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上スヴァネティ

上スヴァネティ(地方) かみスヴァネティ (Upper Svaneti) 暫定版

記事内容追加調査中の暫定版です

PCが予め知ってていい情報

 上スヴァネテイ地方は、現グルジア共和国?領で、北西部の一角を占めている歴史的地域。英語で「アッパー・スヴァネティ」、グルジア語?で「ゼモ・スヴァネティ」。

 同じく、歴史的地域である下スヴァネティ地方(ロウアー・スヴァネティ、クヴェモ・スヴァネティ)と併せ、大カフカス山脈に属すスヴァネティ地方を構成していた。(スヴァネティ地方も歴史的地域名で、現在は、上下がそれぞれ別の行政区に属している)

 上スヴァネティは、山岳地帯であるスヴァネティ地方の内でも、より高山地帯に属す地域。西カフカス山脈中部で、脊梁部の南を占めている。

 1996年以降、地域に遺る伝統的家屋、宗教建築、宗教的遺物などがユネスコ世界遺産の文化遺産に登録されている。登録名も「上スヴァネティ」。

グルジア共和国の地図

  • 右を参照のこと。⇒ グルジア共和国の有用地図集?
    (別ウインドウで見ると多分便利)

追加情報

小辞典版推奨判定
「情報+知性 目標値8〜10」「歴史+知性 目標値10〜12」「交流+知性 目標値10〜12」
やや詳しい情報 上スヴァネティ地方は、5000m内外の高峰が連なる西カフカス山脈脊梁部の南で、西カフカスから流出したイングリ川流域の北と東を占める地域。イングリ川は、山地内の渓谷に沿って流れ、はじめ西流した後南流に転じている。イングリ川の南と東が下スヴァネティ。
 上スヴァネティ地方のさらに東は、2006年現在、自称アブハジア自治共和国の領域、地域南西端はグルジア?側のサメグレロ地方?に接している。
 スヴァネティ地方は、古くからスヴァン人の伝統的生活圏。ことに上スヴァネティでは、スヴァン人の社会が、地理環境ゆえに外界から孤立気味の歴史を長く営んでいた。
 世界遺産の文化遺産に登録されている対象は、いずれも個性的な文化が長く保たれてきた結果を示す物品ばかりだ。
 スヴァン人の伝統家屋の典型例は、他所では見られない石造りの塔形家屋など。宗教建築は9世紀に遡るグルジア正教の教会建築など。宗教遺物の代表例は、地域で独特の発展をした金工細工の聖画(イコン?)。
小辞典版推奨判定
「情報+知性 目標値10〜12」「交流+知性 目標値12〜14」
やや詳しい情報 旧ソ連崩壊?後のスヴァネティ地方では、グルジア?内戦と経済的混乱が重なり治安が悪化。ことに上スヴァネテを中心に、逃げ込んだ反体制勢力や犯罪者集団が山賊化して、地域住民や旅行者の脅威となった。グルジア当局は、2004年春、スヴァネティ地方の治安回復を任務とした軍の特別部隊を編成し、地域に投入。一定の治安回復を達成した、とした。
 しかし、その後、地域は自然災害に襲われ、大きなダメージを被った。
 ことに2005年春、グルジアを見舞った集中豪雨はスヴァネティ地方で大規模な山崩れを招いた。この後、スヴァン人ら地域住民の間に他地域への移住の動きが増し、地域の人口は上スヴァネティから、下スヴァネティやサメグレロ?地方へ流出。さらに他の地域へ移住していく人々も少なくないようだ。
 一部で、世界遺産の管理、保全も懸念されている。

