モルドバ共和国
PCが予め知ってていい情報
- 「判定処理なしに、PCが知ってることにしていい」情報とします。
「モルドバ共和国」は、東ヨーロッパ]で、黒海?の北西に位置する内陸国(黒海沿岸には至近)。ロシア連邦のヴォルガ連邦管区に位置しているモルドバ共和国?とは別の国。
旧ソヴィエト連邦を構成した「モルダヴィア=ソヴィエト社会主義共和国」だったが、1990年に「モルドヴァ社会主義共和国」として主権宣言を採択。ソ連崩壊(1991年)後に独立を宣言し、国名を現行のものに改称。1992年に国連加盟。1997年からGUAMの前身に関与し、現在もGUAMの1国。
2001年の選挙で、CIS(独立国家共同体)?加盟国の内では、最初に共産党が政権をとった。共産党政権は党員の大統領を選出。同大統領は、2005年の選挙で再選され、2006年現在、2期目を勤めている。
独立後、領域内東部で分離独立を主張したトランス・ドニエストル(沿ドニエストル共和国)との間で、武力衝突を展開していた。2006年現在は、停戦状態にある。
- 国名
- 英語による国家名正称のモルドバ共和国、略称のモルドバは、共に国際的に広く通用。ルーマニア語系統のモルドバ語による国名は調査中。
- 国際関係
- CIS(独立国家共同体)?加盟国。一方で、GUAMにも、結成された1997年から加盟している。
- 1992年に国連加盟した後、IMFなど、国連系の国際組織には順次加盟。
- 共産党政権は、EU加盟政策を掲げつつ、CIS諸国との関係を重んじてきている。
- 同時に、国民の65%弱を占めるとされるルーマニア系モルドバ人の間には、ルーマニアとの合邦を求める意見が根強く続いている。「将来的にはルーマニアとの合併の計画もある」とも言われるが、1994年に実施された国民投票では、独立国として進む路線が圧倒的に支持された。(無論、この時の投票結果には、現在も決着が付いていないトランス・ドニエストルの問題も影響していたはずだ)
- 地域
- 西部のルーマニア国境をプルト川?が、東部のウクライナ国境の少し内側をドニエストル川?が、それぞれ概ね南北に流れる。国土のほとんどが、両川の間に連続する低い丘陵地に占められている。
- 地域は、それぞれ南北方向に細長い西部、中部、東部に3大別し、その後細別していくと把握し易いだろう。
- 2006年現在、概ね国土の東縁がトランス・ドニエストル(沿ドニエストル共和国)の領域になっていて、ドニエストル川の両岸には、ロシア連邦、ウクライナ、トランス・ドニエストル合同の平和維持軍によりグリーン・ゾーンが設けられ、停戦監視が続いている。
- モルドバ政府当局は、OSCE?による平和維持部隊の創設、派遣と、ロシア軍の撤退を求めているが、トランス・ドニエストルとの間で合意が成り立たずにいる。
- 国土南西地域には、東部を中心にカガウズ=イェリ自治共和国?が設けられている。(幾つかの飛び地がある)
- 国情
- 2003年にグルジアで起きた無血革命の影響で、政権奪取を目指す運動が盛ん、と伝えられている。
- 一方で、石油、ガスの供給をロシアとウクライナとに依存している。ロシアと一定の距離を保ちつつCIS加盟諸国との関係を重んじる、という共産党政権の方針を現実的、とみなす国民も少なくないようだ。
- 独立後、社会主義体制から市場経済に移行したわけだが、並行してドニエストル紛争、カガウス独立紛争が起きた。トランス・ドニエストルの領域は、モルドバ国内の工業地帯だったため、紛争は経済面にも悪影響を及ぼした。
- 2006年現在も、経済状況はかなり悪い。経済困窮の影響は、例えば犯罪組織による人身売買などの社会問題に見て取ることができる。(旧東欧社会主義国に蔓延している人身売買は、「EU諸国での職を紹介する」と騙して、国外に連れ出した女性に組織売春を強要する、などの手口の組織犯罪)
- ドニエストル問題は、2006年現在も解決のめどはたっていない。カガウス独立自治区でも分離独立派の活動が途絶えたわけではない。これらの問題は、緊張感をはらんだ膠着状況にある、とみていいだろう。
- 歴史
