ティアマト女神
やや詳しい情報
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古バビロニア王国?で重んじられた『エヌマ・エリシュ』の物語では、ティアマト女神は、アプスー神との間に、ラフム神とラハム女神とを生んだ。ラフム神とラハム女神とは、天の霊アンシャルと地平線の霊キシャルとを生み、アンシャルとキシャルとは、天神アン?を生んだ。
別のバビロニア神話では、アンシャルとキシャルからは、アン神と大地の女神キ?とが生まれた、とされることもある。
さらに後、若い世代の神々(イギギ神群)にアプスー神が殺害される。ティアマト女神は、復讐のため怪物、または魔神の軍団を呼び出して、若神たちに挑むが破れる。
ティアマト女神の神格が、いつの時代まで遡るかについては諸説あって定説を見ていない。この話題は、『エヌマ・エリシュ』の物語の成立時期の解明に関わって、神話研究者や考古学者の間で、諸説の議論が交わされている。
『エヌマ・エリシュ』はアッカド語?で記されているので、ティアマト女神の神格化も、アッカド時代?か、その少し後までは遡り得るかもしれない。しかし、現在までのところ、確証は乏しい。
研究者の間では、「女神の神格化はシュメール時代?まで遡る」と見る意見も聞かれる。どちらかと言えば、こちらの説は、少数派の意見かもしれない。例えば、シュメール神話では、原初の海洋を体現する神格としてはナンム女神が知られている。
ナムム女神とティアマト女神のイメージは、知られる神話を読む限り異なる面が多い。ナンム女神をティアマト女神の前身と見ることは難しい。
ティアマト女神の神格が、シュメール時代まで遡り得るとする説は、主に、女神の神名がシュメール後で解釈できるとの語義議論に基づく。シュメール語語義の解釈によれば、“Tiamat”は、ti=生命、amat=母から成り、「生命の母」を意味する、とされる。
しかし、アッカド語もシュメール語もかなり後の時代まで古典語、典礼語として用いられていた。神名が、古い言葉で解釈できるとしても、それは、神格自体が古いことの確証とはなり難い。
ティアマト女神崇拝の証拠がある遺跡などがシュメール時代にまで遡る、と確認されているわけでもない。少なくとも、判断保留としておくのが慎重な意見とは言えるだろう。
ティアマト女神は、現在、しばしば「竜のような姿をしていた」と紹介されることがある。しかし、これは後世の人間が読み込んだ連想であり、『エヌマ・エリシュ』の知られている物語自体には、そのような描写は見られない。ただし、「尾」を持っているとの記述は見られる。
あるいは、キングーをはじめ怪物(魔神)の軍勢を呼び出したこと、神名が「生命の海」を意味したことなどから、後世の人間が竜のような姿を連想したのかもしれない。
ティアマト女神のシュメール語による尊称「ウンム・フブル(Ummu-Hubur)」は、「万物を形象りしもの」を意味した。つまり、女神は「原初の海洋を体現」し「万物を生んだ混沌」といった性格を、はじめから持っていた神格だった。それだけに、「混沌の竜」といった連想を招き易かったのだろう。
例えば、ベロッソスが記した『メソポタミア誌』では、ティアマト女神は「タラッテー」として記されていた。これは「海の女神」を意味した古典ギリシア語「タラッッサ」を踏まえた神名と思われる。
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参照:[神話、伝説のキャラクター] [キングー] [アプスー] [小辞典ワールド編] [エヌマ・エリシュ]