小辞典版推奨判定
「表現+知性 目標値10〜12」「歴史+知性 目標値12〜14」
詳しい情報 ユネスコ世界遺産に登録されているグルジア正教の教会は、上スヴァネティに100ほど残っている。ほとんどが小さな建物だが、いずれも中世に遡る建造物だ。やはり世界遺産とされている、宗教遺物の代表は、地域で発達した独特の聖画(イコン)。金属板を打ち出し技法で加工してレリーフ状にした上に、釉薬を流し込んだ後、焼きを入れたもの。一見ガラス細工のようにも見える仕上がりは、日本の七宝細工にも似ている。
 同類の技法は、他国でも見られ「エマーユ技法」と呼ばれる。しかし、上スヴァネティでは、技法がもっぱら聖画に用いられることで、宗教的な至高感覚を表現。独自の工芸ジャンルを展開した。
 もう1種、世界遺産の対象になっているスヴァン人の伝統家屋の代表例は、石造りの、方形の塔のような多層家屋が勇名。これは、上スヴァネティ各所の集落に数百が残っており、地域の中心地メスティア?近くのウシュグリ村に多くが残っていることが知られる。
 多くは、10m〜12mで、5〜6階の内部階層を持つが、内には6〜7階建てという高い物も、4階建ての比較的低い物もあった。戦闘に備えての監視と防備を考えた作りで、1つ1つの家屋(塔)が小さな砦のようだ、と言われる。
小辞典版推奨判定
「交流+知性 目標値10〜12」「歴史+知性 目標値12〜14」
詳しい情報 メディアなどで世界遺産が紹介されるとき、スヴァン人の石塔形家屋のことが「異教徒との戦いに備えたもの」と紹介されることが少なくない。これは、歴史を誤解させる紹介だ。異教徒との小規模な戦いが無かったとは断定できないが、上スヴァネティはモンゴル軍ですら足を踏み入れなかった地域だ。あるいは、ロシア人やソ連軍も「異教徒」に含めるなら、確かに上スヴァネティでも「異教徒との戦い」はあった。
 しかし、歴史上、より多くの戦いは、山間の渓谷部ごとに離れて散在していた、スヴァン人の地域共同態の間で戦われた。山間僻地に孤立した民族ではありがちなことだが、スヴァン人の間でも伝統的には同害報復?の慣習が長く続いていたためだ。
 それに、大カフカス?の山間渓谷で暮らしたため、洪水に備えて塔形の建物が発達した、との事情も軽視すべきではない。村落間の戦いよりも「異教徒との戦い」を強調するのは、あるいは、メディアの側のある種の配慮かもしれない。

小辞典版推奨判定
「表現+知性 目標値12〜14」「交流+知性 目標値14以上」
専門的知識
 スヴァン人の伝統集落では、核家族を基本にした世帯が、石塔形家屋に居住していた。
 3階〜5階建ての建物の、地階部分は洪水などに備えて普段は家畜小屋として用いられる。2階以上の居住区に入る階段は外壁に沿って設けられ、いざと言うときは2階に設けられた玄関を内側から封鎖するための岩製の扉も用意されている。さらにご丁寧に、地階の天井裏に、2階の床下にあたる部分に隠し部屋を設けている例も少なくない。これは、戦闘のときに女子供が待避するためのスペースだった、とも言われるが、普段は生活物資の倉庫として用いられていた。2階以上の各階は、木製の梯子で上り下りするように作られ、これもいつでも取り外せるようになっている。
 2階以上の各階の高さは、概ね2m内外。格階の窓は小さく採光は良くない。
 建物の外壁は、よじ登れないように、滑らかに仕上げられているが、さらに屋上部分が建物本体から若干せり出した作りになっている。屋上部分にも、最上階から上ることができる。

GM向け参考情報

用途、用法

 2006年現在の上スヴァネティ地方は、冒険のメイン舞台にするには、扱いにやや注意を要す地域と言えますが、大変困難な地域、とまでは言えないでしょう。

 シナリオ傾向にもよりますが、ある程度、地域情勢に配慮したシナリオを準備すれば、やり甲斐のある冒険を用意できる舞台と思えます。

 自然環境と近年の人口流出現象、数年前の治安悪化状況を加味すると、派手めのアクションを繰り広げても、かなり異常な超常現象?をおこしても、それなりに収拾したり真相を隠蔽したりする手立てを講じられることでしょう。

 一方で、地域を大局的にみると、西で自称アブハジア自治共和国の領域と隣接し、東では、旧南オセティア自治州?の領域と遠からず、北ではロシア連邦領と隣接しています。南では、比較的平穏なサメグレロ地方(コルヒダ低地)、及びイメルティ地方?に隣接しています。

