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方言

方言 ほうげん(Dialect)

PCが予め知ってていい情報

 「方言」とは、普通は、「ある言語の亜種や変種」を意味する。ことに、「ある社会で共有された標準語と同系統の地方語、地域語」が「方言」とイメージされることが多い。

 「ある言語の亜種や変種」を「方言」とする整理は、日常的にはめったに支障を招かない。

 ただし、「現在、一般にスコットランド語と呼ばれているのは、英語のスコットランド方言だ」との言語学上の知見を、スコットランドのパブで無配慮に公言したりすれば、トラブルを招く可能性も低くない。

追加情報

小辞典版推奨判定
「交流+知性目標値 8」「言語+知性目標値 10」「情報+知性目標値10」
やや詳しい情報 ワールド・ワイドな調査に従事するブルーローズのメンバーは、便宜上、「諸方言の関係を、一旦、公用語共通語とは別レベルの関係とみなす」ように意識してみるといいだろう。
 同時に、やはり便宜的に「方言には、日常的な意志疎通が可能な方言(関係の近い方言)」と「日常的な意志疎通が困難、あるいは不可能な方言(関係の遠い方言)」とがあると、考えてみるといい。
 例えば、ドイツで現在用いられている共通語のベースとされた「高地ドイツ語(ドイツ語の南部方言)」と「低地ドイツ語(ドイツ語の北部方言)」との間では、日常的な会話はほとんど不可能だ。しかし、一般に低地ドイツ語と、オランダ語との間では、多少の困難はあっても、会話も可能になっている。
 常識的には「オランダ語とドイツ語とは別言語」とされるが、「オランダ語と低地ドイツ語とを、便宜的に『関係の近い放言』関係にある」と考えてみるのだ。
 同じように、ラオスで公用語になっているラーオ語?と、タイ王国で公用語にされている「標準タイ語?」との間では、多少の困難はあっても会話は不可能ではない。現在、「標準タイ語」は、ほとんど「タイ語の中央方言」に等しいが、タイ語の方言とされる北タイ語とラーオ語とでは、概ね支障なく会話が可能になっている。
小辞典版推奨判定
「言語+知性目標値10〜12」「歴史+知性目標値12〜14」
やや詳しい情報 一般的な「方言」の定義である「ある言語の亜種や変種」は、「『ある言語』の範囲の取り方に応じて、方言の関係も変化する相対的な定義であること」が忘れられがちだ。また、「ある言語の標準語のようなものが前提視されがち」でもある。
 現代では、ほとんどの国で、標準化された公用語が公教育の初等課程から教えられるため、つい標準語を中心にした理解をしてしまいがちだからだ。
 しかし、言語使用の歴史的実態としては、「標準語のようなものが中心になって諸方言が生じる」わけではなく、「互いに偏差を持つ諸方言の内で勢力のある言語をベースに、用法を標準化したものが共通語とされる」のである。
 例えば、研究者の間にも、「琉球語」を「日本語とは別言語」と位置づける意見と、「日本語の方言」と位置づける意見とがある。前提として、琉球語が日本列島で用いられていた古代言語から、概ね弥生時代の頃に分岐した言語であることは、広く認められている。
 今、仮に、分岐する以前の共通母胎と想定される言語を「縄文語」と仮称すると、「現在の琉球語は日本語の方言か別言語か」という議論は、実は「縄文語(仮称)と弥生時代より後代に形成された日本語との位置付け」というテーマについての見解の相違に基づくことがはっきりするだろう。
 これは、日常語のセンスとは桁外れに長いスパンの「言語系統」と呼ぶべき事象を念頭に置いた議論だからこそ生じる問題だ。ことに歴史言語学?では、同タイプの議論が避け難く生じる。すなわち、言語の系統が関る話題では、「『ある言語』の範囲の取り方に応じて、方言の関係も相対的に変化」することがある。
 また、古代言語に「ある言語の標準語のようなものがあった」かに勘違いをすると、とんでもない結論が導かれることが少なくない。例えば、現在「印欧祖語の話者集団は、おそらく石器時代末にカスピ海の北方で、ヨーロッパ・ロシア南部から西シベリア南部のステップ地帯を生活圏にしていただろう」と推定されている。ここで、「さらに地域を絞って、印欧祖語を使っていた集団の真の源郷を探ろう」という発想は、ほとんどトンデモ説と紙一重のロマンになる。
 なぜなら、標準語の存在が想定できない石器時代、「印欧祖語の話者集団」なるものが、単一民族であった蓋然性は極めて低く、元々、偏差を持つ方言関係にあった言語群、それらの言語を使用していた複数の集団の間で、共通語的に用いられた言語が「原印欧語」だ、と想定した方が、後の印欧語系統の広汎な拡散を容易に説明できるからだ。