- ベッサラビア地方を拠点に、ルーマニア系の貴族を支配層にした中世モルダヴィア公国が14世紀に成立。同国は、16世紀初頭に、オスマン帝国の宗主権に服し、従属国となった。
- 18世紀、帝政ロシアが、正教徒保護を名目にモルダヴィアへの干渉を開始。19世紀初頭に、旧モルダヴィア公国北部のブコヴィナ地方がオーストリア帝国に割譲され、北東部のベッサラビア地方?が帝政ロシアに割譲された。数年後、ベッサラビアは、ロシアから奪われ、ルーマニア王国に統合されたが、第2次世界大戦中の1940年ソヴィエト軍に占領された。その後、ベッサラビア地方の黒海沿岸部がウクライナ領に編入され、現在のモルドバ、ウクライナ国境がほぼ定まった。1941年、モルドバは一旦ルーマニアに奪回されたが、1944年ソ連軍が再占領。
- この占領地が、ソヴィエト連邦時代のウクライナ共和国内に編成された、モルダヴィア自治共和国領で、後のモルダヴィア=ソヴィエト社会主義共和国となった。
- 考古学関係
- トランス・ドニエストル問題が膠着し、経済困窮が続くモルドバ共和国の現状では、考古研究の優先度は低くなっている。(はっきり書けば、それどころではないので、後回しにされがちだ)
- 考古研究のテーマとしては、新石器時代末にヨーロッパ内陸に広まった初期の農耕、牧畜文化が注目される。また、スキタイ文化関係の発掘なども期待できるかもしれない。
モルドバ共和国の地図
⇒ モルドバ共和国の有用地図集
(別ウィンドウで、並べて見ると多分便利)
モルドバ共和国の参照画像集
⇒ モルドバ共和国の参照画像集
(別ウィンドウで、並べて見ると多分便利)
追加情報
- 「簡単な判定に成功すればわかる情報」とします。
- 小辞典版推奨判定
- 「情報+知性 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 モルドバの主権宣言採択から独立宣言の動きと並行して、ドニエストル川?流域の工業地帯で生じたトランス・ドニエストル(沿ドニエストル共和国)分離独立の動きは、居住者に多いロシア系住民、ウクライナ系住民が中心になったもの。
- 1990年代に武力衝突が展開されたが、ロシア軍などの介入で停戦に至った。1997年、統一国家としての領土保全を織り込んだ覚え書きが、モルドバ、トランス・ドニエステル間で調印された。
- ただし、モルドバ側が、欧州安保協力機構、ロシア連邦が提案した連邦制のプランを提唱しているのに対し、ドニエストル側は、モルドバ政府とトランス・ドニエストル政府を同等と位置づけるEUタイプの国家連合を主張。2006年現在も、ウクライナ、ロシア共和国?、トランス・ドニエストル合同の平和維持軍が平和維持軍による、停戦監視が続いている状態にある。
- 1990年に、カガウス人は、ソ連内で「カガウス=ソヴィエト社会主義共和国」を、当時のモルドバ=ソビエト社会主義共和国から分離独立させることを宣言。しかし、この宣言は、ソ連政府から否認された。
- 1991年、モルドバが独立を宣言し、翌92年、「カガウズ共和国」がモルドバからの独立を宣言。
- モルドバ側は、カガウズ分離派勢力に一定の自治権を約し、1995年「カガウズ=イェリ自治共和国」 が発足した。
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 ルーマニア系の貴族に支配された中世モルダヴィア公国は、勢力を拡張してきたオスマン帝国と15世紀から度々交戦したが、16世紀初頭にその宗主権に服し、従属国となった。
- 18世紀、勢力を盛んにした帝政ロシアが、正教徒保護を名目にモルダヴィアへの干渉を開始。1711年に、1時、モルダヴィア領を占領したが、同年オスマン帝国に奪回された。この時、モルダヴィア公がロシア軍に抵抗せずに降伏したことを不振としたオスマン帝国は、以降、帝室に使えていたギリシア人官吏をモルダヴィア公に任命するようになった。この支配方法は、オスマン帝国の勢いが衰え始めた19世紀まで続いた。
- 1812年、旧モルダヴィア公国北部のブコヴィナ地方は、オーストリア帝国に割譲され、北東部のベッサラビア地方?は帝政ロシアに割譲された。
