ナイル諸語
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「ナイル諸語(ナイロート)」は、アフリカ大陸のナイル水系?流域を中心に用いられている幾つかの言語の、近縁関係、及び、言語系統を整理した言語学上の概念。「ナイル語群」とも。
ナイル諸語に属す言語を母語にした、諸民族?の近縁関係をカテゴライズするのに用いることもある。単に「ナイロート」と言うと、近縁の民族集団を指して用いられることの方が多いかもしれない。
しかし、言語系統と民族系統とは、必ずしも常に一致するわけではない。アラブ化したスーダン人、ギリシア化したスラブ系民族、他、歴史上の事例は多い。わずらわしくはあるが、民族集団を表すときは「ナイル諸語系の民族」などと、明示できると好ましい。
- 【参照資料】
- AfricanLanguage.com
アフリカの言語系統分布の概略図が掲載されています(2006年6月現在)。ナイル諸語の分布は示されていませんが、ナイル・サハラ語族の分布も示す小さな地図が見られます。
追加情報
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- 「交流+知性 目標値10〜12」「言語+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 「ナイル諸語」は第一に言語学の概念なので、民族関係の方を、「ナイロート系統の民族」などとしていった方がいいのかもしれない。
- また、「ナイロート」は、「ナイロート人種」と言った用い方をされることも、ままある。ナイロート系民族の内には、人種的特長が顕著な諸民族(ヌエル族?やシルック族?など)が目立つ、との事情はあるが、「ナイロート人種」は、誤用なので避けた方が望ましい。
- 「ナイロート系(諸)民族」に、かなり分布が重なる人種?集団には「ナイロティック」があるが、例えば、ヌビア人はナイロート系民族に含まれることはあっても、通例ナイロティックには含めない。
- ナイロート系諸民族の分布が「ナイル水系流域」と目されるのに対し、ナイロティックの分布は現スーダン領のサッドから、水系周辺の草原地帯にかけて、と言われる。また、ナイロティックは、分布の中心地もサッド地帯よりも南方とされナイル水系からも外れていく。
- このように、民族カテゴリと人種カテゴリとは、その相関性が強い場合であっても、必ずしも一致しない。
- 小事典版推奨判定
- 「言語+知性 目標値10〜12」「情報+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 「ナイル諸語(ナイロート)」は、ナイル・サハラ語族に含められることが多いが、ナイル・サハラ語族の範囲には議論が多い。疑問視されたり、判断保留とされたりする言語は少なくない。立場によっては、カテゴリー自体を、積極的に否定する言語学者もいる。
- これは、「ナイル・サハラ語族とされる諸言語の歴史的な系統関係の論証が不充分」と言う意味で、関連の諸言語の間に類縁関係が認められることは事実だ。
- ナイル諸語に分類される諸言語がネイティブに用いられている社会は、ナイル水系?中流域を中心として、スーダン共和国領、エチオピア連邦民主共和国領、コンゴ民主共和国領、ウガンダ共和国領、ケニア共和国領、及び、タンザニア連邦共和国?領にかけて分布している。
- ナイル諸語は、その方言 に基づき、西ナイロート、東ナイロート、南ナイロートの3語群に大別されている。現在、ナイル諸語は、普通は、東スーダン諸語に含める整理がなされている。この場合の「東スーダン」は「歴史的スーダンの東部」を意味する。
- (以前は、「シャリ・ナイル語派」の下位に分類されていたが、この分類の歴史的系統性は、一旦否定されている。現在、普通は、カテゴリーとして用いられていない)
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- 「言語+知性 目標値12〜14」 「交流+知性 目標値14以上」
- 詳しい情報:: 西ナイロートに属す言語を母語にしている民族集団は、ヌエル族?(ヌアー族)、ディンカ族?、シルック族?など。東ナイロートに属す言語を母語にしている民族集団は、マサイ族?、カラモジョン族?、テソ族?など。南ナイロートに属す言語を母語にしている民族集団は、ポコット族?、ナンディ族?、ダトーガ族?など。