GM向け参考情報

用途

 「方言」と「標準語」、「公用語」の話題は、――
「シナリオのネタ捜しのため資料本などをあたる場合」、
「シナリオ題材のオーパーツなどに、古代言語の系統関係などを絡める場合」、
「シナリオで想定する冒険に、現在シームレス・ワールドで実際に用いられている地域語などを、絡めるか、絡めないか、絡めるとしてどの程度関らせるかを検討する場合」、
――のそれぞれで考え方を変えた方がいいでしょう。

資料類などをあたる場合

 特に超古代関係でなくても、古代史関係の話題には、言語系統を方言の関係に付いて、ロマンチックすぎたり、場合によってはトンデモ説に近い詭弁を弄したような説を主張するテキストはあります。

 例えば「縄文語」と言って、まるで現代日本の標準語のように、単一で規範的な言語があったかのような前提で、――つまり、縄文時代に当然あったはずの言語の地域偏差を考慮せずに、後代の日本語やアイヌ語との系譜関係を論じているような主張です。

 この手のテキストは、眉に唾をつけながら読むことをお勧めします。

 なにも、こうした主張をシナリオ題材に使うべきでない、といった話ではありません。トンデモ説はトンデモ説風に料理してやった方が面白く料理できるだろう、という話です。

 例えば、追加情報に、「印欧祖語が、現代の標準語のように単一化された言語だったとは考えられない」という意味のことが書いてありますが。これは、超古代文明の類を仮定しない、合理的な推測ではこう考えるのが当然、という話です。

 宇宙や異次元からの、すでに文明化した入植者集団を想定すれば、現代の標準語のような言語を共有した集団が石器時代にいたことにしてもいいでしょう。また、何かのオーパーツを設定して、成員が同じ意識を共有していいる集団を設定したり、全員がクローンで構成された集団を設定すれば、言語の地域偏差や集団ごとの偏差を無視した単一言語を想定することができます。

オーパーツなどに、古代言語の系統関係などを絡める場合

 話題にもよりますが、基本的には「諸説ある」ことを想定しながら考えていくと楽に料理できると思います。PCの立場は調査員であって、必ずしも研究者ではありません(運命によっては研究者の卵的キャラも出るでしょうが)。

 PCは、冒険を通じて「何か正しい結論」を知り、それを論証する必要は必ずしもありません。NPCを含めた研究者が、研究の手がかりとするにたる物証や知見を集め、報告するだけでも、調査員の立場としては充分な達成になるでしょう。

 もちろん、個々のPCが「今回の事件の真相は、おそらく」と、推測を持つことはあるはずですし、自由です。そうした推測を、うまく先々のキャンペーン・プレイのネタに絡めていけると、より面白い展開を期待できるでしょう。

シームレス・ワールドで実際に用いられている地域語などを、絡めるか、絡めないか

 この件は、GMが狙うシナリオ傾向、GMも含めたセッション・メンバーの「ブルーローズ」への慣れ、プレイヤー・メンバーの指向性などを考慮して検討した方がいいでしょう。

 もし、地域語などを絡めていくとしたら、芋蔓式に地域の民族問題などに関っていくかもしれません。絡めていくシナリオでは、ある程度の調べは必要になります。

 逆も概ね言えて、冒険にシームレス・ワールドで現在も問題になっている民族問題を絡めていくとしたら、関らせる度合に応じて、言語事情も調べた方が、もっともらしさが増します。

 こちらの関係でも、「何が正しいとされているか」を探るより「諸説ある」と想定し、政治的な主張も含めた「諸説」も、できる範囲で調べていくといいでしょう。その方が、セッション中プレイヤーから出される疑問などにも、自信をもった対処が可能になるはずです。

活用や検討

活用

検討

  • 検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は書き換えられても仕方なし、ってことで)