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エヌマ・エリシュ

エヌマ・エリシュ 簡易版

簡易版です。気づいたとこの増補、改訂、優先に大歓迎。

英語名
En?ma Elish(エヌゥマ・エリスッ)

PCが予め知ってていい情報

 特に無し。

 「エヌマ・エリシュ(エヌゥマ・エリスッ)」については、関連技能を持たないPCが予め知らないでいても不自然ではないと思われます。

やや詳しい情報

  • 「簡単な判定に成功すればわかる情報」とします。

 「エヌマ・エリシュ(エヌゥマ・エリスッ)」は、古代メソポタミアの中頃、おそらく古バビロニア王国の時代に成立した、と考えられる神話的な物語詩(あるいは神話的な叙事詩)。

 バビロン市?創建起原譚の神話が含まれている。


 『エヌマ・エリシュ(エヌゥマ・エリスッ)』は、アッカド語?で記された世界創世神話として知られている。

 セム系言語の文芸の伝統を踏まえて、書き出しの章句をとって『エヌマ・エリシュ』と呼ばれている。書き出し、「エヌマ・エリシュ・ラー・ナブー・シャマム」は、「まだ、上に天が名付けられておらず」を意味する。

 大筋としては、神々の世代交代を語る神統譜と、新旧の神々の戦いが語られている。

 物語が最初に発見されたのは、19世紀半ばの事で、ニネヴェの遺跡から発掘されたアッシュル・バニパル文庫の粘土板の内7枚に記されていた。その後、他の遺跡からも数種の粘土板が発見され、現在では、数千行が記された神話物語として把握されている。

さらに詳しい情報

  • 「難易度が、ある程度高い判定に成功すればわかる情報」とします。

 現在知られている限り、『エヌマ・エリシュ』の粘土板はアッカド語?で記されている。しかし、その内容から判断して、物語が成立したのは、普通は、紀元前12世紀頃と目されている。当時、日常的には用いられていなくなっていたが、古典語として使われていたアッカド語で記された、とされている。

 と言うのは、物語の序盤こそ、世界創世の神話だが、中盤以降で、マルドゥック神の誕生、マルドゥック神が神々の長となる顛末が語られ、終盤にはマルドゥック神の意思でバビロニアの国土が作られ、バビロン市が創建された、との神話が語られているからだ。

 おそらく、バビロンの王朝がバビロニア地方に支配を確立するのに応じて整えられたもの、と考えられている。

 多くの研究者は、『エヌマ・エリシュ』の神話物語が、バビロン市の新年祭(アキツ祭?)にて、儀式的に再演された、と推定している。アキツ祭りは、今の暦の3月頃執りおこなわれた新春の祭りだ。