 国際的な紛争の火種が押さえ込まれた型でくすぶり続けている諸地域の真ん中にあり、意図せずして緩衝地帯の役割を担わされた地域とも思えます。この地域でのミッションが原因で、大きな国際紛争が再燃、激化するような事態は、PCは是が非でも避けねばなりません。

 総合すると、「ブルーローズ」の冒険を2〜3回こなして慣れてきたチームが、より高度な判断を要求される冒険にチャレンジしていく小手調べに適した地域、と言えます。

 ミソは、現状のスヴァネティ地方が、一応は国際紛争の舞台にはなっていないこと。ただ、周辺に国際紛争に発展しかねない問題を抱えた地域が複数あることです。

 この辺の事情を、ゲーム前ブリーフィングでプレイヤーに飲み込んでもらった上で、あえてスヴァネティ地方を冒険舞台に選ぶと、雪深い高山地帯あり、渓谷あり、移住で廃棄され、ゴースト・タウンと化したスヴァン人の伝統集落をフィクション設定してもあり、と、メリハリの効いた冒険を用意することが可能になると思われます。

運用

 スヴァン人の石塔形家屋ですが、ユネスコ世界遺産の紹介書籍などでは、「上スヴァネティ地方に200ほど」と紹介されている例と、「メスティア?近くのウシュグリ村に200ほど」と紹介されている例とがあります。

 確からしいことは、「ウシュグリ村には多数残っており、現在でも使われている物が多い。メスティアにも少なくない数が残っているが、こちらは現在も使われている物は多くない」と言うことであるようです。さらに「ウシュグリ村、メスティア以外にも残っている物、使われている物が無いとは言えない」とも言えそうです。

 記事では「上スヴァネティに数百残る」と曖昧化して記しています。シナリオ・メイクする人は、「ウシュグリ村に一番多く、メスティアにはそれに次いで多い」を基本設定にして、フィクション設定も加味するといいでしょう。

 普通の人間が行き来できる所に残るのは、上スヴァネティの総数で300〜400、と言うあたりがいいかもしれません。

地勢と環境

 「スヴァネティ」の項を参照のこと。(⇒ スヴァネティ

地域区分

 2006年現在、上スヴァネティ地方は、サメグレロ?地方と併せて、「サメグレロ=ゼモ・スヴァネティ」の行政区に編成されている。

【参照】

⇒ グルジア共和国の有用地図集?

人口分布

 「スヴァネティ」地方の項を参照のこと。(⇒ スヴァネティ

主要集落

 「スヴァネティ」の項を参照のこと。(⇒ スヴァネティ

正規の出入国ゲイト

 歴史的な意味でのスヴァネティ地方には、正規の出入国ゲイトは一切無い。

 詳しくは、「スヴァネティ」地方の項を参照のこと。(⇒ スヴァネティ

主要国内交通路

 ここでは、現在、上スヴァネティに入る一般的メイン・ルートは、サメグレロ?地方のズグディディ?からの山間自動車道になっていることだけ、記しておく。

 詳しくは、「スヴァネティ」の項を参照のこと。(⇒ スヴァネティ

トピック:「スヴァン人」の伝統社会について

 「メディアなどの世界遺産紹介で、スヴァン人の石塔形家屋が『異教徒との戦いに備えたもの』と紹介されることが少なくない」との話題は、追加情報にも織り込みました。

 ところで、「異教徒との戦い」ではなく「石塔形家屋は、村落間の戦いに備えた物」と解説されている場合でも「スヴァン人の伝統社会は氏族社会」と解説されていることもあります。それは、まあいいとしても「石塔形家屋は、氏族間の戦いに備えた物」と解説されていることもありまして。こちらは、おそらく紹介者の誤解に基づくものと思われます。こちらの件については、「スヴァン人」の項を参照のこと。(⇒ スヴァン人

リンク

関連項目

活用や検討

活用


検討

  • 検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は書き換えられても仕方なし、ってことで)