下エジプトの赤冠
PCが予め知ってていい情報
古代エジプト研究で「赤冠」と呼ばれるのは、伝統的に下エジプトの支配者の被り物とされた冠。
追加情報
- 小辞典版推奨判定
- 「言語+情報 目標値8〜10」「歴史+知性 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 古代エジプトの赤冠は、古代エジプトの言語?で「デシュレト」と呼ばれた。これは、「赤い物」を意味した。(ナイルの沃土が及ばない荒地も「デシュレト」と呼ばれた)
- 小辞典版推奨判定
- 「表現+情報 目標値8〜10」「歴史+知性 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 デシュレト(赤冠)は、モルティエ帽を変形したような被り物で、後部が高く細くせり出しているため、横から見ると椅子の形にも見える。この形状の帽子自体は、古代エジプトの上流社会でよく用いられたもの。
- デシュレトは、赤く塗られ、正面に大きめのコイル状のような飾りが付けられている。これは、古代エジプト?で、占星術をおこなう者が持った杖に付けられた飾りがルーツらしい。
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値10〜12」「表現+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 ヒエラコンポリスの遺跡から発掘されたナルメルの化粧パレットの裏面には、デシュレトを被った人物の図像が刻まれている。これは、現在知られる最古のデシュレト使用の物証になっている。
- ちなみに、ナルメル・パレットはB.C.3000年頃の遺物と鑑定されており、その表面には、「上エジプトの白冠」を被った人物が描かれている。これは、「ナルメルが最初の統一王(ファラオ?)だった」とする説の根拠とされている。
- 小辞典版推奨判定
- 「魔術+知性 目標値10〜12」「表現+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 「デシュレトは下エジプトの支配者の冠」と言っても、それは人間に限ってのことだ。
- ネイト神?はデシュレトをシンボルにし、自身もデシュレトを被る。ウアジェト女神もデシュレトを被る。
- (もっとも、これらの女神は、下エジプトの後見人とされたので、デシュレトを被るのも当然とは言える)
- 小辞典版推奨判定
- 「魔術+知性 目標値12〜14」「歴史+知性 目標値14以上」
- やや詳しい情報 デシュレト冠を被る者は、下エジプトの後見神である女神に後見される、と信じられていた。
- 下エジプトの後見神だが、大雑把に言えば、より古い時代には、両性具有の女神であるネイト神?とされ、後にこの役割をウアジェト女神に奪われた。
- ネイト神は、はじめ下エジプトで王者の守護神とされたが、ウプウアウト神?と共に死者の守護者としての神格を強めていった。一方、コブラの姿をとることもあるウアジェト女神は、「ラーの目」としてヘリオポリス?の神殿神学でラー神?との関係が強められた。こうして、神の役割は、かなりの部分がウアジェト女神に奪われた。
- 「下エジプトの支配者の後見神」の役割は、全面的にウアジェト女神に委ねられ、ウアジェト女神はネフベト女神?と共にファラオ?の後見神となった。「下エジプトの後見神」の役割は、ネイト神、ウアジェト女神の双方が担い続けた。死者の守護神の役割も、他の神々と共に、ネイト神、ウアジェト女神にも担われた。
- ネイト神の崇拝は、衰退しながら末期王朝時代まで続き、第26王朝?時代に大々的に復興され、キリスト教がエジプト地域を席捲するまで続けられた。
- ウアジェト女神は、「デシュレトを“擬人化”した女神」と説明されることもある。古代エジプト人自身も同じようなことを記しているが、誤解を招きやすい説明だ。(古代エジプト人の考えた「擬人化」は現代人の言うような意味ではなく、「化身」と言った意味合いが強い)。
キーワード:
参照:[デシュレト] [ナルメルの化粧パレット] [モルティエ帽] [エジプト誌] [ウアジェト女神] [上エジプトの白冠] [ファラオの2重冠] [アーティファクツやオーパーツ・ソース] [考古学、歴史研究の関連用語]