チャド湖
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「チャド湖」は、中央アフリカ地域の北西寄りで、カメルーン共和国、チャド共和国、ナイジェリア連邦共和国、ニジェール共和国の国境部に位置する湖。
ただし、「湖」と言っても、流入河川流域での水資源乱用と気候変動とが重なって、縮退が著しい。2006年時点で、最深部でも水深8m〜10m程度にすぎない。
現在、4ヵ国の国境部に広がっている地域の実態は、季節湖であり、乾季には湖と呼ぶより「低湿地」と呼んだ方がふさわしい範囲が広い。「年間を通じて、恒常的に湖と呼べる地域は、チャド湖とされている地域の内、チャドと中央アフリカ共和国、2国の国境に渡る1角を占めているのみ」とすらする意見もある。
「チャド湖は、21世紀中に消滅する」と予測されているが、実は、既に、1908年、1984年、地域ガ旱魃に見舞われた年に全域が干上がったこともある。
- 【参照地図】
- Political map of Niger and Chad(World Sites Atlas)
- チャド湖の領域の衛星イメージ
1968年当時のチャド湖とその後の縮退の衛星イメージ
(intute - World Guide) - チャド湖略地図(Wikimedia Commons)
国連製作地図に基づく、製作年不明の略地図,湖面北部が低湿地として表現されているが,2008年現在,低湿地の領域はさらに拡大しているようだ。
追加情報
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- 「情報+知性 目標値=10〜12」「生存+知性 目標値=12〜14」
- やや詳しい情報 チャド湖は、1960年代頃までは、26,000平方km以上の湖面面積を持つアフリカ第4位の面積の湖だったが、2000年までに1,500平方 km以下に縮退。2006年時点の平均深度は4.4m。
- 現在のチャド湖には多数の島があり、半牧畜、半漁労の文化を伝統的生業にしているブドゥマ族(Buduma)が居住している。かつて盛んだった漁業は、現在では、壊滅の危機に瀕している。ことに、漁労に多くを依存してきたブドゥマ族の伝統的ライフ・スタイルは圧迫されている。湖面には浮き草の群生で生じた浮島も無数にある。一帯は、ワニやカバの生息圏。
- 湖は、サハラ沙漠中東部よりも南のステップ地帯やサバンナ地帯、及び、ナイジェリア北部から、カメルーン北部を経て中央アフリカ共和国中北部に至る一帯からの水系を集めている。これら水系流域一縁は、チャド湖のあたりを底にした微傾斜を示していて、地理学では「チャド盆地(チャド湖盆地)」として把握されている。
- チャド湖、及び、チャド湖に流入しているチャド盆地の水系は、領域の2千万人以上と推計される住民に、水資源供給源になっている。チャド湖の縮退は、ただでさえ政情不安定な地域の、深刻な環境問題として危惧されている。
- 小事典版推奨判定
- 「情報+知性 目標値=12〜14」「生存+知性 目標値=14以上」
- 詳しい情報 チャド湖にはチャド盆地の四方から河川が流入しているが、北方から流入する河川流域は樹林に乏しい。北方流域の草原地帯は、樹林のような保水力を持たないので、供給される水量はちょっとした気候変動に敏感に反応して、大きく変動する。
- 現在でも、チャド湖に流入する河川の内、最大の流量を供給しているのは、南方の中央アフリカ共和国領で流入しているチャリ川?の水系で、流入水量の9割以上はこの水系から供給されている、と言われている。
- しばしば、「チャド湖縮退の主要要因は、中央アフリカ共和国の無計画な水資源利用だ」と言われている。この主張は、指摘としては間違いではない。しかし、湖面縮退の背景には、広域環境の長期的な乾燥化や、近年の地球環境温暖化も複合している。
- さらに、チャド湖自体が、気候変動に反応し易い敏感な湖である、との性質も根本にある。
- 小事典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値=12〜14」
- 詳しい情報 環境考古学的な調査によれば、チャド湖は過去1万年ほどの間に、4回ほど、著しい縮退を示したことがある。もちろん、過去の縮退は、現在進行中の5回めの縮退とは違い、枯渇の可能性もあるような危機的なものではなかった。
- 湖自体がデリケートな環境だからこそ、水資源の活用には長期的展望と、国際的な取り組み、周辺諸国の地域協力が重要、ということになる。
- 1960年代に、中央アフリカ共和国領内のウバンギ川?の川筋をチャド湖側に変更する治水工事の計画が検討されたことがある。より根本的に、チャド盆地地域の乾燥化に地域社会が適応していくためには、なんとか流域への植林の可能性を検討する必要が指摘されている。しかし、地域の政情は、そうした計画を、実現可能性を伴った政策プランとして検討できる状況にはないようだ。
- 【参照地図】
- チャド湖盆地地図(製作年不明,FAO
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- 小事典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値=14以上」
- さらに詳しい情報 チャド湖は、後氷期?前後の気候変動によって、1万3千年ほど前から成長をはじめた。紀元前4千年頃、最大の湖面面積となり、「内海」と言っていい規模を持っていた。当時の湖面面積は、およそ40万平方kmと推定されている。
- その後、紀元前8500年頃、紀元前5500年頃、紀元前2000年頃、そして紀元前100年頃に、湖面の著しい縮退があった、というのが環境考古学的な調査、分析の結果だ。これは、それぞれの時期、チャド湖周辺の広域気候が長期的な乾燥期にあったことの証拠と考えられている。
- ヨーロッパ人が、チャド湖に脚を踏み入れたのは、1823年のことで、当時のチャド湖は、湖面面積アフリカ第4位の大きな湖だった。
- ヨーロッパ人が到達する以前、チャド湖の沿岸地域は、ダルフール地方とギニア湾?沿岸部とを結ぶ遠隔交易の重要な中継点だった。さらに、トランス・サハラ交易?に使われた交易ルート網の東端のルートの1部にも接合していた。
GM向け参考情報
- GM向けの補足情報、マスタリング・チップス、アイデア・フックなど
参照資料
- The Disappearance of Lake Chad in Africa(1963年から2001年にかけての湖面縮退状況示した地図が見られます,UNEP/GRID-Arendal)
- Map of the Chad basin showing the location of the Toros-Menalla area.(Nature)
別称類
主要国の言語
- アラビア語名=(調査中)
- 英語表記=Lake Chad
- フランス語表記=Lac Tchad
- スペイン語名=Lago Chad
- ロシア語表記=Озеро Чад
- 中国語表記=乍得湖
その他
- イタリア語名=Lago Ciad
活用や検討
活用
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キーワード:
参照:[ニジェール共和国の基本情報 2008年版] [チャド共和国] [ニジェール共和国の有用地図集] [カメルーン共和国] [カメルーン共和国の基本情報 2009年版] [チャド共和国の基本情報 2008年版] [ランド・マーク] [チャド共和国の有用地図集] [チャド共和国の基本情報 2009年版] [アフリカ州のランド・マーク] [ニジェール共和国] [マラ山地] [歴史的スーダン] [カメルーン共和国の有用地図集] [カメルーン共和国の基本情報 2008年版]