- 1918年、ロシア領だったベッサラビアは、ルーマニア王国に統合されたが、第2次世界大戦中の1940年ソヴィエト軍に占領された。1941年、一旦ルーマニアに奪回されたが、1944年ソ連軍が再占領。この占領地が、ソヴィエト連邦時代のウクライナ共和国内に編成された、モルダヴィア自治共和国領となり、後に、モルダヴィア=ソヴィエト社会主義共和国となった。
- 「難易度が、ある程度高い判定に成功すればわかる情報」とします。
- 小辞典版推奨判定
- 「情報+知性 目標値12〜14」
- さらに詳しい情報 沿ドニエステル分離独立運動は、ルーマニア系モルドバ人を中心にした独立に反発した、との事情で生じたが、もう1つ、急激な市場経済への転換にも反対する、との主張も見られた。
- モルドバ共和国の市場経済への転換は、他の旧社会主義国と比べると決して急激なものとは言えないが、それでも、沿ドニエステルのロシア系、ウクライナ系の住民たちは警戒した。
- 沿ドニエステル共和国では、2006年現在も、事実上の1党独裁体制が続いている、と言われ、社会主義体制時代とさほど変わらない国家運営がなされている。
- 一方、モルドバ側では、伝統的な農業重視政策を進めてきている。旧モルダヴィア=ソヴィエト社会主義共和国時代からの工業地帯が、トランス・ドニエストルとして分離したため、より一層、農業重視に傾かざるを得なかった、との事情、エネルギー資源の供給がロシア、ウクライナに依存したままとの事情もあるようだ。
- ともあれ、農業を重視しつつ、市場経済に転換していく政策は、現在までのところ中産階級の未成熟などのミス・マッチを伴っていて、うまくいっていない。国民の間には「旧ソ連時代の方がまだ良かった」という意見が増えている、とも伝えられている。
GM向け参考情報
- GM向けの補足情報、マスタリング・チップス、アイデア・フックなど
位置(再整理)
モルドバ共和国(レパブリカ・モルドワ)は、ヨーロッパ州の東欧地域にて、黒海?の北西に位置する内陸国(黒海沿岸には至近)。
基本情報
- 目標値8〜10程度の簡単な判定で、PCが知ってることにして構わないでしょう。場合によってはプレイヤーに事前提示しても可。
モルドバ共和国の基本情報 2008年版
(別ウィンドウで並べて見ると、多分便利)
用途、用法
モルドバ共和国の領域は、2006年現在も、トランス・ドニエストルとの間で、ロシア軍主導の平和維持軍による停戦監視が続いている状態にあります。
ドニエステル川?の右岸10kmの区間が、停戦監視地域とされています。この地域を通過する場合は、次のような処理をすると、他の地域と違う特色を演出できるでしょう。
- 極めてリアルな処理=一切の武器の携行が禁じられる。キャラクターは移動した後、新たに武器類を確保しなければならない。あるいは、武器類は許可証を添えて別便で通関、移動した先で受け取る。
- ややリアルな処理=自衛用武器のみ携行が認められるが、携行許可証が必要。
モルドバ共和国、及び、トランス・ドニエストルの領域は、下手なことが起きると、収拾のつかない紛争が再燃しかねない地域です。
キャンペーン・プレイを重ね、セッション中に呼び出せるゾディアック・メンバーの顔ぶれが増えているパーティー向けの舞台でしょう。
紛争再燃につながりかねない事態が起きても、Ωや、アルカードが、パーティーの呼び出せるゾディアック・メンバーに含まれていた場合、プレイヤーが早目に対処することで回避する可能性も開けるでしょう。
この場合でも、ゲーム前ブリーフィングにて、地域の状況を、プレイヤーによく理解してもらう必要はあります。
地勢と環境
国土のほとんどが、東カルパティア山脈から連なる丘陵地帯にあり、現ルーマニア領北東部のモルドバ地方?に連なっている。
国土の西縁でルーマニアとの国境をプルト川?が、東寄りをドニエストル川?が、それぞれ概ね南方向に貫流し、ルーマニア領、ウクライナ領を経て黒海に注ぐ。国土のほとんどは、両川水系の流域に連続するさほど高くは無い丘陵地の連なりに占められる。川岸部を覗くと、南部のごく一部が平坦地。中央部の平均標高が、およそ300m前後。
