで、ことに20世紀前半に地域の工業化が進められた時期から移住者が増えた。
 2005年時点で、住民1人あたりのGRP(域内総生産)は、756U.S.ドル相当と推計されている。これは、モルドヴァ側の1,800U.S.ドル(2003年) よりもかなり低い。
小辞典版推奨判定
「歴史+知性 目標値10〜12」
やや詳しい情報 現在、ウクライナ領になっている黒海沿岸部は、古代、キンメリア人やスキタイ人の生活圏だった。彼らの活動は、ドニエステル川?沿いに、現トランス・ドニエストルの領域にも及んでいたようだ。
 B.C.600年頃、ドニエステル川流域の河口部に、ミレトス?系の入植都市ティラス?(Tyras)が築かれた。ティラスは、紀元前2世紀頃、先住民の部族連合に支配されるようになったと思われる。都市は、B.C.50年頃、トラキア系の部族によって破壊された。
 A.D.56年、ティラス市があったあたりに、ローマの軍営拠点が築かれた。これはローマ帝国の下モエシア地方の前衛拠点になっていった。

GM向け参考情報

基本情報

  • 目標値8〜10程度の簡単な判定で、PCが知ってることにして構わないでしょう。場合によってはプレイヤーに事前提示しても可。
面積
4,163平方km
面積対比
U.K.(連合王国)の2%弱(日本国の1%ほど)の国土面積。
人口
53,7000人(2007年推計)
人口対比
比較する統計準拠年が異なるので、あくまで目安として
U.K.(連合王国)の0.9%ほど(日本国の0.4%ほど)
平均人口密度
1平方kmあたり128人程度(都市集住率不明)
平均人口密度の対比
あくまで目安として
U.K.の5割ほど(日本国の4割弱)
政治体制
 トランス・ドニエストルには、選挙による多党制の議会(1院制)と、直接選挙による大統領とが存在する。ただし、過去に実施された選挙が公正なものだったかは、各国から強く疑問視されている。例えば、OECDは、具体的な不正を指摘したことがある。
民族事情
 モルドヴァ系、3割強、ウクライナ系3割弱、ロシア系25%程度。
 トランス・ドニエストルの領域は、旧ソ連時代から、モルダヴィア=ソヴィエト社会主義共和国では最もロシア系住民の人口比率が高い地域だった。しかし、2008年現在でも、ルーマニア系モルドヴァ人居住者が、最大人数の民族集団であることは変わらない。ただし、1989年に地域の39%だったモルドヴァ系住民は、分離独立後の2004年には32%に減った、とされている。
言語事情
 ロシア語、ウクライナ語、モルドヴァ語?が公用語に指定されている。
宗教事情
 ロシア正教、ルーマニア合同教会の信徒が目立つ。ルーマニア合同教会信徒に対する、迫害も伝えられている。
GRP
 2005年の見積もりで、およそ、4億2千万U.S.ドル。
GRPの対比
比較する統計準拠年が異なるので、あくまで目安として
U.K.(連合王国)の0.02%ほど(日本国の0.01%ほど)
国民1人あたりGRP
 2005年当時の為替レートにて756米ドル相当とのこと。
国民1人あたりGRPの対比
あくまで目安として
U.K.(連合王国)の2.5%強(日本国の2.6%弱)
通貨単位
トランスドニエストル・ルーブル
首都
ティラスポリ?
  • 基礎データ内の数値は「民族事情」「言語事情」「宗教事情」以外の数値を、Wikipedia英語版:Transnistriaから参照し、端数を丸めました。
  • 民族事情、言語事情、宗教事情の数値、及び説明は、二宮健二(編、発行)『データ ブック オブ ザ ワールド 2006年版』(二宮書店)、をベースに、複数のソースを参照してまとめました。二宮書店の前掲書の記述とは必ずしも一致していません。

用途、用法

 「モルドバ共和国」の項を参照されたし。⇒ モルドバ共和国

地勢と環境

 「モルドバ共和国」の項を参照されたし。⇒ モルドバ共和国

地域区分

 トランス・ドニエストルの領域は、旧モルダヴィア=ソヴィエト社会主義共和国時代には、7つの行政区からなっていた。

【参照コンテンツ】

人口分布

【参照データ】

 Gridded Population of the World, version3 で、2000年の統計に基づいた、人口分布図を見る限り、人口は幾つかの大都市圏に集中が見られるほかは、全土にほぼ均一に分布。特に、人口密度が他より低い地域は、見当たらない。モルドバ側との、人口密度格差も無いようだ。

主要都市

トランス・ドニエストル側
ティラスポリ?(首府)、 ベンデル?
モルドヴァ共和国側
キニショフ?(首都)、ベルツィ?

正規の出入国ゲート

スカイ・ゲート
 国際空港は、モルドヴァ側の首都キニショフ近傍にしかない。
海港
 トランス・ドニエストル領は海には面していない。
国際鉄路
 トランス・ドニエストルの領域を経由する国際鉄路は、モルドヴァ側とウクライナとに至るルートが2本ある。
主な国際自動車道
 モルドバ側とウクライナとに至るルートが2本ある。
河川水運
 調査中。

主要な国内交通網

 「増補待ち」

別称類

 「増補待ち」

活用や検討

活用

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重要な改訂の情報

  • 内容に追加、変更があった場合のみ、でいいでしょう。
    (誤字脱字の訂正や、文章を整える程度では記録不要)
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検討

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更新日時:2008/05/10 09:27:16
キーワード:
参照:[モルドバ共和国の有用地図集] [モルドバ共和国] [現存国家] [ヨーロッパ州の現存国家] [沿ドニエストル共和国]
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