ナイルの遺産
屋形禎亮 監修,『ナイルの遺産』
どんな本か
『ナイルの遺産』は、エジプトに旅行する日本人の内、エジプトの歴史や文化について、詳しく知りたいと思ってる人を想定したガイドブック、とのこと。(「はじめに」より)
地域別に整理された遺跡の解説を通じ、古代を中心にしたエジプトの歴史、文化についての基本情報提供がメインの狙い。実際にエジプト旅行する祭に有益な現在のエジプト事情についても扱う、ともあります。
ただし、扱われている「現在のエジプト事情」は、刊行時現在(1995年)のもののはず。2001年9月の米国同時多発テロ事件以降のエジプト事情と、必ずしもピントがあっているわけではありません。
それでも、この本に記された、現代エジプトの文化や民族性などについての記事はかなり参考になります。
エジプトの現状については、報道メディアやインターネットのコンテンツなどを参考にしていけばいいでしょう。本書記載のエジプト文化や民族性についての記事は、メディアやネット経由の情報を利用していく際にサイド資料として参照していけばいいと思います。
書誌情報
屋形禎亮 監修,『ナイルの遺産』,山川出版社,Tokyo,1995.
ISBN 4-634-64270-0
- A5判、本文172頁(他に、巻頭のフル・カラー写真コーナーが52頁分、本文頁数にはカウントされずに納められている)。本体2816円+税。
- 4634642700
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感想コメント
「ブルーローズ」にどう役立つか?
- まず、現エジプト領の遺跡、史跡のソース・ブックとしてお勧め。
ことに、歴史技能が高めになってるPCなどの担当プレイヤーには、楽しみながら参考にできるシリーズだろう。 - あくまで『ナイルの遺産』であって、西方沙漠?やシナイ半島は扱われていない。
- 扱われている地域の現状については、情報は薄い。1995年刊行の書籍なので、最新情報ではないことも注意。
あくまで歴史背景のイメージ・ソース。地域の現状を知る時にはベース資料として扱い、他のソースからの情報で補っていくといいだろう。 - どのような使い方にしろ、この本から得られる情報の、セッションでの採用/不採用は、::GM|ゲーム・マスター]]裁量に従う事をお勧め。
- オリジナル・シナリオを作るGMさんには、有用性の高い良書。
- 史跡近傍のルート・マップや遺跡図なども多め。
- ことに、「歴史ミステリーをシナリオ・ネタに絡める傾向」のGMさんにはお勧め。
「ブルーローズ」を離れたらどんな本か?
- 普通のトラベル・ガイド書籍にも、遺跡についての記事載っていますが。「ここから先が知りたい」って思う記事は、よくあります。
この本は、その手の「ここから先」って疑問に応えてくれるガイド・ブックと言えます。観光ガイドと遺産ガイド(遺跡ガイド)との違い、ってとこでしょう。 - 地域別に整理されているので、一般向け概説通史ではこぼれ落ち易い、ローカル・ヒストリーへのフックが豊富なとこも面白味。(郷土史の本なんかに似た面白味です)
- 逆に、通史のような歴史概説を期待して読むと、読みづらく感じるかもしれない。通史ではないと割り切ってあたっていくことをお勧め。
必ずしも最初から順番に読み進んでいかなくてもいい。興味の持てることからあちこち読んでって、疑問を感じたら、関連記事を探して、あちこち飛び飛びで読み進めていくのが楽しい本だと思います。 - ただし、すでに記されているように、西方沙漠?やシナイ半島は扱われていません。
キーワード:
参照:[エレファンティネ島] [コム・オンボの神殿遺跡] [世界歴史の旅] [書籍紹介] [吉村作治の文明探検2『ツタンカーメン』] [ナイル川] [地図で読む世界の歴史『古代エジプト』] [エジプト=アラブ共和国の参照コンテンツ集] [吉村作治の文明探検1『超古代ピラミッドとスフィンクス』] [アスワン市]