- ナイロート系諸民族の多くは、伝統的に牧畜、または半農半牧畜を基本生業にしていた。牧畜では、ウシ、ヤギ、ヒツジなどが飼育されるが、特にウシに高い交換価値、文化面での象徴的価値が置かれている社会が目立つ。漁労、魚食は西ナイロートでは重要だが、東ナイロート、南ナイロートでは、魚食自体が伝統的タブーとされている。
- 基本的には、父系の出自を社会的な結束の面で重視する民族が多い。また、平等主義的な民族が多く、政治的権力を委託する役職の創設には強い抵抗が示される。現在でも、社会の階層分化があまり見られない部族社会も少なくない。
- 一方、南ナイロート系や東ナイロート系民族の伝統的社会では、若者組のような年齢別集団が顕著に発達している例が多い。これら年齢別集団は、多くの場合、階梯制を伴う。その詳細は民族ごとにさまざまだが、年齢別集団は、宗教儀礼、政治的意思決定、生産・経済活動、戦争などで重要な機能を担う。
- この年齢別集団は、クシート系民族?との接触で採用された文化だろう、と推測されている。
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- 「言語+知性 目標値12〜14」
- 詳しい情報:: ナイル・サハラ語族は、1960年代にアメリカの人類学者、言語学者のJ.H.グリーンバーグが提唱したもの。グリーンバーグは「ナイル諸語(ナイロート)」を、「シャリ・ナイル語派の東スーダン諸語に属す」とした。
- 現在、「シャリ・ナイル語派」の歴史的系統性は否認され、カテゴリーとしては用いられていない。
- また、「東スーダン諸語」も系統性が疑わしいとして、「東スーダン語群」あるは「東スーダン大語群」とする立場もある。その範囲についても、異論もある。
- 現在のところ、ナイル諸語が「ナイル・サハラ語族」に属すとは言っても、歴史的系統関係については判断保留にしておいた方が無難だろう。ナイル諸語は、ナイル・サハラ語族の内で、比較的、類縁関係が目立つ諸言語としておいた方が無難だ。
- 小事典版推奨判定
- 「言語+知性 目標値12〜14」 「歴史+知性 目標値14以上」
- 詳しい情報:: ナイロート系の諸民族は、おそらく現スーダン領南部のサッド一縁を原郷に、過去千年ほど、移動と拡散をしてきた、と目されている。
- 移動と拡散の主原因としては、乾燥化の進行が考えられている。あるいは、過去千年という単位ではなく、過去8先年ほどにわたる長期乾燥化の影響をを想定する意見も聞かれる。こちらは、あり得ないは話ではないが、とりあえず、現在の民族分布から推定していく民族系統とは直接関係しない。
- つまり、過去8千年ほどの乾燥化傾向は、事実であることが確認されているが、ヌアー族なり、マサイ族なりの諸民族が8千年も遡れるとは考えられないし、いつまで遡れるかも未確認である例の方が多い。諸民族の関係も変化しているはずだ。
- 南ナイロート系の諸民族と東ナイロート系民族の大方は、ナイル水系沿いに南進拡散した後、大地溝帯?沿いに拡散しながら分化していった。この過程で、バンツー系やクシート系の諸民族との接触、戦争があり、他部族を吸収したりしたが、言語は保持されたと思われる。
- 東ナイロート系民族の1部には、エチオピア高原?の南西縁から西進したと思われる部族集団も複数ある。
GM向け参考情報
- GM向けの補足情報、マスタリング・チップス、アイディア・フックなど
- 【参照資料】
運用
- ナイル諸語に限らず、言語系統に関しては、「言語系統と民族系統とは、必ずしも常に一致するわけではない」「言語系統の分類には異論、異説や議論が多い」この2点を押さえておくことをお勧めします。また、「人種?と民族?とは、たとえ重なりが大きいことがあっても別概念」これも、ポイントとして押さえておくことをお勧めします。
- 上記のポイントさえ押さえいけば、細かな学説は、あまり神経質に気にする必要もないでしょう。シナリオの設定と割り切って活用していっても構わないでしょう。
- あるいは、上記のポイントを押さえた上で、あえてナチのように「人種と民族と使用言語とをごちゃ混ぜにした筋の通らない理論」を振りかざすトンデモ系のNPCを出す、という手もなくはないです。ただ、このアプローチは、うっかりすると、プレイヤーに対してGMが意図しないミス・リーディングを出すことになりかねませんので。ご注意ください。
アイデア・フック
活用や検討
活用
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参照:[アイデア・フック] [ナイロート] [ナイル・サハラ語族] [ナイロティック] [ヌビア人]