気候帯は、概ね冷帯湿潤気候に属す。南部はステップ地帯になっている。
土壌は黒土に恵まれ肥沃で、農業が盛ん。埋蔵資源は、石炭、亜炭、燐、石膏など、決して豊富とは言えない。エネルギー面では、ロシア、及びCIS諸国への依存度が高いほか、工業地帯として開発されていたドニエストル川流域部が、トランス・ドニエストルの領域になってしまった、との問題もある。
地域区分
国土は、まず、プルト川東岸の西部、ドニエストル川両岸の東部(トランス・ドニエストルの領域、及び、停戦監視ゾーン)、両方の間の中部の、それぞれに南北に細長い地域に3大別するといい。その後、各地域を細別していくと把握し易いだろ。
トランス・ドニエストルの実効支配地を除くと、モルドバ共和国の領土は、2006年現在、県レベルの行政区32と、首都などの独立大都市圏3つ、及び、カガウズ=イェリ自治共和国とに別れている。
カガウズ=イェリ自治共和国への帰属は、住民投票によって決せられたため、モルドバ領南部にあまり広くない飛び地が数箇所ある。
人口分布
【参照データ】
Gridded Population of the World, version3 の資料を見る限り、人口は幾つかの大都市圏に集中が見られるほかは、全土にほぼ均一に分布。特に、人口密度が、他より低い地域は無いようだ。
主要都市
正規の出入国ゲート
- スカイ・ゲート
- 首都キニショフの近傍に国際空港がある。
- 海港
- モルドバ領は海には面していない。
- 国際鉄路
- ウクライナとの間に4本、ルーマニアとの間に2本の鉄路が敷設されている。
- 主な国際自動車道
- ウクライナとの間には基幹的な自動車道が4ルート、ルーマニアとの間には基幹的な自動車道が2ルート、敷設されている。
- 河川水運
- 調査中です。
主要な国内交通網
「増補待ち」
別称類
主要国の言語
- ロシア語名=Республика Молдова(レパブリカ・モルドワ)
略称=Молдова(モルドワ)
(ロシア語?はモルドバ共和国で広く通用する言語の1つ) - 英語名=Republic of Moldova(リェパブリク・オブ・モォルドォオヴァ)
略称=Moldova(モォルドォオヴァ) - フランス語表記=R?publique de Moldavie
略称=Moldavie - スペイン語表記=Rep?blica de Moldavia
略称=Moldavia - アラビア語名(音写)=(調査中)
- 中国語表記=摩爾多瓦共和國
略称=摩爾多瓦
その他
リンク
小辞典
⇔ 小辞典ワールド編
⇔ 現存国家
⇔ ヨーロッパ州の現存国家
関連項目
- モルドバ共和国の参照画像集
(別ウィンドウで並べて見ると、多分便利) - モルドバ共和国の有用地図集
(別ウィンドウで並べて見ると、多分便利)
周辺地域、諸国
資料リンク
- モルドバ共和国の参照コンテンツ集
(別ウィンドウで並べて見ると、多分便利) - モルドバ共和国の基本情報 2008年版
(別ウィンドウで並べて見ると、多分便利)
活用や検討
活用
重要な改訂の情報
- 内容に追加、変更があった場合のみ、でいいでしょう。
(誤字脱字の訂正や、文章を整える程度では記録不要)
検討
- このページの記事内容についての質問、重要な疑問、改訂の要望など
- 検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は、随時書換え対象になりえます)
キーワード:
参照:[ウクライナの基本情報 2008年版] [モルドバ共和国の基本情報] [現存国家] [モルドバ共和国の基本情報 2007年版] [ヨーロッパ州の現存国家] [ウクライナの基本情報 2009年版] [モルドバ共和国の基本情報 2008年版] [モルドバ共和国の有用地図集] [トランス・ドニエストル] [GUAM] [モルドバ共和国の参照画像集] [ルーマニア] [国際関係の関連用語] [ルーマニアの基本情報 2008年版] [モルドバ共和国の参照コンテンツ集] [ウクライナ]