イオ
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ギリシャ神話で語られるアルゴス王国の系譜は、かなり混乱していて、複数の親族関係が伝えられている。イオの両親についてもいくつかの異伝が知られている。
父親は、アルゴス王イーナコス?だったとも、アルゴスの王子イーアソス?だとも、ペイレーンだったとも伝えられている。
よく知られる物語の大筋は、イオがヘラ女神の女神官だった点で一致している。そして、イオはゼウス神に見初められ、誘惑されて交わる。
有名な物語の内には、ゼウス神がイオに性欲を覚えたのはイユンクス?が媚薬を飲ませたためだ、と伝える異伝もある。又、イオは夢でレルネー?の湖沼に赴き、ゼウス神に身を委ねるよう告げられた、とする物語もある。後者の異伝では、イオがゼウス神と交わったのは、イオの父親が神殿に伺いをたてて神託を得た後、とされる。
ゼウス神はイオと交わった後、彼女を若くて美しく白い牝牛に変じた。ヘラ女神の怒りがイオに及ぶのを恐れたためだ。しかし、ゼウス神の計を見透かしたヘラ女神は、牝牛をゼウス神から乞い受ける。イオは、ヘラ女神の命を受けた百目のアルゴスが監視した。ゼウス神の命を受けたヘルメス神?が百目の怪物アルゴスを退治すると、白い牝牛の姿のイオは解放された。
ヘラ女神は、さらに牝牛の姿のイオに虻を送って苦しめる。虻に追い立てられるようにしてイオは各地をさすらう。ちなみに、牝牛のイオがヨーロッパ側から小アジア?側へと渡ったとされた場所がボスポラス海峡?(牛渡しの海峡)の地名で呼ばれるようになった。
アジアに渡った牝牛の姿のイオは、コーカサスの山中で、鎖に繋がれていたプロメテウス?に出会う。神の呪い(神罰)に苦しめられていたプロメテウスだが、イオに、将来の予言を伝える。
さらに後、エジプトにたどり着いたイオは、ゼウス神の力で人間の姿に戻ると、息子エパポス?を出産。ナイル川流域を支配していたエジプト王の妃となり、王位はエパボスに継承された。この血統の末から、伝説的な英雄たちが何人か生まれた、とするのがヘレネス?たちの語った神話だ。
例えば、エウロペの父、テュロス王のアゲノール?はエパボスの孫(イオのひ孫)だ、と伝えられた。
現代では、普通、庸兵などとして地中海沿岸に進出していった時期のヘレネスたちが、古代エジプト?で牝牛の姿も持つイシス=ハトホル女神に接して、自分たちの間で知られていたイオの物語をエジプトに結びつけたのだろう、と言われている。
古代の歴史家や宗教家たちの間では、イオの神話をはじめとした、エジプトに関わるギリシア神話を、過去に実際に起きた出来事が伝承過程で変形された物語、と考えた説も唱えられた。
例えば、イオは、王制だった時代のアルゴス王イーナコスの王女だったのが、フェニキアの海賊に誘拐され、エジプト王に売られた、とする物語が、すでに古代に唱えられていた。この物語では、イオの出自を聞いたエジプト王は、イオを身請けした代価として、イーナコス王に美しい牝牛を送ったが、すでにイーナコス王は死んでいた、と語られる。
- 【参照イメージ】
(ゼウスに抱かれるイオ,アントニオ・コレッヂオ,1531年頃,Wikimedia Commons)
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参照:[リビュエー] [小辞典ワールド編] [神話、伝説のキャラクター] [テレゴナス] [古代リビア] [エウロペ,テュロスの〜]