 あるいは、より古い神話の断片が、編み代え編みなおされるように『エヌマ・エリシュ』の内に織り込まれている可能性も検討されている。ただ、こちらの研究では、諸説が並立

 物語のどの部分が、古バビロニア時代以前のいつの時代まで遡るかは、定かではない

GM向け参考情報

『エヌマ・エリシュ』標準版の粗筋

 ここで言う「標準板」とは、ニネヴェの遺跡から発掘された7枚の粘土板をベースに、その後発見された別の版も相互参照して、現在の研究者が復元したテキストを意味します。

 シナリオの狙いに応じて、一部を利用してもよし、全編を利用してもよし、または、一部からオーパーツを引き出しても、古代史ミステリーをフィクション設定してもよし。

 ただし、考古学者や、普通の神話研究者の間では、以下のような「標準版」が知られていることは、前提としていく事をお勧めします。

第1書板の粗筋
 「まだ、上に天が名付けられておらず」下に地も名付けられていなかった頃。
 世界には真水を体現する男神アプスー神と、大海を体現するティアマト女神だけがあった。
 アプスー神とティアマト女神との交わりから、ラフム神とラハム女神が生まれ、この2神からは、天の霊アンシャルと地の霊キシャルとが生まれた。アンシャルとキシャルとの交わりから天神アヌ?が生まれ、アヌ神から知恵の神エア神?が生まれた。
 アヌ神、エア神ら若い神々が「騒々しい」と腹をたてたアプスー神は、ムンム神に相談し、若神たちを滅ぼそうとするが、ティアマト女神は反対した。
 しかし、アプスー神の企みを察知したエア神は呪文を使ってアプスー神を眠らせると殺してしまう。そしてアプスーが身にまとっていた「神々しい輝き」を奪うと自らまとった。さらに、自分の聖所を聖所を「アプスー」と名付けると、そこでダムキナ女神?との間にマルドゥック神をもうける。
 一方、ティアマト女神は、アプスーの復讐を誓い、水の世界と海の世界の怪物たちを呼び出す。女神は、キングーを怪物たちの指揮官に任じると、天命の書板を与え、進軍を命じた。
第2書板の粗筋
 ティアマト女神の怪物軍の動静を知ったエア神は、迎え撃つが敗走する。次にアヌ神が出陣したが、これも敗走する。
 若神たちが集い対策を協議すると、天の霊アンシャルが、ティアマトの軍勢に立ち向かえるのはマルドゥック神のみであることを告げる。
 マルドゥック神は、神々に対して、戦いに勝ったら自分を神々の長として天命の決定権を委ねるなら、出陣する、と告げる。
第3書板の粗筋
 神々は、アンヌンナキ(若い神々の会議、宴会)を開く。アンヌンナキの席上で、マルドゥック神に、神々の支配者のシンボル「シムトゥ(神命)」を授ける事が議論される。
第4書板の粗筋
 神々は、マルドゥック神にその神通力を示して見せるように請う。マルドゥック神がその力を示すと、神々は称えて、シムトゥをマルドゥック神に委ねる。
 出陣したマルドゥック神は、怪物の軍勢を打ち破り、ティアマト女神とキングーとを捕らえる。キングーからは天命の書板を奪った、マルドゥック神は、自分の胸に書板を飾る。
 ティアマトの体は2つに割かれ、片方が天空に被せられ、片方が大地に被せられた。こうして、大地と天界、及び、地下の水界(アプスー)との間に、はっきりした境界が生じた。アヌ神は天界の神、エア神は水界の神、エンリル神は大気の神となった。
第5書板の粗筋
 マルドゥック神は、太陽、月、遊星、恒星を作って天に配置する。1年が12月に分けられ、各月を示す3つずつ計36の星座が定められた。
 ティアマト女神の両目は、それぞれがティグリス川ユーフラテス川の水源とされ、ティアマト女神の体(大地)からバビロニアの国土を作り出した。
 マルドゥック神は、バビロニアの中心に聖所を築きバビロン(バーブル・イル=神の門)と名付ける。
第6書板、第7書板の粗筋
 エア神の提案を採用したマルドゥック神は、キングーを処刑すると、その血液を赤土とこねて間を作り、神々に仕えさせることにした。
 マルドゥック神は、アンヌンナキ600柱の神々の300柱を天神に、残りの300柱を地神に任じた。
 祭儀が執りおこなわれ、バビロン市の都市造営が始められる。こうしてバビロンのジッグラト、マルドゥック神殿、エア神殿、エンリル神殿が建立された。
 第6書板の後半から、第7書板にかけては、マルドゥック神の50の神名が繰り返し称えられ、200行あまり続く。
  • 以上の粗筋は、以下の資料を参照して整理しました。
    吉田 敦彦 編,Handbook of myths『世界の神話101』,新書館,Tokyo,2000.
    吉田 敦彦、他 共著,『世界の神話伝説 総解説(改訂増補版)』(Multi book),自由国民社,Tokyo,2002.

補助資料

Handbook of myths『世界の神話101』
吉田 敦彦 編,Handbook of myths『世界の神話101』,新書館,Tokyo,2000.
ISBN 4-403-25047-5
Multi book『世界の神話伝説 総解説(改訂増補版)』
吉田 敦彦、他 共著,自由国民社,Tokyo,2002.
ISBN 4-426-60711-6

活用や検討

活用

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重要な改訂の情報

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検討

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更新日時:2007/07/15 22:30:56
キーワード:
参照:[ナンム女神] [キングー] [ムンム神] [アプスー] [マルドゥック神] [ユーフラテス川] [+αのワールド用語] [ティアマト女神]
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